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第百五十四話

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王弟が大使としてやって来ているカダイ王国の件はやはり食料問題だった。
北に有る国なので元から農作物は少なく、瘴気が濃くなって食料問題が悪化したらしい。
何百年も精霊樹が無かったためだな。
結局はあちらの大陸と同じことになっているのだ。

北国なら海の魚を獲れと思ったけど、瘴気のせいで魔物が強くなって難しいらしい。
そう言えば普通の魚より魔物の方が多かったな。

持っているダンジョンからは木材ばかりが出るので燃料に消えてしまうらしい。
果物とか落としてくれれば良いのにね。
もう少し深い階層からは食べ物になるものも出るらしいが、最近では10階層で精一杯だそうな。
そこまで向こうの大陸と一緒かよ。
まだ周りの国を攻めていないだけマシだな。

「大豆なら送れそう?
畑のお肉だから栄養は有るはずだぞ。」

向こうの大陸へ送るメインにしようと思ってたんだけどな。

「人手が増えたので時間さえ有れば間に合うとは思うのですけれども、更に農地を増やすべきでしょうか。
カダイ王国でも聖水もどきを撒くことはできますか?」

瘴気を片付ける方も考えないといけなかったか。
ミランダは商売以外のことも気にしてたのね。
近くにエルフさんの里も無いみたいだしな。

「どうせ精霊樹の種もまだまだみたいだし、現地を見に行こうか。
どのくらい撒けば良いか、そもそも撒けばよく成るのかも確かめないとな。

と、いやいやダメみたいだ。
王や貴族は信用できないらしい。
あの王弟が例外みたいだな。
捕えた嫡男みたいなのが普通にゴロゴロ居るらしいぞ。」

セラフィナが精霊さん情報を得たようだ。
下手に飛行機で直接行ってたら、またトラブルになってた?


カダイ王国、瘴気は向こうの大陸ほどでは無いが濃いらしい。
そして魔力が薄いとか。
転移ゲートでも置けば良いかと思ったけどカダイ側の者では魔力補充ができないか。

「魔物も瘴気だけで手ごわくなっているようだな。
これでは倒してもあまりレベルが上がらないだろう。
精霊の数が減って農作物の育ちも悪いようだ。」

浄化を進めないといけないけど、現地の王侯貴族は信用ならないっと。
手を貸して大丈夫なのか?
飛行機で運ぶのも躊躇ためらわれるな。

爺さんはご近所なんだよね?
ちょっと聞いてみるか。

「そうじゃな、その情報は正しいじゃろう。
正論でなだめる王弟を外へ追い出しておるのじゃな。
他の者が交渉に出ても断られるのが分かっておるから便利に使われておるのじゃのう。」

ある意味詐欺じゃん。
下手にカダイ王国へ入ったら人質にされそうだ。
王弟が結んだ契約とか無視して来るんだろうな。


「爺さんのところは瘴気とか大丈夫なの?
さすがに神官が一杯居るから浄化してる?」

「隣のカダイほど穢れてはおらんがフォレスティエほど浄化もされておらんのう。
この大陸では一般的な瘴気濃度じゃろう。
神官が多くおるのにこの状態なのは隣のカダイの影響じゃな。

ナギサ殿たちなら大丈夫じゃろうが、カダイへ派遣した神官らは貴族に良いように使われて農地の浄化ができん状態じゃった。
今や誰もカダイへ派遣されておらんのう。
地元生まれの者が教会を維持しておるだけじゃ。」

農作物が足りないのも自業自得なのね。
次に神罰が降るとしたらカダイか?

「そうなるかもしれんのう。
先にあの団地とやらを作り始めた方が良いかのう。
王弟にそこを納めさせれば良いじゃろう。」

とりあえずそこにカッセル商会の店を置いてカダイから取りに来させれば良いかね。
難民が来たらそのまま営業しちゃえば良いのだし。

『レベルの高い神官を配置してね。
いずれ攻めて来たら神罰執行よ。』

おお、アマリア様としては神罰は既定路線なのね。
周りの国に戦争吹っ掛けて瘴気増やさせる訳にもいかないだろうしな。
何よりアマリア様のしもべの国を攻めて来たら誰もが神罰に納得するだろう。

「レベルの高い神官を配置しろってさ。」

俺の言葉で皆も神罰への道筋を理解したようだ。
攻める気を失くすような城塞都市でも作ろうかね。


「そうか、例え神罰が降らなくともカダイは長くないとは思っていたが。」

王弟さんに隣国の難民用の土地での販売と知らせたら理解したようだ。
難民用と言っちゃってるし。

一応カダイの商業ギルドとの取引の形にしたけれど、王侯貴族がちょっかいを掛けて来るんだろうな。
そうしたら商業ギルドが撤退してもっと困るのだろうに。

「瘴気が溜まると滅びる国が増えるのは歴史で知っておるじゃろうにのう。
自身に降り掛かるとは思わんのじゃな。
特に王侯貴族は自分たちを特別だと思って居るしの。
少しは気付いて持ち直してくれる国が出ると良いのじゃがのう。」

歴史が繰り返されるのはこちらでも一緒か。
どうせ自分に都合が良いように考えるからな。
考えている最悪のシナリオは、きっと現実には敵わないぞ。

レベルアップした神官たちを連れて建築の実践練習でもしましょうかね。
どうせなら一夜にして国境に壁ができてるとかが面白いんだけどな。
アマリア様のしもべの国ならそのくらいの奇跡っぽいものを見せても良いんじゃね?

うちらの里じゃ建物がポコポコできるのは日常茶飯事だけど。

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