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同じ日の午前中。
締め切りを終えた盛雄は、デッキで海を眺めながらくつろいでいた。
ビーチでは若者たちが楽しそうに遊んでいる。
「若いというのは、いいものですねえ・・・」
彩香が用意してくれたアイスティーを飲みながら、ゆっくりとした時間が過ぎていく。
と、そこにグラスを持った鷹文がやってきた。
「鷹文はいかないのかね?」
「ああ、後でな」
鷹文は、冷蔵庫から取り出したアイスコーヒーをグラスに注いだ。
「・・・今という瞬間も大切にな」
遠くを見つめながら盛雄が呟いた。
が、盛雄の言葉が聞こえなかったのか、鷹文は答えることなく自室へ戻っていった。
「・・・若さ、ですかね」
盛雄はデッキチェアに身を任せ、ゆっくりと目を閉じた。
林を通り抜けてくる心地いい風。
盛雄は微睡んでいった・・・
ふと気づくと、盛雄は同じ場所で、なぜか安楽椅子に座っていた。
微かな音がするキッチンを覗き込むと・・・由美がいた。
「由美さん・・・」
由美は何か料理をしているらしかった。
しばらく由美に目を奪われていた盛雄がふとリビングに視線を移すと、
「雄大くん・・・」
膝の上に彩乃らしき小さな女の子をのせた雄大が座っていた。
奈緒はキッチンから料理を運んでいて、その間も由美とたのしそうにおしゃべりをしている。
そして庭に目を向けると、小さくなった鷹文と彩香が楽しそうに笑っていた。
懐かしい、温かい空間。
もう一度由美の姿を見ようと振り返ると・・・
今度はなぜか、庭を元気に走り回る明衣と結衣の姿が目に入ってきた。
鷹文は大和に引っ張られて仕方なくついていく。
その鷹文に笑顔はない・・・
そして盛雄の横には・・・由美ではなく和泉が立っていた・・・
しばらくして、盛雄はゆっくりと目を開けた。
「夢、でしたか・・・」
曖昧な意識のまま海岸を見ると、明衣や大和が楽しそうにわいわいやっている。
そのそばには、彩香と並んで微笑する鷹文もいた。
「時は流れていきますね・・・」
盛雄は少し寂しそうに空を見上げた。
締め切りを終えた盛雄は、デッキで海を眺めながらくつろいでいた。
ビーチでは若者たちが楽しそうに遊んでいる。
「若いというのは、いいものですねえ・・・」
彩香が用意してくれたアイスティーを飲みながら、ゆっくりとした時間が過ぎていく。
と、そこにグラスを持った鷹文がやってきた。
「鷹文はいかないのかね?」
「ああ、後でな」
鷹文は、冷蔵庫から取り出したアイスコーヒーをグラスに注いだ。
「・・・今という瞬間も大切にな」
遠くを見つめながら盛雄が呟いた。
が、盛雄の言葉が聞こえなかったのか、鷹文は答えることなく自室へ戻っていった。
「・・・若さ、ですかね」
盛雄はデッキチェアに身を任せ、ゆっくりと目を閉じた。
林を通り抜けてくる心地いい風。
盛雄は微睡んでいった・・・
ふと気づくと、盛雄は同じ場所で、なぜか安楽椅子に座っていた。
微かな音がするキッチンを覗き込むと・・・由美がいた。
「由美さん・・・」
由美は何か料理をしているらしかった。
しばらく由美に目を奪われていた盛雄がふとリビングに視線を移すと、
「雄大くん・・・」
膝の上に彩乃らしき小さな女の子をのせた雄大が座っていた。
奈緒はキッチンから料理を運んでいて、その間も由美とたのしそうにおしゃべりをしている。
そして庭に目を向けると、小さくなった鷹文と彩香が楽しそうに笑っていた。
懐かしい、温かい空間。
もう一度由美の姿を見ようと振り返ると・・・
今度はなぜか、庭を元気に走り回る明衣と結衣の姿が目に入ってきた。
鷹文は大和に引っ張られて仕方なくついていく。
その鷹文に笑顔はない・・・
そして盛雄の横には・・・由美ではなく和泉が立っていた・・・
しばらくして、盛雄はゆっくりと目を開けた。
「夢、でしたか・・・」
曖昧な意識のまま海岸を見ると、明衣や大和が楽しそうにわいわいやっている。
そのそばには、彩香と並んで微笑する鷹文もいた。
「時は流れていきますね・・・」
盛雄は少し寂しそうに空を見上げた。
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