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第百六十二話

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ふむ、里は平和だ。
ちょっと下着の争奪戦は有ったが平和だ。
エルフさんたちはインベントリからケーキを取り出しては食べている。
ケーキの売り上げが下がるかと思えば釣られた寡婦さんたちも注文しているので、むしろ売れている。

カダイ王国のことは爺さんと買って来た奴隷に任せたので、俺たちは帰って来た。
買った奴隷の中には貴族に陥れられた真面な元貴族が居たので責任者に就けて丸投げした。
やり過ぎて犯罪奴隷に落ちることも無いだろう。
俺の犯罪奴隷に対する扱いを見ているだろうからな。
爺さんには大量のパンも渡して来たのできっと大丈夫。


「ナギサ、このアダマンタイトは凄いわよ。
使用者の魔力だけではなくて、周囲の魔力も集めているみたい。
ミスリルの何倍もの効果が出てるわ。」

ミュリエルがアダマンタイト製の知恵の輪を指輪代わりにして魔法を試したようだ。
凄いと言われても今は量産できないっすよ?
qの形にするだけで何回寝室へ入ったことか。
塊りから削り出して2個作るのに1日掛かりだったのだから。

「下着作りはこれを持ってやってみなさいよ。
きっと今まで以上に大量生産できるわ。」

渡されたアダマンタイト製知恵の輪の片割れを握って下着を作ってみる。
確かに俺の消費魔力は減っているような。

「周囲の魔力を集めるのが下手ね。」

まだ魔法を使い始めて数か月の俺に何を要求してるのよ。
熟練のミュリエルたちと同じことをいきなりやるとか無理よ?

それでもまあ、魔石に魔力を込める逆をイメージして、掌に置いた仮想魔石から魔力を集めてみる。
何も無い掌を上に向けただけだけど。

「ちょっと、ストップ。
こんどは急激に集め過ぎよ。
精霊が巻き込まれそうになったわ。」

イメージした仮想魔石が大き過ぎたか?
もっと小さな魔石にチェンジだ。

「いきなり勢いは衰えたけど、それで練習していけば良さそうね。
これを使えば敵の魔法や結界を魔力に戻せるのではなくて?
集めた魔力を魔石にでも貯めなくてはいけないかしら。
魔道具に落とし込めそうね。
アダマンタイトの盾でも作れたら無敵の防御ができるかもしれないわ。
しかも集めた魔力で攻撃できるから反撃も楽ね。」

ミュリエルは恐ろしい魔道具を開発しそうだぞ。
盾なんて作る魔力はどれだけになるやら。

アダマンタイトの塊りを持って魔力を集めて、その魔力で加工すれば良いのか?

「魔力は集まってはいるけれど、集まる側から精霊が持って行ってるわよ?
やはり魔石に貯めないとダメね。」

魔石からも精霊さんが持って行きそうだけどな。
魔石と言う器に入っていればマシなのかね。

「そうね、目の前に剥き出しで晒されているよりはマシよ。
これを瘴気の浄化にも応用できないかしら。
瘴気を魔石に集めてあの爺さんたちと同じように聖水もどきに漬けておくとか。」

まだあっちの大陸の元長老は聖水もどきに漬けられたままなのか。
瘴気がこびり付いてるのね?
付け置き洗いは基本だものな。

魔石から魔力を吸い出すイメージをしながら魔石に魔力を込めるとか、ちょっと難しそうなんですけど。
仮想魔石を卒業してからでないとダメかね。
魔石から魔石に魔力を移動させるイメージとか?
何にしてもアダマンタイトの加工が可能になるのは思ってたより早まりそうだ。


「おーい、精霊が魔力を精霊樹に持って来ているんだが、ああ、ミュリエルの言っていたアダマンタイトの効果か。
ナギサの魔力を直接もらってる訳では無いから影響は少ないな。
それでも花を付けるのが早まりそうだぞ。」

早まるほど持って行かれてたんかい。
と言うか、蜜蜂のように集めて精霊樹に与えちゃうんだ。
セラフィナは早まりそうなことがうれしいようだ。

「過剰な分は精霊樹にあげてしまうのよ。
足りなくなれば精霊樹からもらえるのだし。
そうね、さっきの魔力量では精霊樹の花も咲くわよね。
それでなくても聖水もどきを作っていると魔力を持って行ってしまってるのだもの。」

相変わらず聖水もどきに精霊さんが群がってるのだな。
俺が直接ここの精霊樹に何かしなくても精霊さんが代わりにやっているのか。
すくすく育ってるもんなぁ。

「おばばたちの里を回っている向こうの長老たちもそろそろ戻って来るだろう。
種の目途が立つのも思ったより早くなりそうだな。」

向こうの大陸の準備も整いそうなのだな。
5つの里が揃ってもらえるのか、例の里は遅れてしまうのか分からないけれど。
聖水もどき漬けの爺さんたちへの補充分も含めて他の里より多くマチルダさんが持って行ってるみたいだから間に合うのかもしれないな。
上空からも何度か撒いたらしいし。

それで精霊さんの浄化が進んで上手く転がっているらしい。
次回が有るなら、まず上空から撒く手順にするそうだ。
他にも大陸が有ったりするんだろうな。
精霊樹は何本まで増えるのだろうか。

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