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第百三十一話

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難民の数はどんどん増えて2つの団地で5万人に達したそうだ。
フォレスティエ王国の下手な領地より多い人口らしい。
団地を作っているエルフさんたちにも一棟金貨10枚払われている。
1000万円相当とか格安な団地だな。
ミランダたちはもっと払おうとしたのだが、ケーキの回数券を要求されたそうな。
どこから回数券の話が漏れたのやら。
100枚綴りとかでも大した金額では無いはずなんだけどな。
今回は回数券を使うと優先的にケーキを受け取れるようにしたそうだ。
それを聞いて団地造成に参加するエルフさんが増えたとか。


派遣されている神官たちにも報酬が払われている。
本当なら治療される本人がお布施的に教会へ納めるべきでは有るが一応ミランダたちのサービスだ。
お金が無い人が素通りして伝染病が出るよりは良いからな。

そんな中、ケイトたちは欠損再生も見せたようだ。
魔物に襲われて旦那と指を失った母子らしい。
対価を払えるはずも無く、そのままケイト付きの侍女に召し上げた。
寡婦さん全員がこちらに送られてくる訳じゃないのね?
意図してアマリア様が団地に送ったような気もしないでもない。

爺さんはその治療を見逃したのを悔しがっていた。
今日は見逃すまいと団地へと向かっている。
自分で休みにしたのだから仕方あるまい。
5万人も居れば何人かは魔物被害を受けている人も居るだろうから再生の場面を見られるかもね。
どうせ難民の数はまだ増えるのだし。
爺さんは魔力も多そうだから見てイメージ作れれば、すぐにでも覚えるかもしれない。


俺は相変わらず綿の服と下着を作っている。
半分は商品らしいので有れば有るほど良いのだそうだ。
大分飽きて来たので時折縞パンや熊パンを混ぜている。
侍女さんたちが速攻で買い上げてしまうのだけれど。

孤児院の子供たち用には名前入りで作ってたりする。
まとめて洗濯するだろうから区別できるようにだ。
女の子たちは自分の下着は自分で洗う習慣ができていたらしいがそれは続くのだろうな。
柄入りのは最初のときから奪い合いに近いことが起こるらしいから、もっと色々な柄物を渡した方が良さそうだ。
じゃんけん大会が長引くらしいし。

自分で稼いだお金で買いに来たりもするそうだ。
子供用は値段を抑えたのでちょっとした手伝いの駄賃で買い物を楽しんでいるようだ。
男の子たちは大体食べ物でお金を使ってしまうので服や下着には無頓着らしい。
孤児院の食事は十分出しているはずだけど、屋台で食べるおやつは別腹なんだろう。

食堂でも皿洗いのアルバイトをする子供たちが沢山居るしな。
寡婦さんたちの子供と孤児院の子供が混ざって仲良くしているなら良いことだ。
学校へ行くようになると稼げなくなるのをどうにかしないといけないか。
奨学金みたいに支給するかね。


気を抜いていると色柄物が増えてしまう。
料理を運ぶついでにチェックして買って行く食堂関係者が交代でやって来る。
何か食堂で作業するのに慣れてしまったので今日も食堂で作っていたりする。
ついでにエルフさんは魔物素材を出してオーダーしてるし。
カタログ見ながら細部は注文を入れて来る。

食堂の一角に更衣室ができているのですが?
この場で下着を着替えてるのかい。
ちゃんと全身の映る鏡が設置されてるし。

トルメキとトライアの元王族たちも蜘蛛素材のダンジョンへ行っているみたいだし、服のオーダーが増えるな。
あの階層はエルフさんたちが沢山居るから大丈夫だろう。
一応ソフィアたちも付いて行ってるので安心だ。


ちょっと服作りを休憩してケーキを作る。
果物が手に入ったのでフルーツたっぷりのケーキで。
素材を出してから創造魔法で作り上げる。
料理人さんが早速ひとつを見本に持って行った。
すぐに手作りで出来上がるのだろうな。

ついでにアップルパイも。
すぐに作り始めたようなので今日中にはメニューに載りそうだな。
エルフさんたちが新しいケーキとアップルパイに挑戦している。
チョコの消費が少しは抑えられるだろうか。

昼前なのに食堂が甘い香りになってしまった。
ご飯を食べに来た人も気になるようだ。
エルフさんたちが群がってると大概美味しいからな。

俺たちも昼食にした。
コカトリスを使った親子丼だ。
魔物なので卵を産まないから親子じゃないけどな。
これならスプーンでも食べられるだろう。
食堂用にめんつゆを沢山出しておいたので料理人さんも覚えたようだ。

「あら、オムライスとは違うのね?
わたしにもひとつ頂戴。」

ミュリエルが早速注文した。
三つ葉も俺が出したものなのでこちらに有るか聞いてみる。
あれって日本原産だったような。

「これは見たことも無いわね。
種を造って育てるしかないのではない?」

山野で薬草を取るミュリエルが知らないんじゃこちらには無いか。
どこかの農場で育ててもらうか。
お雑煮にも入れたいしな。

「これも卵に完全には火を通さないのね。」

先人の努力で安全な卵が出回ってたからな。
TKGとか食べられる国なのでね。
そう言えば醤油の出来も確認しないといけないな。
大豆を作ったときに味噌と一緒に頼んでおいたけど、どうなってるやら。

「このフルーツ一杯のケーキも良いわね。
アップルパイも美味しいわ。
果物でお酒も作るのでしょう?」

それも有ったか。
日本酒やビールは始めているはずだ。
まずはここで始めて、団地とか領の各地へ広がると良いな。
エルフの里にも広がるんだろうけど。

とりあえず衣食住を抑えているのでカッセル商会は安泰だろう。
食はもっと増えるだろうし。

まずは見本を出して味見してもらうか。
ミュリエル以外にもエルフさんや寡婦さんも集まって来て大量に出すこととなった。

「ワインは有るけど、これはまた美味しいワインね。
何が違うのかしら。」

多分熟成期間の違いかな。
こちらでは若いワインしか飲んで無いし。

「そう、時間が掛かるのね。
時空魔法でどうにかできないかしら。」

時間早送りができるのならゆっくりにもできそうなものだけど、あのアマリア様が使ってた時間の差が出る空間は作れてないのだよな。

「そうよね、女神しか時間は弄れないのかしらね。
その空間にワインを保管してもらえば時間が稼げるのではなくて?
女神に飲まれてしまうかもしれないけれど。」

なるほど、中の1時間が外の数分ならばワインを寝かせることもできるか。
確かに飲まれてしまうかもしれないな。
天使の取り分ならぬ女神の取り分だ。
いや、天使の取り分も出るのだろうから大分減ってしまうじゃないか。

『十分寝かせる前に飲んだりしませんよ。
美味しくなってから何本か供えてもらいます。』

そりゃそうか。
それでも持って行くのは確定なのね。
ミュリエルたちにも持って行かせるのだろうに。
まあ、置かせてもらえるなら手間賃は仕方ないか。

蒸留もできるようにしないとな。
午後は何樽か創造魔法で作って置かせてもらうか。
見本が有った方が作る方の気合が違うしな。

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