上 下
171 / 261

第百七十二話

しおりを挟む

ショッピングセンターにはトライア王国からの難民も雇われている。
例の神官詐称で神罰の降りた国だけど、難民はアマリア様が大丈夫と身元保証をしたようなものだから普通に雇用できた。
ショッピングセンターや運河の精霊さんチェックは通ったけど、さすがに男はこの里に入れなかった。
トライア料理の店も出すそうなので試食してみたかったな。
最終チェックのときにでも食べに行こう。

その他、バスの運転手にも採用するそうで、今運転の教習中だ。
運転免許制度を作った方が良いのだろうか。
精霊さん任せなところが多いので操作自体は簡単なんだけどね。

店員に採用した者たちは現地で研修中らしい。
今回は男女合わせて50人。
団地内で商会員として働いている者がメインで、未経験者は10人ほどだとか。
お客さんが増えれば増員も有るとのことだ。

団地の人口が多いから団地を出て行った者も多いらしいけど、他のカッセル商会の傘下に無い土地で団地での扱いを求めても無理なのを分かっているのだろうか。
国自体が援助してくれた訳じゃないからね?
亡国との違いを団地で享受したからと言って他の領地へ行ったら普通に流民扱いだろう。
発行した身分証明書はグリエールとスプリングの2領でしか通用しないし。

出戻りしたときに精霊さんチェックを通れるとも限らないしな。
その辺は彼らの自由なので自己責任と覚悟してもらおう。
情報を集めないで行動を起こすのが悪いのだ。
カッセル商会の商品を買い込んだらしいので、しばらくは転売で食べて行けるだろう。
出て行くのは独身の若い男が多いそうなので、冒険者にでもなれば食い繋いで行くこともできそうだ。
さすがに家族連れは無茶をせずに情報を集めている者が多いらしい。
運河で繋がってる王都やカッセルを見ても好景気なので見誤りそうだな。
カッセル商会の影響が無い所へは運河が繋がってないので、情報を集めるにも難しそうだ。

しばらくは商会員として働いて、情報やコネやノウハウを集めれば良いのにね。
急に生活の心配が無くなって上ばかり見るようになってしまったのだろうか。
万が一転売用に使ったお金がカッセル商会との雇用契約に基づいて払われたものならば、契約不履行も起こるかもしれない。
その場合借金を抱えるか、最悪犯罪者に落ちるだろう。
精霊さん情報が入るので、もっと重罪を犯す前に捕まえられそうなのは彼らにとって救いかもしれない。

奥さんの反対を押し切ってひとりで出て行く旦那もいるそうだ。
この場合見捨てられたのは旦那の方みたいだ。
奥さんの稼いだお金も持って行こうとして団地を出るときの精霊さんチェックで捕まる者もいるらしい。
アマリア様も単なる馬鹿は除外できなかったみたいだ。

やや寡婦さんが増えているみたいだけど、託児所も有るし旦那が居なくなった方が平和に暮らせるらしい。
団地から馬鹿が減るのは歓迎だ。
お仕事も増えているし、団地でも上の生活は目指せるだろう。


エルフさんたちも共同でお店を出すらしい。
強力では無い魔道具のお店だ。
緩やかに疲労を回復する指輪とか、肌荒れ用の塗り薬とか。
ほとんど商会員用に作ってるみたいだな。
結界の魔道具や攻撃用なのは売らないらしい。
おばばたちの里も協力するそうなので、品数は豊富になるだろう。
ポーションがメインになりそうだな。

もうすぐ精霊樹の花が咲きそうだと言うことで、他大陸の長老たちが戻って来た。
里の浄化は大丈夫かいな。
花が咲いても種に成るまで時間が掛かるらしいのに。
転移用の魔力の溜まり具合の調整も有るみたいだ。
若木を持って帰るときにちょうど魔力が一杯になる頃合いらしい。
本当は花や種の生る光景を見ていたいのだろうな。
精霊樹に魔力も毎日供給しているようだし。

その長老たちも魔道具やポーションを作るのに協力している。
聖水もどきの対価を少しでも稼ぐためらしい。
里ではこちらに売るものを選んではいるそうだ。
それでも大量の聖水もどきの対価には足りないらしいので、今後も魔道具屋さんに協力して稼ぐそうだ。
エルフさんたちの作ったものなら少々高くても売れるだろうから人気店に成りそうだ。
行き来さえできればダンジョンとかで稼げるだろうに。
あと、野生のコカトリスも納品お願いしますね。

「大丈夫だ、沢山長老たちが持って来たぞ。
ただ、瘴気が酷いのでナギサのインベントリに入れておいてくれ。
また結界を作って受け渡しするから、皆も浄化するとは思うけど。」

セラフィナが結界を張ってコカトリスを取り出した。
やはり食堂に居るエルフさんたちが一斉に浄化し始めた。
すぐに使う分はエルフさんたちに任せて、ほとんどは俺のインベントリに仕舞う。
気合入れて狩って来たみたいで数が多いな。

「まだまだ里の近くで獲れるみたいだ。
里の浄化が終われば遠出するようになるだろう。
こちらと違って近場でも狩り尽くすことはなさそうだけどな。」

向こうの大陸の人族の国は浄化しないからな。
依頼で狩る分は維持されるのだろう。
コカトリスの取引用だけでも行き来をもっとし易くした方が良いな。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜

猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。 ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。 そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。 それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。 ただし、スキルは選べず運のみが頼り。 しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。 それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・ そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~

暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。  しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。 もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...