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第百五十六話
しおりを挟む今日は別大陸への転移の中継地の島へ来ております。
ちっさっ。
小学校が建てられるかどうかの狭さだな。
大波が来たら沈みそうだぞ?
中央に樹が3本生えているから大丈夫なのかもしれないけど。
そもそも塩害で樹がダメになりそうなものだが。
転移ゲートの保護のために結界が張られたけれど、逆に樹がダメになったりしないかね。
向こうの大陸から浄化の済んだ長老たちのチェックのため、ここで一度会うことになった。
おばばたちまで立ち会っているのはあの精霊樹がそれだけ重要なのだろう。
結果としてはOKが出た。
マチルダさんの最初のときよりマシだそうだ。
しばらくここで浄化を受けていれば大丈夫らしい。
1時間くらいで済むそうだ。
一応漁業の中継地としても使いたいので桟橋でも作りましょうかね。
転移の魔力使って来るほど良いものは獲れるのだろうか。
セラフィナたちが探査したところでは魔物は少ないらしい。
普通の魚が多いのなら有望だよね?
待望の砂浜が有るので潮干狩りもしておこう。
アサリやハマグリが獲れればそれだけで転移する価値が有るかもしれないな。
両方とも獲れたので里にも砂浜を作って撒こうかな。
生態系的には大丈夫だよね?海で繋がってるのだし。
1時間が過ぎたので里へと戻る。
魚に関しては調査継続だな。
島までなら魔力の消費もそれほどでも無いようだ。
瘴気の濃い向こうの大陸へ行くのに消費が激しいらしい。
瘴気が邪魔でもするんかね?
あっちの大陸が浄化されれば軽減されるのかもしれない。
里へ転移した向こうの長老たちは精霊さんの多さに驚き、そして精霊樹に感激している。
まだ若木と呼んでいるけど大きくなったよね?
エルフさんの多さにも驚いているようだ。
普通に人族と一緒に居るからな。
向こうのように必要が無ければ会わない状況じゃないのだ。
特にここに住む人族は浄化が終わってほとんど瘴気を感じさせないだろうし。
精霊たちにも花はまだだと聞かされてそれぞれの里の浄化に勤しむ気になったらしい。
おばばたちの里も見て回るそうだ。
この里ほどではないけど、精霊樹周りは綺麗に浄化されているらしいからな。
浄化終了=種ができるタイミングを計るためなんだろう。
それであちらの大陸の瘴気が酷いことも理解できるだろうな。
食堂の一角に結界が張られた。
聖水もどきの対価として向こうの野生のコカトリスを受け取るためだ。
瘴気が酷いことが予想できるので結界の中での受け渡しだ。
案の定出されたコカトリスを見た途端にエルフさんたちが浄化し始めた。
瘴気だけを留める結界とか他にも利用方法が有りそうだぞ?
見ていた子供たちまでクリーンを掛けている。
瘴気を感じ取れるのかね?
「恐らくマネしているだけよ。
いずれ祝福をもらったら浄化もできるようになるかもしれないわね。
感じ取れるかどうかは怪しいけれど。」
ミュリエルが言うには人族が瘴気を感じ取るのは難しいようだ。
俺も黒い靄が有るかなーって程度だしな。
とりあえず向こうではまだまだ野生のコカトリスが獲れるようなので色々な対価にできるな。
浄化が終わったら絶滅危惧種になりそうだ。
ダンジョン産の小さいコカトリスで我慢するしかなくなるのか?
「どうせ離れた人族の国には残るわ。
討伐の依頼も減らないでしょうから入荷は止まらないわよ。
5本の精霊樹なら大陸全部をカバーできないし、人族が瘴気を増やしてしまうのでしょうから。」
人族ではコカトリスも倒せないか。
あっちの大陸の人族は弱弱だな。
なのに戦争ばかりしてるとか馬鹿じゃねぇの。
どうにか魔物倒して浄化された土地を増やせば良いものを。
向こうの大陸の人族には会ってないからどういう奴らか知らないけどな。
こちらの馬鹿貴族より馬鹿な気はするけど。
精霊樹を育てる結界の強化のためにも浄化は念入りにしないとな。
「大きな魔石も獲れそうだから結界を複数張っても良いかもしれないわ。
絶対に襲って来る国が在るわよね。」
まあ、有るだろうね。
他人の成果を掠め取ろうとする王侯貴族は多そうだ。
寿命が短くなってるらしいから余計にな。
関わると神罰で滅びる国が増えそうだぞ。
馬鹿を滅ぼしてゼロから始めた方が早いのかもしれないけど。
『どうせ瘴気で滅びてしまうなら早めても変わり有りませんよ。
空いた土地の浄化も楽になるでしょう?』
アマリア様からしたら100年や200年は誤差の範囲か。
馬鹿が居ない方が浄化も早くできるもんね。
下手すると精霊樹を中心とした階級ができそうだけれどな。
エルフさん至上主義にならなければ良いのだけれど。
『そこでナギサさんの役割が重要なのです。
エルフだけでは精霊樹は育たないでしょう。』
なるほど?
人族かどうか怪しいらしいけど俺の必要性がそこに有るのね。
子孫が偉ぶらないように気を付けないとな。
大体、俺の力だってもらったものなんだし。
よく見る王侯貴族のように祖先の功績の対価だけしか無いような者に成らないように教育だな。
「王都北側から王都を攻めようとしているらしいぞ。」
セラフィナは精霊さんからの情報係になってるな。
有用な情報なので助かるけど。
北側って関税を上げて稼ごうとした奴らだよね?
カッセル商会が取り引きを止めて終わった話じゃなかったんかい。
「どうやら運河ができたのを良いことに船で攻めて来るつもりそうだ。
進軍経路が特定できる時点で対策されてると思わないのか?」
普通は思うよね。
うちらだって運河を勝手に使われないように結界を張っているのだし。
海と違って逃げ場の無い運河なんて罠を仕掛け放題だろうに。
王城には船2隻しか注文されてなかったけど、兵士乗せた筏でも引っ張って来るのかね?
「ちなみにこちらの運河にはどんな罠が仕掛けてあるのかしら?」
ミュリエルは知らなかったっけ?
メインはいきなり運河が凍り付く奴かな。
蒸発させても良かったんだけど、また水入れるのが面倒なのでね。
蒸し焼きになって死人が大量に出ても処理に困るし。
「慣れない寒さでも死人が出そうね。
そんな中で進軍を続けるにしても帰るにしても目的地に着く前に疲労で動けなくなるわね。
氷の上を歩かせるのでしょう?
溶けたら皆溺れちゃうわよ?」
こちらの運河は深いからよじ登れないしな。
上から魔法や矢を射かけられたら全滅だろうし、そのためにも運河沿いに商会の建物が沢山有るのだ。
北側の運河は見てないけど、王城も馬鹿じゃないんだから対策は取っているだろう。
運河の目的が大量輸送なのだから人員が運ばれることだって予想してるはずだ。
「手を貸す必要は無いよね?
北の貴族たちの動きは注意してるはずだよね。」
「そうですね、関わって北の運河の管理を押し付けられても困りますし、傍観しましょう。
万が一のことが有っても飛行場へ避難して来るでしょうし。」
ミランダも手を出さないことに賛成のようだ。
飛行場には王都民すべてを収容できるだけの建物ができてるしな。
遷都するなら相談に乗るぞ。
王側が勝利すればまた運河を掘る人員が確保できるな。
この調子で運河網ができると国も発展するだろう。
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