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第百七話
しおりを挟む現在グリエール侯爵領領都カッセルには男性のエルフが沢山居る。
こちらに入れないのを知りつつ近くまでは来た者たちだ。
精霊樹の情報は精霊たちからもらっているので状況は分かっているはず。
彼らは長老さんが精霊樹の種や苗木を持って帰るのをサポートするつもりで居るらしい。
その数倍の女性エルフたちが来ているので必要無いらしいのだが。
それでも精霊樹に少しでも早く関わりたいのだそうだ。
運河作るときに商人用の宿泊施設を沢山作ったのが役に立っているな。
彼らのお陰で周辺の魔物退治が捗っているそうだ。
自費で来ているので冒険者として稼いでいるらしい。
魔物を退治してくれるし、経済は回してくれるしで良いお客さんだ。
俺たちが何か対処することは無いけどな。
下手すると長老さんたちも気にしていないかもしれないし。
アマリア様から精霊樹の種が放出されることを聞き及んで長老たちはそれぞれ準備を始めた。
種を植え、苗木を育てる場所の確保だ。
長老さんたち及び代理人たちは10人に増えているので、なるべく育った精霊樹と同じような環境になる場所を選びたがった。
大神殿の影響も有ったのだろうからな。
そして始まる聖水もどき散布。
まだ花から種になるのは数日掛かるらしいのに植える準備が始まってしまった。
倉庫に沢山の聖水もどきの樽を詰め込んでおいたので当面は間に合うだろう。
セラフィナが仕切っているので過剰に撒かれることも無いだろうし。
エルフたち自身の浄化も行われているようだ。
エステに行ったり神殿で長い時間を過ごしたりして浄化されている。
数日、精霊樹の近くに居るだけでも浄化されているらしいのだけれど。
もう精霊樹の働きをし出しているのだな。
と言うか精霊樹は植えて2・3日で苗木と言うには大きすぎる程に成ったよね?
あの急成長が有ると持って移動できないんじゃないの?
「ナギサが与える魔力を調節すれば大丈夫だ。
10mくらいまでなら長老たちがどうにか運べるだろう。」
10mでも精霊樹だと苗木なのかい。
今の精霊樹が200mくらいなので確かに苗木かもしれない。
「各地に持って行ってからナギサに魔力を注入してもらった方が良いのかもしれないな。
おっと、各地で先に聖水もどきを撒いてもらわないといけなかったな。
ナギサ、聖水もどきを沢山作ってくれ。」
ああ、苗木を移植する場所も浄化しておかないとな。
現地では場所の選定も終わっているのだろうか。
種をもらえるつもりで来ているのだろうから決めてあるか。
長老さんたちは地元へ帰って準備をするメンバーの選別をしているようだ。
どうせならカッセルでうろうろしてる男性陣を使えば良いのに。
「そうだな、それ採用。
聖水もどきの運搬は男どもに任せよう。
皆が発芽のための魔力を込める機会を逃したくないからな。
精霊が何をすれば良いか教えてくれるだろうから、雑事は男に任せておけば良いだろう。」
セラフィナも長老さんたちも男たちに現地の準備を任せてしまうらしい。
精霊樹の芽が出るときのお世話は滅多に無い機会だものね。
これからずっと『この精霊樹はわしが育てた』と言えるよね。
書状とともに聖水もどきの樽がカッセルに運ばれることとなった。
現地を整える大事なお仕事だからエルフの男たちもカッセルで冒険者してるよりもやりがいが有るだろう。
そう言えば彼らの浄化はどうするんだろう。
俺はやらんよ?
「ああ、そうね、浄化しなくてはいけなかったわ。
ナギサ、飲む用の聖水もどきも追加でお願い。
彼らは調子に乗って魔物倒して瘴気浴びてるのだろう?
聖水もどきの風呂にでも入れないとダメかな。」
宿の水は全部聖水もどきに変えちゃうか。
ああ、いや、蛇口に相当するところは魔道具だったな。
浄化の魔力も混ぜるとかで対応するしかないか。
やっぱり沐浴用の大浴場でも備え付けた方が良いのか。
まあ、現地で聖水もどきを撒いていれば浴びて浄化されるかもしれんな。
聖水もどきの需要がこれほどとは思わなかった。
恐らく性能アップしてるので結果を確かめた方が良いぞ。
その辺に撒いたので分かってるか。
これを含めて精霊樹に成る確率が上がってるのかね?
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