79 / 261
第七十九話
しおりを挟む今日も同じ予定を熟すかと思いきや、領都カッセルへ連れて行かれる。
トルメキ王国からソフィアの帰還要請がしつこく来ているそうだ。
お断りの手紙送ったとか聞いているのだけれど。
使者がまだカッセルに居るらしいので直接断ることとなったのだ。
俺が付いていく必要有る?
ああ、はい、ソフィアを嫁にしたのが俺だからか。
ソフィアには手袋をさせてポケットに右手を入れたままにさせておこう。
欠損再生は内緒のままの方が良いだろう。
グリエール侯爵邸で使者とご対面。
ソフィアも知っている宰相補佐の人らしい。
「ソフィア様には魔国から婚姻の打診が来ております。
ぜひ王国へお戻りください。」
「ですから、わたくしは既に王族を離れた身。
更にはナギサ様の妻となっていますから諦めて下さいませ。」
「いえ、ソフィア様の身分は王族に復帰されています。
それに魔国であれば怪我の治療の実績が有ると聞かされています。」
はい、ダウト。
欠損再生で他所の人の実績は無いね。
アマリア様に聞いているのだから確かだ。
いや、ただの治療と誤魔化されているのか?
どっちが誤魔化してるのか知らないけれど。
「欠損の治療はできないと聞いていますわ。
魔国でもそれは不可能でしょう。
もしかして欠損を誤魔化して嫁がせようとなさったのですか?」
「いえ、正直にお伝えして有ります。
その上で治療が可能だと返事をもらっているのです。」
成程、魔国とやらが嘘付いてるのね。
そんなすぐにバレる嘘付いてどうするんだか。
「それは偽りを言われたのですね。
実際に治療されるのをご覧になられたのですか?」
「いえ、それは先方がおっしゃることを信じるしか有りますまい。
何でも大掛かりな儀式になるそうですから。」
儀式?そんなのアマリア様にも聞いたこと無いけど?
魔力集めとかするんかね?
それで?その見返りにソフィアの身柄だけじゃないよね?
「儀式をしてまでわたくしの治療をして魔国に何の得が有ると言うのですか。
わたくしが嫁ぐだけでは無いのでしょう?」
「それは……、確かに金品の要求もございますが、ソフィア様の治療が叶うので有れば陛下は安いものだとおっしゃられています。」
「恐らく詐欺ですわ。
魔国本国に問い合わせた方がよろしいと思いますわ。
話を持って来た者は何者なんですの?
大体わたくしの怪我を知っている時点で怪しいではありませんか。
トルメキはそれ程情報が筒抜けになってしまったのですか?」
「いえ、確かにどこから情報が漏れたのかは不明です。
魔国の筆頭魔法師とのことですから魔法で知り得たのかもしれません。」
「とにかく魔国に確認を取ることが先決です。
どちらにせよ、わたくしはナギサ様の妻ですので帰国も魔国への輿入れも有り得ません。」
ミュリエルたちみたいに精霊さん情報が取れる訳でもあるまいに。
漏らした奴諸共捕まえた方が良さそうだぞ。
ソフィアの事件の加害者の元婚約者はその場で切り殺されてるんだから、その関係者の逆恨みとかが有力だと思うぞ。
「ああ、良いかな。
魔国の筆頭魔法師は人族では無いぞ。
そもそも人族が敵わない種族が沢山居る国だからな。
来たのが人族ならその時点で詐欺だな。」
流石セラフィナは魔国のことも知っているようだ。
情報を得る手段を魔法と推測した時点で人族だと分かったのかな?
使者さんの顔色が変わったので自称筆頭魔法師は人族みたいだ。
魔国と言うくらいだから魔族とか居そうだよね。
魔国の王が魔王?
この世界には魔王も勇者も居ないんだっけ?
「多分元婚約者の関係者が仕掛けた詐欺だね。
欠損再生が他所の国でできたとは聞いてないし。
誰に輿入れさせるつもりか知らないけれど、使いっ走りだけを寄越すとか無いでしょう。
鑑定しちゃえば一発で解るんだけどな。」
「ああ、それが正解みたいだ。
中々良い勘してるじゃない、ナギサ。」
セラフィナが精霊さん情報で顛末を知ったのか。
取り急ぎ使者はこの情報を持って帰るようだ。
国が騙されてるかもしれないとなれば焦って帰るか。
またトルメキで貴族家がひとつ消えるかもしれないね。
それじゃあ俺たちも帰りましょうかね。
確か元王妃側妃たちの番が来るんだったか。
その前にアマリア様だっけか。
帰りの船の中で服と下着は作っておこう。
その後はなんちゃら公爵の元夫人とアグネスだったな。
アグネスにはあちら風のシスター服も用意して、後は皆ゴージャス系だな。
宝石が手に入ってないからクリスタルガラスでどうにか飾り付けようか。
炭を材料にしてダイヤモンドとか……できるのかよ。
魔力の消費がとんでもないぞ。
アマリア様の分だけで勘弁しといてね。
0
お気に入りに追加
1,466
あなたにおすすめの小説
【R18 】必ずイカせる! 異世界性活
飼猫タマ
ファンタジー
ネットサーフィン中に新しいオンラインゲームを見つけた俺ゴトウ・サイトが、ゲーム設定の途中寝落すると、目が覚めたら廃墟の中の魔方陣の中心に寝ていた。
偶然、奴隷商人が襲われている所に居合わせ、助けた奴隷の元漆黒の森の姫であるダークエルフの幼女ガブリエルと、その近衛騎士だった猫耳族のブリトニーを、助ける代わりに俺の性奴隷なる契約をする。
ダークエルフの美幼女と、エロい猫耳少女とSEXしたり、魔王を倒したり、ダンジョンを攻略したりするエロエロファンタジー。
死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜
猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。
ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。
そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。
それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。
ただし、スキルは選べず運のみが頼り。
しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。
それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・
そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
元勇者のデブ男が愛されハーレムを築くまで
あれい
ファンタジー
田代学はデブ男である。家族には冷たくされ、学校ではいじめを受けてきた。高校入学を前に一人暮らしをするが、高校に行くのが憂鬱だ。引っ越し初日、学は異世界に勇者召喚され、魔王と戦うことになる。そして7年後、学は無事、魔王討伐を成し遂げ、異世界から帰還することになる。だが、学を召喚した女神アイリスは元の世界ではなく、男女比が1:20のパラレルワールドへの帰還を勧めてきて……。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる