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第二十八話

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建物も増えて来たので海の調査をすることにした。
家令さんも塩が取れるなら欲しいと言ってたし。

埠頭にしたところから海を覗いたが、それ程大きな魚は居ないようだ。
この辺りもミュリエルが張った結界が有効なので外洋から入って来ていないだけかもしれない。
塩水煮詰めながら釣りでもしましょうかね。
にがりは上澄みだっけ?
まあ、適当にやってみてからだな。

釣れているのはアジとイワシだ。
鑑定さんが言うのだから間違いない。
干物はできそうだぞ。
魔物は今のところ釣れていない。
エサはそこら辺の虫からオーク肉の切れ端まで色々用意しているのに。

砂浜が無いのでアサリやハマグリは取れないじゃないか。
いきなり潜ってカキとか探す訳にもいかないし。

皆が初めての釣りを楽しんでいるので釣果は十分になりそうだ。
これはデートに……ならないな。
参加する人数が多そうだ。

小舟を取り出して少し海に出てみる。
勿論水魔法の船外機付きである。
水を出す魔道具をパワーアップさせてウォータージェット風にしてある。
魔石に魔力を補充できるので理論的には航行距離は無限だ。
小舟なので波が高くなれば引っ繰り返るだろうけど。

ミュリエルとセラフィナを乗せて海を覗きながら進んだ。
深いところに魔物らしき反応は有るそうだ。
持ってる魔力からするとそれ程強くはなさそうとのこと。

「ナギサ、あれを見て。」

セラフィナが指差す方を見ると結界に吸盤を貼り付けた巨大なイカが居る。
おい、クラーケンは実在するのかよ。
ジオラマに置いたのは確認済みだったからなのか?
セラフィナが攻撃したそうにしてるけど、波立てられたらこの船沈むぞ?

「ナギサ、もう少し寄せて。
あの周りを凍らせるわ。
セラフィナの足場もできて波も立たないから討伐できるでしょ?」

最強さんたちには初見の大型魔物も苦に成らないようです。
クラーケンは結界に阻まれているようなので近付きますけどね。
ミュリエルの結界抜けない時点でミュリエルの方がクラーケンより上か。
50mくらいまで近付いたところでミュリエルが魔法を発動した。
おお、海もイカの触手だか足だかも凍っている。
冷凍イカになるんじゃね?

セラフィナが船を飛び降り氷の上を駆けて行った。

「セラフィナ、目の間を狙って。」

一応アドバイスはしておく。
凍っている海に潜れない様で目は見えたままだ。
結界に貼り付いてる足も凍ってるからね。
墨吐かれても結界に阻まれるよね?

セラフィナが結界を抜けたと同時に剣を振った。
まだ距離はあるけど、斬撃を飛ばすってやつだな。
オーガを一気に殲滅してた技だ。
クラーケンも墨を吐いてきたけれど、斬撃はそれを引き裂きながら飛んでいる。
セラフィナはイカの足を蹴って飛んで避けたようだ。

クラーケンを縦に引き裂きそうな程の斬撃だった。
目の間どころじゃなかったな。
凍らせる魔法に抵抗していたのか、クラーケンは裂かれた途端に全身が凍った。
冷凍クラーケンの出来上がりです。
すぐにセラフィナがインベントリに仕舞ったようだ。

セラフィナを回収して魔法を解除して戻る事にした。
イカと同じように食べられるかね?
醤油が無いんだけどどうしよう。
ソースも無いよな。

「やはりこのゴム底は良いな。
氷の上を走れるとは思わなかったぞ。
殆ど冷たさを感じなかったしな。」

いえ、それはセラフィナの身体能力が高いからです。
普通はゴム底でもあの勢いでは転びますって。
スパイクじゃないんだから。


「海の魔物でも足場さえどうにかすれば倒せるわね。
問題は深いところに居る魔物だけれど、上がって来ないのならわたしたちに害を及ぼすこともないから構わないかしら。
凍らせてしまえば沈むこともないから素材も無駄にならないわね。」

ミュリエルは海を凍らせる気満々のようだ。
深い所に美味しいやつが居たらどうしようか。
そうだ、サメも獲らなきゃいけないんだった。
コラーゲンは他にどの獲物で摂れるだろうか。
嫁たちのお胸様や肌の為にも確保しなければいけない。

「わたしは足場さえ有れば普通に戦ってみたかったぞ。
足場出すのと本体を凍らせてしまうのが一体だから仕方ないがな。
柔らか過ぎて手ごたえが無かったのは残念だった。
ナギサ、戦える様な船はないのか?」

軍艦とかはセラフィナの言う、自身が戦える船じゃないしな。
フロートみたいのもの作ってもそこに魔物が上がって来る訳ではないし。
さっきのクラーケンなら上がって来そうかな。
潜れる装備作るしかないだろうか。
まずは底の方を網で浚ってからかな。
居る魔物の特徴によって変えていかないといけないだろう。

取り敢えず魔物には対処できることが分かったので他の魔物を調べることとしよう。
ギルドが当てにできなってのは何だかな。
この国はあまり海への進出が盛んではないのだろうか。
でもギルドなら国を越えて情報を持っているはずだよね。
世界的に海は活用されていないのかね。
漁村に聞いた方が早そうだ。


アジは侍女さんがムニエルっぽく仕上げてくれました。
一応怖いのでピュリフィケーションは先に全部の魚に掛けてある。
熱入れているのだから大丈夫なのだろうけど。

クラーケンも適度な大きさに分けてもらい、表面に格子状の切れ目を入れ同じように料理してもらった。
味も見た目もイカだな。
醤油が欲しいところだけどイケてるな。


その夜のセラフィナは上機嫌だった。
新たな魔物の討伐を喜んでいる。
やはり討伐が好きなので偶にはセラフィナに魔物狩りの時間を取らないといけないな。
慰労を兼ねて全身マッサージをセラフィナにサービス。
俺へのサービスの方が多かったかもしれない。
セラフィナとふたり、オイル塗れになって楽しんだ。

オリーブオイル増産も頼んでおこう。
貴族の女性ならパーティ前にオイルマッサージをすると聞くし、皆にもしてあげよう。


クラーケンの魔石は中々の大きさだったらしい。
ちょっと大きな船の推進力に使えそうだとミュリエルが言っている。
セラフィナの持っているドラゴンの魔石だと大き過ぎてもったいなかったもんね。
外洋に出られる大きさの船を作ってクラーケンを狩りに行きましょうかね。
船に結界を張って今日と同じパターンで狩れそうだよね。
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