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第三十四話
しおりを挟むもうひとつの交通手段、飛行機。
これは俺が紙飛行機を作って見せたことで皆が興味を持ったものだ。
ミュリエルとセラフィナなら魔法で飛ぶこともできるらしいけど、剥き身で結界張りながら飛ぶのは面倒だそうだ。
転移もできるのでそれ程出番の無い魔法らしい。
上空から一方的に魔物の里を攻撃する快感を教えてあげようじゃないか。
対地攻撃を重視して翼を上につけたセスナ型のものと、思いっきり趣味に走った前進翼、あれだ、88番のエリアで後期に主人公が乗っていたXナンバーのやつをマネして作った。
コンピューター必須と思っていたが精霊さんが協力してくれてるらしい。
いくつか取り付けたスラスターで姿勢を安定させてくれる。
性能なら他の最新機の方が良かったりするらしいけど、趣味だから仕方ないね。
別に戦闘機同士の空中戦が有るわけでもないし。
せいぜいドラゴンやワイバーンや鳥の魔物が居るだけだからスピードでぶっちぎるつもりだ。
なのにホバリングができるとか魔法万歳な戦闘機ができた。
ついでに複座にしておいた。
ミュリエルとセラフィナが絶対俺とふたり以上で乗ろうとするからね。
そう、ふたり以上。
最初の飛行はセラフィナの膝の上に俺が座る形で3人乗りだった。
操作を覚えるためとは言え何と贅沢なシート。
ミュリエルシートもその次に待っていたけどな。
身体強化を使ってふたりはGにも耐えられるそうだ。
「このスピードは癖になるな。
ちょっと海の向こう側まで見に行くぞ。」
高度上げてれば人には見つからないだろうけど、セラフィナはすっかり気に入ったようだ。
3人居れば魔力が尽きることもないだろうから航続距離は無限に近いだろう。
これでどこの国でも攻められるな。
別にどこも攻めやしないけどさ。
帰還の途中で人が住んでなさそうな島を見つけてご休憩。
砂浜が有るのが素晴らしい。
久しぶりに3人でキャッキャウフフしました。
速攻で別荘を建ててふたりの転移ポイントに加えてもらった。
どうやら人も魔物も居ない島のようなので、外から見えなくなるように結界を張って確保しておく。
あの隠れ里から王都の2倍くらいの距離らしいので船でも遊びに来られるな。
セラフィナなら水上バイク作っても喜びそうだ。
侍女さんたちも泳ぐ令嬢の護衛とか言って乗りそう。
帰ったら作っておこう。
バナナボートとか引いても良いかも。
ふたりの水着姿も堪能したので帰宅します。
帰宅して作り始めたのは通信機。
やはり距離が離れて連絡できないのが困る。
俺が転移したときに持ってたスマホをミュリエルたちに見せても、あっちの世界の大概の場所で会話ができるというのが信じられないようだ。
中に残ってる音楽は聴かせたので技術的に凄いのは分かってもらえた。
『ナギサ、聞こえる?
これは念話よ、王都くらいなら話すことができるわ。』
おっと、別口の通信方法があるのか。
俺は教えてもらってないので返信ができない。
「念話か、それは魔道具にできる?
個人識別は魔力で判断するとして、距離は人によるよね?
中継器が必要かな。」
「わたしならば王都のシルフィーと話すのが距離的には限界だな。
シルフィーの魔力が足りなくて返事が来ないときもあるけど、急ぎのときは魔石も使うみたいだ。」
ミュリエルとセラフィナでもここから王都まで念話を飛ばすのが精一杯か。
増幅するか中継器か両方か、せめてここと、行ったことのある王都と領都と黒の森の家くらいまではカバーしたい。
指向性持たせたアンテナで魔力もどうにかできるだろうか。
魔法で獲物を狙えるのだからできるよな。
通信手段を考えている内にジャクリーヌさんがやってきた。
美容関係で一番熱心なのは年齢のせいでもあるのだろうな。
周りに十代の令嬢が沢山居るので自分で比べてしまうのだろう。
動き回っている侍女さんたちに比べ、公爵夫人だったジャクリーヌさんにはお腹の脂肪と言う大敵が居た。
お腹だけでは無いのは本人の希望により言葉にしない。
これに何故かコラーゲン+アロエ+ヒールが効いてしまったのだ。
ヒールで元の良い状態にしているのかもしれない。
その際ジャクリーヌさんのカロリーを消費している可能性も。
必要なところの脂肪はむしろ増えているのに不可思議なものだ。
俺の意識が働いているのだろうな。
とにかく効いてしまったからには目標が示された。
コルセットを使わなくても良いサイズを目指すと。
コルセットが女性の身体に悪いと指摘したことも影響しているのだろう。
本人たちも嫌がってるからね。
既に水着着用でワンピースを脱ぐと施術できる体勢でやって来る。
水着部分と髪は皆と一緒にお風呂で施術を受けている。
背もたれの無い椅子に座ってもらい施術する。
もう慣れたものでミュリエルやセラフィナと話しながら施術を受けていた。
お腹周りのヒールなので内臓にも効いているのだろうな。
色々と体調が改善されていると言っている。
ジャクリーヌさんもレベル上げに行った方が良いのだろうな。
魔力量多い方が若々しく保たれるみたいだし。
俺とするだけでも魔力量が増えてるらしく、房中術でも有るのだろうかと疑っている。
ミュリエルたちはそんな術は聞いたこともないらしいのだが、魔物を倒しに行ってないジャクリーヌさんの魔力量が増えているとしたら房中術以外に心当たりがない。
魔法使ってる回数が増えたせいもあるのかもしれないけれど、比較できる人が居ないので何とも言えない。
これ、ジャクリーヌさんが社交界に戻ったらそれだけで話題になっちゃうんじゃないの?
コラーゲンとアロエは売れるだろうな。
広告塔として美しくなって頂きましょう。
房中術も意識して、気の代わりに魔力でも巡らせてみようか。
如何わしい宗教にでもできそうだな。
まあ、美容品の販売だけで抑えておこう。
多分俺の身体がもたなくなるから。
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