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第八話

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宿にひとり増える事を伝え、俺たちの部屋へ入った。
寝室はいくつか有るみたいなので構わないのだけど。

「この娘はミランダ、元侯爵令嬢よ。
シルフィー、あの受付のエルフね、彼女に頼まれて買うことになったの。
1週間前のパーティで王子に婚約破棄されて冤罪で奴隷にされたそうよ。」

おお、テンプレの婚約破棄か、とは思ったが大人しくセラフィナの説明を聞く。
ざまぁはまだなのだな。

「王子の命令だけで正式な裁判とかしてないから犯罪奴隷じゃないわ。
侯爵が買い戻す訳でも無く、貴族籍も抜かれたそうよ。
妹が新たに王子の婚約者になったそうだから、侯爵も噛んでたのね。
そもそも王子の命令とは言え、侯爵じゃなきゃ売る契約できないのだもの。」

いやー、テンプレテンプレと俺は心の中で叫んでいる。
妹と言うのはきっと侯爵が再婚した夫人の子だな。
再婚してから家でもミランダは虐められてたんだろう、と勝手にラノベに当てはめてる。
いや、第二夫人ってのもあったな。

「さっきの奴隷商はエルフが奴隷に落とされたりしてないか情報を集めてもらっているの。
そういう場合は大抵違法奴隷だからよ。
それでミランダが売られてしまわないようにしてもらってたの。
Sランクのわたしが予約している事にして誰も手を出せない様にシルフィーが話を持って行ったそうよ。
ミランダの亡くなったお母様とシルフィーは友人だったから。」

ならば俺を主人にしたらダメじゃん。
俺がひとりで行動する事は無いから大丈夫かもしれないけど。

「それで、ミランダはどうする?
わたしたちは3日後、王に褒章をもらいに行くわ。
同行して王に復権をしてもらう?」

ざまぁだな、ざまぁするのだな。
しかし、そんな王子や侯爵を放っておく時点で王からの褒章の価値が地に落ちそうだ。
王の前に出ても頭下げる必要も無いな。
ミュリエルとセラフィナは元々人族の王に下げる頭は無いと言っているし、俺もふたりの夫なのだから下げないように言われてるけどな。
日本人のさがでへこへこしそうだったけど、意識して下げないようにしなければ。

「いえ、わたくしはお父様にも殿下にも陛下にも期待をしておりません。
貴族の身分にも執着は有りません。
このままセラフィナ様の奴隷としてお連れ下さい。」

えー、ざまぁしないの?
それとも、もう遅い系のざまぁ?
でも流石元貴族令嬢、気弱系に見えたけど芯が通ってるんだ。

「まあ、1週間経ってるのに何もしない王だものね、期待なんてできないわ。
でも、主人はわたしたちの夫のナギサだ。
褒章の場には一緒に行くわよ。
王たちのアホ面が見たいわ。
何かしてきたらわたしたちが潰すから心配しないで良いのよ。
それからあなたも王たちに頭を下げる必要は無いわ。
ナギサ、ミランダのドレスも一式頼む。
下着もね。」

一式って、奴隷になったとは言え俺に裸さらすのは抵抗あるんじゃないだろうか。
特に下着作りは裸を触ったりしたよね。
裸に剥く必要が有るのか疑問は残るけど、ふたりは妻だからね、堪能したくなるのは仕方ないね。
あっちならセクハラで訴えられるね。

「大丈夫よ、一度奴隷に落とされたら解放したとしてもステータスに残ってしまうわ。
貴族に戻れたとしても普通の婚姻は望めないの。
王国を離れれば手を出せないから隷属魔法は解除できるけど、そのままナギサの妻に成った方が幸せになれるわ。
これで帰りの馬車も御者台でひとりじゃなくなるわね。
帰りは子爵も一緒じゃないから野営もできるしナギサに沢山してもらうわよ。」

いや、ミュリエルさん、帰りは転移でサクっと戻ると言ってませんでしたか?
それに即妻認定もどうなの?
奴隷になるとそう言う事もできるのかもしれないけどさ。
強制は望みませんよ?


ドレス作りはひとまず置いて、夕食の声が掛かった。
子爵一家も一緒だった。
勿論ミランダも俺たちの席に居る。
ミランダと子爵の令嬢は顔見知りだったようで突然の再会に驚いている。
事情を聞いた子爵夫妻も驚いていた。
1週間前の事件じゃ子爵領に伝わらないものね。
この世界にワイドショーや女性週刊誌は無い。
王子たちのご乱行を暴く写真週刊誌も無いのだ。
ミランダの行いを喧伝けんでんする嘘の怪文書は出回ったそうだ。
一応俺たちが保護した形になっているので子爵たちは安心していた。

その王子、第二王子らしいが、婚約者であるミランダ以外の女性にうつつを抜かしていたのは有名な話だそうだ。
その女性こそミランダの妹だったんだな。
聖女の資質を見出された妹とかの設定は出て来ないだろうな。
実はミランダが本物の聖女だったとかのパターンか?
それならもう遅い系のざまぁに該当するよな。
設定を思い出しながら心の中で突っ込む。
聖女とか言ったら今回の治療法の褒章に文句付けそうじゃないか。
こっちにまで寄って来るんじゃねぇぞ。
王子の取り巻きごとぶった切るぞ、セラフィナが。

部屋に戻ってミランダに確認してみた。
義理の妹はピンク頭の聖女候補だそうだ。
ピンクの髪にピンクな脳みそらしい。
ブロンドのミランダからはかけ離れた遺伝子だな。
女神アマリア様はラノベ好きかもしれない。

ミランダは俺が言った設定予想が当たっていることに驚いていた。
ミュリエルたちは、そういう話まで有るんだ、と笑っている。
一応、ピンク聖女対策は考えておこう。

皆の前でミランダを剥き、サイズを測る。
奴隷に落とされて諦めたのか、嫁候補にされたことで諦めたのか、さしたる抵抗も無く裸になった。
ミランダはそのまま風呂へ直行させる。
奴隷商の所で奴隷扱いはされていなかったらしいが、お風呂は久しぶりのようだ。
元は侍女に洗われる生活だったのだろうな。
風呂上がるまでに下着は作ってしまおう。
ついでにパジャマもね。

タオルを巻いてミランダが上がって来た。
出来立てパンツを履かせてブラも着ける。
ブラの着け方を教えてる俺をミュリエルとセラフィナはニコニコ、いや、ニヤニヤ見ていた。
もう慣れている君たちが教えても良いんじゃないの?
寝るときはブラ着けなくても良いよと教えてパジャマも渡す。
ミュリエルは着けない派、セラフィナは着けてる派なのだ。
大概、俺がセラフィナのブラも取っちゃうけどな。
ミランダはまだ慣れないのか外していた。
ひとり用寝室にミランダを送り出して3人でお風呂に行く。
国が押さえた宿のスイートみたいな部屋なのだ。
お風呂も当然のように広い。

屋上露天風呂には負けるけどな。

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