家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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「うわぁ、めっちゃ凝ったお弁当ですね!これ、彩香先輩が作ったんですか?」
戻ってきてからずっと彩香にくっついている佳奈が、瞳をハートにしながら尋ねた。
「今朝は彩乃と結衣ちゃんと3人で作ったのよ」
「いいなあ。私も彩香先輩と一緒に作りたかったぁ」
一度抱きついてたがが外れてしまったのか、佳奈は躊躇なく彩香に腕を絡めてきた。
「こ、今度ね・・・」
佳奈の勢いに、彩香はただ頷くしかできなかった。
「本当ですかぁ!うれしぃ!」
佳奈は嬉しそうに横から彩香を抱きしめた。
「か、かなちゃん・・・」
「お姉ちゃん。お弁当、こんな感じでいい?」
そんなラブラブなところに、彩乃と結衣がやってきた。
佳奈の密着ぶりを見て結衣は思わず手を口にあてたが、彩乃は平然としていた。
中学から佳奈の後輩である彩乃は、佳奈の彩香好きを熟知していたのだ。
「彩乃。結衣ちゃんありがとう。い、いいと思うわ・・・佳奈ちゃん、レフ、お願いしていいかししら?」
「あっ、すいません」
佳奈は名残惜しそうに彩香から離れて、レフ板を手に取った。
彩香は佳奈に見られないように、ふぅっとため息をついた。

「うわぁ、今日はキャラ弁なんだ。いつも以上に気合入ってるね」
メイク直しをし終えた明衣が、ゆずと一緒に戻ってきた。
「今日は『手作りお弁当デート』って言うコンセプトだから」
お弁当箱の中は可愛い装飾満載だった。
「おむすびニコニコしてる、かわいい」
一つ目のお弁当箱の中には小さなおにぎりがたくさん入っていた。
「卵焼きもおにぎりと同じ三角で海苔も一緒なんですね。こっちも笑ってる」
「それね、甘い薄焼き卵で、くるくる巻いておにぎりにしてあるの」
「くまさんのおにぎりはケチャップライス?」
「その方がくまさんぽいでしょ?」
「こっちのお弁当箱はおかず?ブロッコリーと赤いウインナーとちっちゃなから揚げは、お花畑みたい」
「?これは?人?」
「はい。ウインナー宇宙人が、お花畑でデートしてるんです」
よく見ると少し大きさの違う笑顔のウインナー2体が手を繋いでいるようだった。
「本当だ、ちゃんと手繋いでる。すごいね」
「これはハンバーグ、だよね?」
「それ、宇宙船なんです」
ハンバーグは子供が絵に書くような宇宙船の形をしていた。
「言われてみると、なんか宇宙船ぽい形してる」
明衣が物珍しそうにお弁当箱を覗き込んでいると、
「こうやって、ケチャップで窓をつけると・・・」
彩乃がハンバーグにちょんちょんとケチャップを乗せて行った。
「あはは。宇宙船ぽくなった」
「やっぱりかわいいのがいいですよね、デートだし。結衣も頑張ったんだよね」
「う、うん」
「あれぇ、結衣たん。もしかして好きな人、いるのかなぁ?」
妹を追い込む姉。
「い、いないよ、そんな人!」
「あれぇ、結衣たんなんだか顔、赤くなってなぁい?」
「も、もう、お姉ちゃん!」
結衣は、顔を真っ赤にさせながら逃げ回る明衣を追いかけた。
「あいつ、相変わらずだな」
「だな」
少し離れたところで、鷹文と大和が頷きあった。

「はあ・・・で、ゆずたんは誰にあーんするか決めた?」
結衣の追走をかわし切った明衣が、今度はゆずに矛先を向けた。
「あーん、って・・・」
ぽっと頬を赤らめるゆず。
「大和くん、お願いしていい?」
見かねた彩香が大和に声をかけた。
「えっ、俺⁉︎」
「ゆずがいちばん怖がらないの、大和くんだから」
そういえば最初の頃は鷹文のことめっちゃ怖がってたよなぁ、と思い出す大和。
「わかったよ彩香ちゃん!彩香ちゃんの芸術のために、俺も協力するぜ!
よろしくな、ゆずちゃん!」
「ひゃ、ひゃい!」
大和の大きな手がゆずの肩に乗せられて、ゆずは飛び上がるように答えた。

「ほらほら、佳奈先輩はこっちですよ!」
「あーん、彩乃ちゃん。彩香せんぱぁい・・・」
いつの間にかまた彩香の横にしっかり陣取っていた佳奈だったが、彩乃に背中を押されながら光源となる位置に連れて行かれた。
普段から彩香に鍛えられている彩乃は、彩香の欲しいものもしっかり心得ている。
「これくらいの角度で・・・佳奈先輩、お願いしますね」
「はぁい。彩乃ちゃん、ずいぶん慣れてる感じね」
「しょっちゅうやらされてますから。カメラ姫に」
彩乃は自信たっぷりに答えた。
「先輩姫様ぁ」
佳奈は膝をついて、彩香を拝んだ。

「じゃあゆず、お願い」
ゆず「う、うん・・・あ、あーん」
大和「・・・あーん・・・ぱくっ」
彩香は大和の横からゆずにカメラを向けている。
今は本番前の練習中。
「そう、そんな感じでお願い」
数回のあーんのあと、やっと彩香からOKが出た。
「ね、ねえさいちゃん・・・まだやるの?」
あーんを始めてからずっと耳まで真っ赤になったままのゆずは、すでに疲労困憊の様子。
「一応押さえも撮ってあるけど、撮影用のお弁当でちゃんと撮らないと。もう少しだからゆず、頑張って!」
「う、うん・・・」
視界から大和が消えて少しだけ赤みの抜けたゆずが、こくんと頷いた。
「俺は、彩香ちゃんの弁当ならいくら食っても大丈夫だぜ!」
「むぅ・・・」
大和の言葉に、少しだけ頬をふくらますゆずだった。
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