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第四十九話

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今日から暫定的に侯爵領領都カッセルと王都で空輸をすることになる。
セラフィナとふたりでカッセルへ行って塩を預かり、王都へと飛んだ。
ギルドの仕事しか入っていないようだ。
俺たちが売った塩なのでちゃんと運びますよ。
これなら飛行機飛ばさなくても運河の開通を待てば良さそうだな。
カッセルへ送る品物は今のところ無い。

折角の王都なので冒険者ギルドにも寄る。
シルフィーさんの受付に行くと糸素材をたんまりと出された。
依頼は好評のようだ。
追加の依頼金を預けておく。
シルフィーさんによれば新公爵領でもアロエや糸素材は十分獲れるそうだ。
ただ、他の魔物も多いので子供がアロエを採りに行くのはお勧めしないと。
セラフィナが魔物を間引くことを考えているな。
あちらでも寡婦さん集めてレベルアップの狩りでもやりますか。


「ではまず、領軍に残る者の訓練を致しましょう。
足りない分は女性騎士を育成致します。
それに合わせて寡婦たちのレベルアップを図ってもよろしいのではないでしょうか。」

ただ、癒着していた商人も拘束されているので、このままだと流通が滞るよね。
そうすると食べられない者も出て来るだろうし。
カトリーヌ王女としてはその辺を忘れているようだ。
急に歯車を外しちゃったので色々困る事態になりそうだ。

取り敢えず各町で領軍を護衛にしてアロエ採りの仕事を作るか。
徐々に商会で雇ってレベルアップさせてとやっていくしかないかな。
後は教会で炊き出しもしてもらった方が良いな。
今のままでも貧しそうだったからね。
ついでに治療もやった方が良いだろう。
聖女見習い組にその辺をお任せしよう。

カトリーヌ王女もあの住民の様子を思い出したようで、炊き出し等に賛成した。
王女の名前でやっておけば新領主の宣伝としても良いだろう。

昼に戻ってその話をしたので午後は手分けをして新公爵領を巡る。
車も有るので今日中に回れるだろう。
商会の建物建てて何人か置いても良いだろう。
戦闘侍女さんたちなら何の問題にもならないし。
グリエール侯爵領と違って上手く行ってない領地なのですることは多くなる。
ちょっと王太子に後で文句を言っておこう。

こっちも早く運河掘っちゃった方が良いな。
侯爵領の方はあと数日掛かるらしいので、公爵領は俺たちがやってしまおう。
まずはカッセルから公爵領領都、そして王都へと街道沿いで良いだろう。
ミュリエルとセラフィナが本気で掘り進めているので早い早い。
俺は遅れて結界と照明の魔道具を設置して、偶に橋を作って行く。
今夜中に終わりそうな勢いで掘っているけど休まないつもりかね?
町の近くには俺が商会の建物と倉庫を作っては追いかけていく。

流石に夕食の時間を過ぎたところで帰還することになった。
スケジュールの順守の方が大切なんだそうだ。
まあ、沢山待たせちゃってるもんね。


集めた寡婦さんたちの促成栽培の予定も立てた上で、カトリーヌ王女の女性騎士計画も話し合う。
紹介状を出した先の令嬢とか引き込むつもりのようだ。

その前にカトリーヌ王女の公爵名考えなさいな。
いつまでも新公爵領とか呼んでるのも面倒になってきたから。
結果、スプリングが採用されました。
俺の苗字、春野由来で。
ハルノが採用されそうになったのでちょっと変えてもらいました。

スプリング公爵領は国から人手とお金を出してもらうことで住民の救済を急ぐこととなった。
もう、運河掘りに使ってる人員をこっちに回しちゃうか。
国軍と合わせて魔物狩りさせるのも良いんじゃない?
不良物件押し付けられた感じなので、もうちょっと王太子にも働いてもらいましょうかね。
カトリーヌ公爵の周りは王妃たちがブレーンに付くみたいだしね。
とは言え、実際の業務はこれから任命する家令にやらせるだけだろう。
その前に大まかな方針を作るようだ。
こちらの領地は魔改造する余地が沢山有るので運河を開通させた後も忙しくなりそうだな。

こちらの領地でも稼げるものが見つかると良いのだけれど。
このままだとミランダのグリエール侯爵領のお零れ頼りに成りそうだしな。
まあ、数日でどうにかできるものでも無いので、運河掘りながら住民のケアをしていくのが先だな。

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