上 下
147 / 261

第百四十八話

しおりを挟む

驚いたことに他大陸からもエルフさんが来た。
転移するための魔力が足りず、魔力タンクとしての魔石に充填するのに時間が掛かったそうだ。
精霊さん情報だけでこちらの大陸に跳んで、それからこの里を目指したらしい。
目的は分かり切ったことに精霊樹の種だろう。
ちょうど滞在しているおばばたちと話し合っている。
他の精霊樹もここと同じくらいの時期に種を落としてくれると良いのだけれど。
代わりを納めずにアマリア様からもらえはしないだろうからな。
それでなくても前回は足りない分多くもらってるし。

「この子が特別だっただけよ。
他の精霊樹はこの子ほどナギサの魔力が入っていないわ。」

ミュリエルによれば、他の精霊樹からすぐに種を手に入れるのは難しいらしい。
しばらくは帰りの魔力を魔石に込めるため、こちらに滞在するらしいのでその間に解決策でも見つかれば良いのだがね。


そのエルフさん、マチルダさんの里の精霊樹も人族の手によって枯らされたらしい。
それからは長いこと人族とは没交渉だそうだ。
一応精霊さんからこちらの情報を集めたようで、あまり人族に抵抗の無いマチルダさんが選ばれて来たらしい。
それでも人族と一緒に食事してる光景には驚いているようだ。

それにしても結界を張れる精霊樹をどうやって害したのかね。
魔法にも優れるエルフさんたちにも守られていただろうに。

「結界を切り裂く魔剣が有ると聞くわ。
それに人族の方が人数多いから人海戦術で来られたら負けるわね。
戦いともなれば瘴気が溢れて精霊樹も弱ってしまうもの。
今ならこの里を中心にゲートで繋がっているから多少の人数で攻められても大丈夫だと思うわ。」

精霊樹を育てるのに念入りに浄化してたもんね。
戦場に聖水もどきを撒けば浄化できるかも?

「いざとなったら飛行機で上から滅ぼしてあげるわ。」

制空権持ってるのは強みだわな。
やはり下手なところへ飛行機を渡せないか。


あちらの大陸には5つのエルフさんの里が有るそうだ。
できれば5個の種が欲しいと。
100年くらい経てばどこかの精霊樹から採れそうなものだけど。
それでも精霊樹を目の当たりにして待ちきれない様子だ。
おばばたちに散々浄化魔法を掛けられていたときは涙目だったのにな。

おばばたちも前回アマリア様に余分に種をもらったことを覚えていて、アマリア様に頼んでくれとは言って来ない。
予備が減って困るのはエルフさんたちも一緒だからな。
それに100年くらいはエルフさんにはすぐだろう。

とりあえず他大陸の里とのゲートを作ることになった。
こちらへ来る転移に使った魔石を組み込むそうだ。
頻繁には使えなさそうだな。
途中に島とか、中継地は無いのかね?
転移で来ちゃってるから分からないか。

「ゲートを繋ぐにしても一度飛行機で向かってみるしかないだろう。
良い中継地があれば楽なんだがな。
島であればサメも魚も獲り放題だろう?」

セラフィナは飛行機での遠乗りに前向きのようだ。
誰も居ない島なら自由にできるけどな。
長距離飛行の魔力は大丈夫なのかね?

「飛行機での移動なら途中でポーションも飲めるだろう?
ふたり居れば大概は間に合うだろうさ。」

セラフィナがふたり居ればこの星を一周できたりするのかね。

「ナギサは聖水もどきの量産を頼む。
マチルダの状態を見るとあちらの里を浄化しなければいけないだろう。
種ができるには、まだ時間が掛かるとしてもな。」

どうせ精霊樹を植えるにしても必要だものね。
今や聖水もどきは楽に作れるようになったから良いですよ。

「また強力になっているな。
スケルトンに掛けたら丸ごと消滅するんじゃないか?
精霊の群がり方が凄いことになってるぞ。」

レベルが少し上がったからかな?
まあ、アマリア様の格が上がったのが原因だろうけど。
ゾンビ階層に撒けばあの異臭は消えるかね。

「人族が作ったものにこれほど精霊が群がるなんて。
何が起きているのです?」

マチルダさんには刺激が強かったか。
人族にも色々居るんですよ?
俺はまだ人族だよね?

おばばがマチルダさんに俺のことを説明しているようだ。
ついでに精霊樹の若木をもらったことを自慢している。
煽ってどうするんだ。


『種ができるにはしばらく時間が掛かりますね。
またナギサさんの魔力を注ぎ込んでも良いのですけど精霊樹に無理をさせてもいけないでしょう?
それでもあちらの浄化が済むころには間に合うと思いますよ。』

こちらの精霊樹がダメになったら困るものな。
種が早々にできたのは俺の魔力の余剰分だったのかね。
最初はやって来たエルフさんたちも聖水もどきを撒き捲っていたものな。
あちらの浄化に時間が掛かるのか、種が思いの外早くできるのか分からないけれど、早めに解決しそうだな。

「そうか、かなり早いな。
また7つ種ができれば女神に少し返せる。
この聖水もどきを与えておくか。」

セラフィナもアマリア様が渡した以上に与えてくれたことを覚えていた。
やはり念のために保管してもらっているのは大事なことなんだな。
聖水もどきなら過剰にならなくて済むか。

しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

異世界召喚されたと思ったら何故か神界にいて神になりました

璃音
ファンタジー
 主人公の音無 優はごく普通の高校生だった。ある日を境に優の人生が大きく変わることになる。なんと、優たちのクラスが異世界召喚されたのだ。だが、何故か優だけか違う場所にいた。その場所はなんと神界だった。優は神界で少しの間修行をすることに決めその後にクラスのみんなと合流することにした。 果たして優は地球ではない世界でどのように生きていくのか!?  これは、主人公の優が人間を辞め召喚された世界で出会う人達と問題を解決しつつ自由気ままに生活して行くお話。  

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜

猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。 ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。 そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。 それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。 ただし、スキルは選べず運のみが頼り。 しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。 それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・ そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。

イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位! 死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。 閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話 2作目になります。 まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。 「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...