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第六十九話
しおりを挟む俺が知らなかっただけで、すぐに王太子の結婚の日が来た。
俺の周りでは知られていたので、興味無くて聞き流したかな。
ということで、お披露目のパーティに同行してドレスの修正やら髪のお手入れをさせられている。
まだパーティ開始前なので控室をもらって王妃たちやミランダたちに軽いケア。
なんやかんやとミュリエルたちやケイトたちも来ているので施術の手は十分。
そんな中、王までやって来た。
なんかお久しぶりだね。
ミュリエルとセラフィナが褒章もらって以来かな。
王妃と王太子の依頼で王にも施術している。
40歳ちょっとという割には老けて見えるな。
王妃たちの変貌以来、老化が加速したらしいけど。
髪と顔と首回りの施術で十分だろう。
身体はゴム手袋ができてからだな。
おっさんの腹とか触りたくないもので。
ついでに愛人さん2人にも施術することとなった。
王妃たちの勧めと愛人さんたちの要望によって胸の施術も含めて行う。
王はやはり俺に触れさせるのを躊躇っていたが、いざ胸の施術の効果を目にしたらコロっと態度を変えた。
まあ、分かり易い効果だからな。
これからの隠居生活のためにも必要だろう?
ブラの付け方外し方まで王はじっくり学んで行った。
女装に目覚めた訳じゃないだろうな。
特注品とか作らないよ?
パーティが始まると俺たちは会場の一角で控えている。
一応お直しが必要な場合に備えては居るのだが、ミュリエルたちは普通にパーティを楽しんでいる。
俺たちも少しは飲食しては王妃たちの連れて来る女性に軽く施術したりと過ごしていた。
衝立の向こうに入ると艶々の髪になって出て来る状況をご婦人方は注目している。
こちらの身内の紹介が無いと施術しないので、王妃たちやミランダたちの影響力増大に寄与しているだろう。
艶々の髪の美女集団に興味を持つ男が偶に出没するが、女性の化粧直しを覗きに来た変態として追い返したのでダメージも十分だろう。
大体、王妃側妃たちやジャクリーヌさんがご婦人を連れて来ているのにちょっかいを掛けようとは、空気読めなさ過ぎだ。
それでなくても紹介してもらえていないご婦人たちが注目しているのだから、男どもがやらかしたすべてを目撃されているのだ。
「ナギサさん、シミが出ている方にも対応できるかしら。」
「一度では解決できないけど、シミを消せる可能性は有りますよ。
普段のケアを何度か受けてもらうことで対処できるはずです。」
ジャクリーヌさんが連れて来たご婦人がちょっと厚化粧なのはシミ隠しか。
程度の問題は有るけど施術でどうにかできるはず。
手の甲にも有るそうなので試させてもらう。
美白の化粧品も考えた方が良いのだな。
今使っているローションでも十分っぽいけど。
要は沈着したメラミン色素を排除すれば良いのだよな。
美白を意識して施術をしたらほぼシミは消えている。
ケイトたちを始め、皆驚いているけど、日焼けのケアのときにその仕組みとか説明していなかったっけ?
していなかったようだ。
教えればすぐに皆もできるようになるかな。
そばかすの有る人とかも多そうだしな。
さっそく顔のシミも施術した。
消えた訳ではないけど、これなら厚化粧にならなくて済むな。
2・3回の施術で消えそうだし。
「これは表面に有る訳じゃないから洗うときにゴシゴシやったりしたらダメですよ。
肌自体が荒れてしまいますからね。
普通の色素沈着なら治せるはずです。」
マノンさんみたいに瘴気が絡んでると手間が掛かるからな。
あれも瘴気排除を意識すれば良いのか?
瘴気自体が良く判らんからダメか。
これも商売に成りそうとケイトたちも習得する気満々だ。
あっちの知識で解決できることはやはり多いな。
俺の知識が生半可なのが一番の問題だ。
ま、できる範囲でやれば良いか。
さて、パーティ終盤、王太子が王位を継ぐことが宣言された。
パーティでやっちゃうのかよ。
戴冠式くらい貴族集めてやってやれよ。
え、王冠が無いんすか?
何か色々儀式的なものを蔑ろにする世界だな。
結婚の方は最初に報告したんだっけ?
まあ、何のためのパーティかは最初に宣言するか。
ダンスとかも無かったし、俺の知ってる異世界貴族のパーティと違うー。
ダンスが無いんなら、もっとヒールの高いの履かせても良かったな。
うちの娘らには履かせてるけどな。
ミュリエルたちも履いているけれど、高い運動能力でダンスも踊れちゃうんだろう。
踊る相手の俺が踊れないけどな。
それにしてもファッションモデルばりに歩く姿が注目の的だ。
十分ファッションモデルだな。
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