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第三十七話

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なんたら公爵軍がやって来る予定の前日。
王都は既に出入りを制限して外と連携できないようにしているそうだ。
公爵軍はひとつにまとまり2000人は越えているようだが、それ程増えたようには見えない。
やはりこれで王都を落とせるとも思えないのだけれど、どういう計画なのかね?
念のためミュリエルに王都全体に結界を掛けてもらった。
完全に外からも内からも通れない結界だ。
王都外に掘っ立て小屋をいくつか建てておいたので、入れなくなった商人たちも1日くらいなら大丈夫だろう。
明日には王都に入れると立て札を置いたので騒ぐ者も居ないだろう。


俺はと言えば昨日の午後だけでは時間が足りなかったので、今日の午後も嫁さんたちを愛でますよ。
王妃、側妃がしれっと混ざっていたけれど、然程の問題では無い。
いや、問題なのかもしれないが、それより時間が足りないのが大問題なのだ。
やはり空間魔法の改善を考えなくてはいけない。
ちょっとアマリア様と相談かな。


夕食後には王からの依頼でなんたら公爵ことマンスフィールド公爵の嫡男と夫人と娘を王城に連行する。
王が先手を打って公爵を廃し、嫡男に公爵位を継がせてしまうらしい。
王側としては結構うやむやの内に事態を収めてしまう気のようだ。
相手が公爵家だからかね?
まあ、俺たちが戦いにも成らないように潰してしまうからかもしれない。

飛行機でマンスフィールド公爵領へ向かい、そこから一旦ミュリエルが転移で王城に帰り、ジャクリーヌさんと騎士たちを連れて戻った。
帰りはバスにする予定。
ちょっと長い距離を試したかったからだ。
時間的なこともあって殆ど抵抗無く3人を確保した。
夫人と娘はうちの町へ連れていくつもりらしく、ジャクリーヌさんが説得をしていた。
ふたりの荷物と侍女さんたちも回収して王都へと向かう。

嫡男くんと騎士たちを王都で降ろした後、俺たちは転移で町に戻った。
王たちが上手くやってくれると良いね。
夫人と娘はある意味人質かもしれんね。

日が変わる前に帰れたので夫人と娘には3階をあてがって休んでもらう。
一応女性騎士さんと元から居る侍女さんで監視はするようだ。
詳しい話は日が昇ってからだね。
その頃俺たちは運河掘りの労働者確保に出掛けてるけど、その間に済ませてもらえるだろう。

ミュリエルとセラフィナは俺の寝室に付いてきた。
日が変わって今日のお仕事も待っているので程々にね。


「ナギサ、朝から王都の結界を突かれているわよ。
結構働き者なのね、運河もこの調子で作ってもらいましょう。」

起きてすぐにミュリエルから報告が有った。
本当に早起きな労働者だな。
俺たちは朝食を摂ってから出発する。

兵たちは王都の4つの門に集中しているようだ。
上空からどんどん麻痺させていく。
全員倒れたのを確認してから王都の結界を解いて王側の兵に捕縛してもらう。
後方に居た公爵も捕縛されたようだ。
取り巻きの貴族が沢山釣れたみたいだな。
公爵と同じように若返りが図られるのだろうか。


商人たちのために建てていた掘っ立て小屋を壊し、公爵軍の収容所を作る。
明日から沢山働いてもらいますからね。
麻痺している内に全員を契約魔法で縛る。
逃げ出そうものなら奴隷へと落ちる優れもの。
即奴隷落ちしないだけでもお情けなのだよ。

王としても運河建設のために集めたと言い訳できる作戦なので、当面は王の管理で働かせることになる。
それが俺たちへの対価だから仕方ないね。
帰りは運河の予定地を所々マーキングしながら飛行機で飛んで行く。
掘る前に橋を作っちゃうとか無駄も省いている建設計画だ。


帰って一応経過を皆に報告。
この後どう処理するのかは聞いていないので経過だ。
公爵夫人や娘さんは関わっていないそうなので、公爵捕縛を聞いても大して動揺していないみたいだ。
何処の旦那も見限られてるな。
既に嫡男が継ぐことを聞かされているからかもしれない。

夫人はジャクリーヌさんや王妃たちとお茶会をしていた。
娘さんもミリアムを始め、令嬢たちと仲良くできているようだ。
同年代で気を遣う場でもないので打ち解けているように見える。

ふたりの侍女さんも居るので12人増えたことになる。
侍女率高い町だな、おい。

ジャクリーヌさんや王妃さんたちの認識ではふたりは俺に下げ渡されたことになっているそうだ。
いやいや、流石に人を褒美とするのはどうなんだろう。
奴隷制度を利用している時点で今更か。
まあふたりの自由意思に任せますけどね。
ミュリエルはすぐに組み込みそうだけどな。
こちらの世界の人としてはアリなんだろう。

恒例のコラーゲンアロエマッサージと下着計測に娘さんも参加していた。
今回の件で婚約も白紙になるだろうから開き直ったそうだ。
同い年のミリアムが俺の妻に成っているのも聞いて納得してしまったようだ。
サマンサ・マンスフィールド18歳、諦めるのは早くない?

母親のメアリー・マンスフィールド36歳もジャクリーヌさんたちに唆されて抱かれる気満々のようだ。
こちらは既に元夫人のつもりなようでジャクリーヌさんと同じ立場だと主張している。
母親世代が積極的だな。
身体的に若さを取り戻して精神も若くなっているのだろうか。
しがらみの無いこの場所を楽しんでいるのだな。

暫くはミランダを隣の伯爵との交渉に連れて行くだけしか予定が無いので、あの島に遊びに行くか。
王族たちの帰還も近いだろうからな。

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