家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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愛を見送ったあと、彩香、ゆず、彩乃、結衣の4人は買ってきた食材を整理しつつ夕食の準備を始めた。
彩香は念入りに包丁を研いでいる。
「ああいう姿見ると、彩香さんって一流の料理人みたいだよね」
「お姉ちゃん、道具にはすごくこだわるから・・・」
彩乃は、自室で楽しそうに(怪しげな笑みを浮かべて)カメラの手入れをする彩香の姿を思い浮かべた。
「お姉ちゃんこっちでもメイド服なんだね」
いつものことではあるが、普段着の3人の中で一際目立っている。
「これ意外と涼しくてね・・・」
彩香は恥ずかしそうに答えた。
「今さら恥ずかしがられても」とジト目の彩乃。
「改めて言われるとなんか恥ずかしいよ」
彩香の顔が余計に赤くなった。
「さいちゃん、彩乃ちゃんには勝てないんだね」
そんなやりとりも、一人っ子のゆずには羨ましかった。

一通り片付けが終わった後、遠野料理長の作戦会議が始まった。
「先生ずっとデリバリーだったから、今日はお刺身メインの海鮮料理にしようと思うの」
「いいですね!でもお姉ちゃんと大和くんは・・・」
「うん。だから結衣ちゃんは揚げ物お願いできる?」
「・・・アジフライとエビフライできますね」
結衣は先ほど片付けた冷蔵庫の中を思い浮かべた。
「いいわね」
「タルタルソースの乗ったエビフライ・・・」
ゆずの呟きに、みんな唾を飲み込んだ。
「ゆず・・・」
彩香がゆずを見つめた。
「私、タルタルソース作るね」
「「「お願いします!」」」
熱々のエビフライにタルタルソース・・・
結衣は、エビフライは一番最後に揚げようと心に誓った。

「・・・じゃあ担当はそんな感じで。みんな、よろしくね!」
「「「はーい!」」」
各自、担当の料理を作り始めた。

料理は順調に進んでゆく・・・
「結衣ちゃん、揚げ物はどう?」
「はい!もう少しで終わります」
結衣はちょうど最後のエビフライに取り掛かったところだった。
「彩乃、お吸い物は?」
「あとは器によそうだけ」
彩乃のそばには、調理された具の入った器が人数分並んでいる。
「おつゆは持っていく直前にね」
「うん、わかってる。そっち手伝う?」
「そうね・・・きゅうりの飾り切りやってみる?」
「うん!」
最近のマイブームが飾り切りという、不思議な彩乃・・・
「ゆず、そっちはどう?」
「うん、後はタルタルソースの仕上げだけ」
その言葉に、みんながまたゴクリと唾を飲み込んだ。
「さっきマヨネーズから作ってましたよね?」と彩乃。
「うん、それに市販のも少しまぜるんだ」
ゆずが嬉しそうに作り方を説明していった。
「それ、どこかで教えてもらったんですか?」
「うん、最初はね。でもちょっとずつ自分の好みの味に調整していったの」
「ってことはゆずさんのオリジナルレシピ?」
「まあ、そうなるのかな」
「すごぉい!ちょっと味見させてもらってもいいですか?」今度は結衣。
「いいけど・・・時間経った方がおいしいよ」
「ここからまだ味に変化が・・・」
「うん、マヨネーズがだんだん染み込んでいくから」
「そっか・・・今でも十分おいしいのに・・・」
「私たちも味見、いい?」
彩香姉妹といつのまにか明衣もすでにスプーンをもってスタンバイしていた。
「あんまりたくさん食べないでね。足りなくなっちゃうから」
「・・・おいしい」

みんながゆずのタルタルソースに感動していると、和泉がやってきた。
「うわぁ、今日はみんなで作ってるんだ。楽しそうね」
「はい、和泉さんも食べて行きますよね?」と彩香。
「そおね、しばらく彩香ちゃんのご飯食べれなくなっちゃうし・・・」
「今日はお刺身ですよ。旬のアジとカンパチがあったので」
「な、なんですって・・・」
和泉の目が少女漫画のヒロインのように白抜きになった。
「お刺身・・・日本酒・・・
私、今日、帰ルツモリ・・・
明日、朝カラ会議・・・」
和泉の中で激しい葛藤が起こった。
それから数秒後、ハッと我に帰った和泉が、早口で彩香に尋ねた。
「さ、彩香ちゃん。先生、あれ持ってきた?」
「??・・・頂き物の日本酒ですか?」
「そうそれ!!」
「はい、昨日電話もらって車に乗せてきました。その時に『明日の夜は刺身がいいですねぇ』ってリクエストがありまして」
言いながら彩香は、すうっ、と柳刃を引いた。
「先生め・・・彩香ちゃん!」
「は、はい!」
「私、今晩も泊まるから」
「はい、構いませんけど・・・」
「明日4時に起こしてくれる?朝から会議だから」
「わかりました。4時ですね」
「絶対よ」
「はい、大丈夫ですよ。私も明日はそれくらいに起きるつもりでしたから」
「写真?」
「はい、一年ぶりに朝日の写真撮れます」
彩香は嬉しそうに答えた。
「明日晴れるといいわね」
にっこりと笑う和泉。が振り返ると、
「先生め!私に何も言わないで・・・」
怒髪天を衝く勢いで書斎の方へ消えていった・・・
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