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第十一話

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「王に宣言したからもうミランダちゃんは妻のひとりで良いわよね。」

「そうだな、あれだけの貴族の前だしな。
ナギサの妻として迎え入れよう。」

ミュリエルとセラフィナはミランダを俺の妻認定してしまった。

「了解、ミランダ、よろしくね。」

俺も認定しますけどね。

「はい、セラフィナ様、ミュリエル様、ナギサ様、よろしくお願いします。」

ミランダの中での序列が判ったな。
まあ、Sランクだし、ミランダのお金出したのはセラフィナだから序列一位がセラフィナなのは判る。
残るふたりを比べたらミュリエルの方が上位に行くのも判る。
結局納得の序列だった。
ここにミランダが入っても俺が序列最下位に成りそう。
ミランダは実質侯爵家当主だからね。


「もう、狙ってくる相手も居ないだろうから奴隷契約解除しても良いんじゃない?
奴隷商行かないと解除できないもの?」

俺としては奴隷のままだと無理矢理感が残るからね。
解除した上での婚姻の方が望ましいだろう。

「そうね、ミランダちゃんに命令して行動縛ってたと言われても困るわね。
ナギサ、契約魔法作ってミランダちゃんとの奴隷契約解除と発動させれば良いはずよ。」

えーと、はいはい、相変わらず作っちゃえば使い方が何となく判るのね。
設定した通りといえばそうなんだけど。

「ミランダ、ステータスで確認してみて。」

「はい、解放奴隷になってます。
ありがとうございます。」

「「「おめでとう、ミランダ(ちゃん)。」」」

これで当面の懸念は何も無い状態に戻ったか。
ミランダも妻に成ったとは言え好きに動いてもらって構わないのだし。

「ミランダはこれからどうしたい。
厄介者は排除されたし、自由に動けるようになったよね。」

「わたくしは陛下がおっしゃられた通り、ナギサ様の子を産み侯爵家を継がせることが第一です。」

あー、根っからの貴族だものね。
国が大事、国王が大事、お家が大事、となるか。
そう育てられて来たのだろうから、貴族令嬢には選択肢が少ないか。

「それはまあ、夫婦生活を続けていればいずれ生まれるでしょう。
産まれても継げる歳になるまでかなり掛かるのだし。
折角領地の運営は猶予されてるんだから、ミランダがやってみたいことをしても良いんじゃない?」

「やってみたいことですか。
わたくしはこれまで、王子を婿に迎え、子を為し、侯爵家のために生きて行くだけでしたから、急に自由と言われましても思い付きません。」

「そりゃあ10日くらいで人生の設計図が大幅に狂っちゃったもんね。
環境も変わるからゆっくり考えれば良いさ。
国王がくれた休暇だとでも思って。」

「そうね、人生も長くなるのだし、侯爵家のことはどうとでもできるわ。
今は当面の予定からね。
ミランダちゃんはここを拠点にするのか、領地を拠点にするのか、黒の森に来るのか。
この辺りからね。」

ああ、寿命伸ばせる嫁の増員は許されてるんだっけ。
外から不自然に思われない程度なら余裕持てるな。

「わたしは内政チートってやつが見たいぞ、ナギサ。
打ってつけの舞台ができたのだからミランダにやらせるのはどうだ。」

それはミランダのやりたいことじゃなくてセラフィナが見たいことじゃん。
それに俺は一般人って言ったじゃん、何ができるか判らないぞ。

「あー、侯爵領見てみないと判らないね。
ちょっとした内政チートならミュリエルと作ってる魔道具でもできるかもしれないけど。」

「それはわたしも見たいかも。
ナギサに聞いてる異世界の一部でも再現できるのは楽しみね。
必要な魔道具を作れるし、セラフィナが材料を取って来てくれるんでしょう?
ミランダちゃんの、そしてミランダちゃんのお母さんの領が発展するならミランダちゃんもうれしいでしょう?」

ミランダを置いてミュリエルとセラフィナが暴走しそうだぞ。
ふたり共地球の話を楽しんでいたからな。
おとぎ話の世界を再現するアミューズメントパーク作ろうって感覚か。
ミランダの設定した序列を考えれば返事は決まってる訳で。

「ならばグリエール侯爵領に行きましょう。
3人が協力して下さるならば陛下に代理を送って頂く必要も無くなります。
今までもお母様の腹心だった家令が領地を取り仕切っていますから、すぐにでも反映できます。」

そうなりますよねー。
ミランダ父は領地運営にも手を出せなかったのかよ。
子種だけ期待されてて、余計な事考える時間が有り過ぎたのかもしれないな。
仕事させると邪魔になる人だったか?
小ズルい事やってたみたいだから、領地に関わると横領とかしそうに思われてたのかも。
期待どおりに爵位や王位を横領しようとして失敗したけどな。
横領じゃ済まない罰だろうけど。


グリエール侯爵領行きは決まりのようだ。
俺としては嫁の為になるなら協力しますよ。
創造魔法を思い切り使ってみたいってのもあるからね。
表に出せるかどうかは3人に判断してもらおう。


ミランダが王前で宣言した俺との結婚。
それを王が追認したことで俺との子作りをミランダは王命のように扱っている。
王子との政略結婚寸前まで行ってたミランダならば義務と思っても致し方ないのかも。

だがしかし、俺はちゃきちゃきの日本人。
義務なんかで妻になんてしません。
ミランダが16歳と判って日本基準でヤバってなった訳では無い。
15歳で成人な世界なのだ。
ところ変われば法も変わる。
郷に入れば郷に従うばかりでなく穴を突く。
今回は裏をかかず法の穴も突かないけれど。

奴隷になったことで俺との結婚を選んだのならば、解放された今他の道も有るかもしれない。
王が言ったのは子に継がせると言うのが大切な部分で、俺の子であるかどうかは然程さほど大事ではないのだ。

てな事を3人に言ってみたら馬鹿じゃないのという顔をされた。

「確かに貴族に生まれた者として跡継ぎのことは大事に思います。
しかしわたくしはナギサ様と共に生きたいと思ったのです。
おふたりと同じように側に有りたいと思っているのです。
わたくしは選択を間違えておりませんわ。」

ミランダに論破されました。
罰としてミランダとふたりで寝室に追いやられました。
後からふたりも乱入してきたけどな。




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