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しおりを挟む写真部合宿初日の朝。ここは港川駅ロータリー。
部員のほとんどが電車通学なこともあり、駅前が集合場所となった。
まとめをのせたマイクロバスは、集合時間30分前にはロータリーに到着している。
「佐倉先生、おはようございます」
まとめが到着してしばらくすると、スーツケースをゴロゴロさせながら梅がやってきた。
「藁科さんおはよう。ずいぶん立派なバスね」
「まあ色々ありますから・・・と、みんなも来たようです」
改札の方を見ると、部員たちが出てくるのが見えた。
「先生、今回はありがとうございます」
まとめが改めて引率のお礼を伝えた。
「いいのよ。ゆずさんのこともあるしね」
「そうですね・・・では一週間よろしくお願いします」
「こちらこそ」
2人が外に視線を向けると、まとめが乗っているのに気づいた真司が笑顔で手を振っていた。
「みんな、おはよう」
「おはようございまーす」
大荷物を抱えた部員たちが続々とバスに乗り込んできた。
「荷物は奥に置いてくれ。席も好きに使ってくれてかまわんが、あまり汚すなよ」
まとめがいつもどおりテキパキと指示していくと、それに従い部員たちが動き、やがて各々座席に収まった。
「改めてみんなおはよう。これから一週間、事故のないようにそれぞれ研鑽に励んでくれ」
なみもりが、まとめの話を聞きながら隣に座った佳奈を見ると、赤いデジカメをしっかり握り締めていた。
「佳奈ちゃんデジカメ買ったの?」
「はい、がんばっちゃいました!」
嬉しそうになみもりにデジカメを見せた。
「そういうのって使い方難しくないの?」
スマホオンリーのなみもりにとって、それ以外の機械はなんでも「難しいもの」なのだった。
「うーん・・・まだ使った事ないから全然わからないんですぅ」
佳奈はなぜか笑顔で答えた。
「だったら、野崎くんあたりにでも教えて貰えば?」
「それは、大丈夫です!」
向こうで彩香先輩に教えてもらうんだから、と聞こえないくらいの声で付け加えた。
「そっか」
健気だなぁと思うなみもりだった。
「・・・では最後に運転手を務めてくださる深織さんを紹介しておく」
まとめの言葉に、運転席の若い女性が立ち上がった。
帽子こそ被っていないが、バスの運転手らしくネイビーのスーツを着ていた。
「大山深織です。よろしくお願いします」
深々とお辞儀する深織。
「深織さんの家は当家で代々執事をしてくれていてな。今回は運転手だけでなく合宿のサポートもしてくれる。だからといってみんな、あまり迷惑をかけないようにな」
「はぁい」
「執事って・・・」
今更ながらなぜこんなお嬢様が公立高校に通うのだろう、と不思議に思う平均女子なみもりだった。
「深織さん、よろしくお願いします」
バスの中では唯一の同年代の女性に、梅は自然と頬が緩んだ。
「こちらこそよろしくお願いします。佐倉先生」
深織も笑顔で答え、運転席に座った。
「うわぁ、もう『深織さん』だって。先生なんか馴れ馴れしい」
「い、いいじゃない!私だって1人でこんな大勢の引率初めてなんだから、き、緊張してるのよ」
佳奈の軽いツッコミに、梅の答えは至って真剣だった。
「ご安心ください佐倉先生。別荘や周辺のことなどは深織さんが熟知していますから」
「そ、そうですよね」
まとめの言葉に梅がほっと胸を撫で下ろすと、バスは静かに出発した。
部員のほとんどが電車通学なこともあり、駅前が集合場所となった。
まとめをのせたマイクロバスは、集合時間30分前にはロータリーに到着している。
「佐倉先生、おはようございます」
まとめが到着してしばらくすると、スーツケースをゴロゴロさせながら梅がやってきた。
「藁科さんおはよう。ずいぶん立派なバスね」
「まあ色々ありますから・・・と、みんなも来たようです」
改札の方を見ると、部員たちが出てくるのが見えた。
「先生、今回はありがとうございます」
まとめが改めて引率のお礼を伝えた。
「いいのよ。ゆずさんのこともあるしね」
「そうですね・・・では一週間よろしくお願いします」
「こちらこそ」
2人が外に視線を向けると、まとめが乗っているのに気づいた真司が笑顔で手を振っていた。
「みんな、おはよう」
「おはようございまーす」
大荷物を抱えた部員たちが続々とバスに乗り込んできた。
「荷物は奥に置いてくれ。席も好きに使ってくれてかまわんが、あまり汚すなよ」
まとめがいつもどおりテキパキと指示していくと、それに従い部員たちが動き、やがて各々座席に収まった。
「改めてみんなおはよう。これから一週間、事故のないようにそれぞれ研鑽に励んでくれ」
なみもりが、まとめの話を聞きながら隣に座った佳奈を見ると、赤いデジカメをしっかり握り締めていた。
「佳奈ちゃんデジカメ買ったの?」
「はい、がんばっちゃいました!」
嬉しそうになみもりにデジカメを見せた。
「そういうのって使い方難しくないの?」
スマホオンリーのなみもりにとって、それ以外の機械はなんでも「難しいもの」なのだった。
「うーん・・・まだ使った事ないから全然わからないんですぅ」
佳奈はなぜか笑顔で答えた。
「だったら、野崎くんあたりにでも教えて貰えば?」
「それは、大丈夫です!」
向こうで彩香先輩に教えてもらうんだから、と聞こえないくらいの声で付け加えた。
「そっか」
健気だなぁと思うなみもりだった。
「・・・では最後に運転手を務めてくださる深織さんを紹介しておく」
まとめの言葉に、運転席の若い女性が立ち上がった。
帽子こそ被っていないが、バスの運転手らしくネイビーのスーツを着ていた。
「大山深織です。よろしくお願いします」
深々とお辞儀する深織。
「深織さんの家は当家で代々執事をしてくれていてな。今回は運転手だけでなく合宿のサポートもしてくれる。だからといってみんな、あまり迷惑をかけないようにな」
「はぁい」
「執事って・・・」
今更ながらなぜこんなお嬢様が公立高校に通うのだろう、と不思議に思う平均女子なみもりだった。
「深織さん、よろしくお願いします」
バスの中では唯一の同年代の女性に、梅は自然と頬が緩んだ。
「こちらこそよろしくお願いします。佐倉先生」
深織も笑顔で答え、運転席に座った。
「うわぁ、もう『深織さん』だって。先生なんか馴れ馴れしい」
「い、いいじゃない!私だって1人でこんな大勢の引率初めてなんだから、き、緊張してるのよ」
佳奈の軽いツッコミに、梅の答えは至って真剣だった。
「ご安心ください佐倉先生。別荘や周辺のことなどは深織さんが熟知していますから」
「そ、そうですよね」
まとめの言葉に梅がほっと胸を撫で下ろすと、バスは静かに出発した。
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