上 下
9 / 261

第九話

しおりを挟む
創造魔法が便利過ぎてつらい。
紙に俺が覚えているものを印刷できたのだ。
戦闘メイドの絵を見たセラフィナがミランダの衣装に採用した。
こちらのメイドは揃いの衣装を着たりしていないそうだ。
こっちではバレないとはいえ、元侯爵令嬢をメイドにするとは。

そしてミュリエルが目を付けたのはゴスロリ。
セラフィナと色違いのお揃いをリクエストした。
お蔭で俺は衣装製作に励んでいる。
イメージで作れると言っても、俺の記憶の元がアニメや漫画。
細かい所が判らず、作っては直しを繰り返したのだ。
コスプレイヤーさんをもっと見ておけば良かった。

ミランダの普段着にはブラウスとスカートを渡した。
ちょっと不安そうだったのでベストも付けた。
こっちではワンピースしか目にしなかったけど驚かれなかったので大丈夫だろう。
靴はゴム底でヒールの低いものを上げた。

このゴム底をセラフィナが気に入った。
戦闘でどうしても滑る丸ごと革の今までの靴に比べ動き易いのだ。
折角なので安全靴も作ってみた。
蹴りもイケるので好評だ。

ロングブーツも作ってみたが、この世界はスカートが長いので殆ど見えない。
まあ、俺たちの趣味なので良いのだ。
同じくストッキングも見えない。
趣味なのd(ry。


合間に商業ギルドにも行った。
ミュリエルの灯りの魔道具は売れるとの太鼓判をもらった。
小さい魔石で長く使えるからね。
結果的には蝋燭より安く明るく使える。
かなり量産されるだろうと登録に立ち会ったサブギルドマスターが言っていた。
作れば作る程、売れれば売れる程ミュリエルにお金が入って来る。
ミュリエルはお金に困ってる訳じゃないけどね。

俺の方のリバーシ。
初見では大した反応を見せなかったサブマスがゲームをしてみたらはまったみたいだ。
パッと見で面白さは判らないからね。
適度に売ってくれたまえ。
できれば豪華版も作ってね。


4人で街中を歩いていると目立っているようだ。
特に女性陣の服装。
俺製の普段着なんだけど、元から美人の3人なので美人度が上がっているみたいだ。
商業ギルドでも登録してくれとは言われたものの、保留した。
素材とか技術とか、多分こちらにはまだ無いんじゃないかな。
イメージで作っちゃったもので。

そしてお米様発見、普通に食材として売ってました。
この国のどこでも作っているそうです。
ギルドの町でももっと探せば有ったのかな。


王都ともなればミランダを知っている者も居た。

「ミランダ様、いや、ミランダ。
奴隷に落とされたんだよね。
横に居る少年に買われたの?
そんな奴より、俺がもらってやるよ。
俺、これでも伯爵家の次男だからさ、奴隷とは言え、それなりの生活させてやるよ?
王子の婚約者だったから話もできなかったけど、色々俺のお世話させてやるよ。
ほら、平民はどけ。」

俺を押し退けようとした瞬間、その姿が消えた。

「誰か巡回の兵士を呼んで来てくれ。
この男、強盗だ。」

セラフィナが殴り倒していた。
手加減してるだろうに数メートル飛んでったよ?
人通りの有る場所なのに他の人に当たらない飛行ルートを取っているのは流石だ。
次男くんには俺とミランダしか見えてなかったんだろうな。
えーと、拡大解釈すれば強盗になるか?
ミランダを奪う気で俺を腕力で排除しようとした、うん、強盗だ。
Sランク冒険者が証言するんだから間違い無い。
ミュリエルとセラフィナは人族の貴族のこう言った所を特に嫌っている。
ごり押しにはごり押しで返すよ。

誰かが呼んでくれた兵士にセラフィナがプラチナの冒険者カード見せながら説明している。
彼もこれで憧れの奴隷落ちだな。
犯罪奴隷だから1ランク上の生活が君を待っている。
伯爵家でもSランク冒険者が絡んでるから手を出せないだろう。
後でセラフィナに盗伐の報奨金がギルド経由で支払われるはず。
それがいつまでも入金されないとセラフィナがギルドに問い合わせちゃうからさ。
そうするとギルドが国に問い合わせる。
国の調査が入ったら伯爵と言えどもヤバいからね。
こんなゲスな次男くんが育つような家なら潰れても良いだろうけど。

ミランダはあっと言う間の展開に付いて行けないようだけど、その内慣れるよ。
最強さんたちと暮らしていればこの程度、何てことは無い。


お米以外に目に留まった物は無かった。
折角なので王都を知るミランダに行きたいお店を紹介してもらった。
余り侯爵令嬢が直接店を訪れることは無かったみたいだけど。
ミランダが選んだのは本屋さん。
そういえばこの世界の本は見てなかったな。
服のデザイン画を出したときに本は手書きだと聞いてはいる。
写本とか大変だよね。
本が高価なのも致し方ない。

伝統的物語は有るし、小説も有るみたいだ。
作りは紐でつづったものだけど。
ミランダは流行りの小説の続きが気になったみたいだ。
セラフィナが買ってあげてた。
実質の主人はセラフィナだからね。
俺がほとんどお金持って無いってことも有るけど。

医療関係は皆無、魔法関係は少量。
これは一回図書館とか見た方が良いな。
それもこの王都で大きい図書館に行った方が良いだろう。
ミランダに聞くと東西南北にそれぞれ1館ずつ有るそうだ。
意外と有るのね。
学校にだって有るだろうに。
その内どれかに連れて行ってもらおう。
当たり前のようにこの世界の言葉を俺は読めるし書けるし話せる。
アマリア様がおまけしておいてくれたんだろうね。


「どうせ帰ってから奴隷契約解除するんだからミランダも冒険者登録する?
シルフィーにも報告しておかないといけないし。」

「そうね、魔の森で暮らすのにも有った方が良いでしょう。
ミランダちゃんもそれで良い?」

セラフィナとミュリエルの短い話し合いでミランダも冒険者に登録することになった。
これから必要だろうからね。
身分証要るだろうし、素材売る事も有るだろう。

シルフィーさんと言う受付嬢もミランダの無事な姿を見て喜んでいた。
手を回してくれたことにミランダもお礼を言っていた。
シルフィーさんは昔ミランダの母親、エリザベスさんにもらったと言う髪飾りをミランダに渡した。
あー、ミランダが持っていたのはあのドレスだけだったものね。
着けてたアクセサリーは父親に取られちゃったんだろう。
家に有るだろう母親の形見もどうなってるか判らない。
遠慮するミランダに、もらったものがまだ沢山有るからとシルフィーさんが押し通した。
ミランダも覚えの有る髪飾りだったようで受け取る事にした。
今度母親との思い出をシルフィーさんに聞かせてもらうことになったようだ。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

異世界召喚されたと思ったら何故か神界にいて神になりました

璃音
ファンタジー
 主人公の音無 優はごく普通の高校生だった。ある日を境に優の人生が大きく変わることになる。なんと、優たちのクラスが異世界召喚されたのだ。だが、何故か優だけか違う場所にいた。その場所はなんと神界だった。優は神界で少しの間修行をすることに決めその後にクラスのみんなと合流することにした。 果たして優は地球ではない世界でどのように生きていくのか!?  これは、主人公の優が人間を辞め召喚された世界で出会う人達と問題を解決しつつ自由気ままに生活して行くお話。  

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜

猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。 ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。 そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。 それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。 ただし、スキルは選べず運のみが頼り。 しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。 それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・ そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。

イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位! 死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。 閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話 2作目になります。 まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。 「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...