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彩香たちの後すぐに出かけた明衣たちは、先生に提出した予定どおりの観光をしていた。
なみ「下鴨神社、おっきかったねぇ」
めい「誰よ、最初の鳥居から行こうって言ったの。めっちゃ遠かったじゃん!」
ゆず「駅からだと1kmくらいあるみたいだよ」
そんな女子3人の会話の中、大和は素知らぬ顔で歩みを早めた。
「こら、逃げるな大和!」
目敏く見つけた明衣が大和を追った。
「まったくあの2人、仲良いよね」
「そう、だね・・・」
ゆずは、寂しそうに離れていく二人を見つめていた。
「あれ、どうしたのゆず?」
「な、なんでもないよ!」
「・・・ははぁん」
なみもりはニンマリとゆずの横顔を見つめた。
「な、なに、なみもりちゃん?」
「べっつにぃ。あーあいつらあんなに先までいっちゃった。ゆず、行くよ!
ねえ、明衣!次も遠いんだし、4人なんだからタクシー乗っちゃおうよぉ・・・」
となみもりも2人を追いかけて行ってしまった。
「なみもりちゃん!」
走り出したなみもりを追うように、ゆずも駆け足になった。
1人遅れて河原を曲がったゆずは、息を切らして立ち止まった。
「はあ・・・はあ・・・あっ、あれって⁉︎」
道の先に、ゆずが大好きなアニメの舞台となったアーケードーの入り口があった。
「ほ、ほんものだ・・・」
引き寄せられるように1人そのアーケードーに入っていった。
ゆずは、アニメで見たままの街並みに口をぽかんと開けたままゆっくりと進んでいった。
「うわぁ、ポスターも飾ってある!
あっ、このお店!1話のお花やさん!」
「あら、いらっしゃい。あなたもファンの方?」
感動のあまり立ち止まったゆずに、女性店員が声をかけてきた。
「ひゃっ!はい・・・
写真・・・撮っても、いいです、か?」
ゆずは消え入るような声で尋ねた。
「ええもちろんよ。よかったら撮ってあげましょうか?」
女性店員はにっこりと笑った。
「い、いいんですか!」
「はい、一輪花。これであの子と同じよね」
「・・・ありがとう、ごじゃいます」
ゆずは、震える手で綺麗にラッピングされた一輪花を受け取った。
「あらら、大丈夫?はい、これ」
「ううっ・・・」
あまりの感動に涙してしまったゆずは、店員さんから受け取ったティッシュで涙を拭いた。
「じゃあ撮るわよ。ハイチーズ」
涙を拭いたあと、ゆずは花屋の店先で写真を撮ってもらった。
「これ、ありがとうございました」
ゆず花を返そうと手を伸ばしたが、女性店員は
「かわいいから特別にプレゼントしちゃう!でも、他の人には内緒ね」
とウインクした。
「あ、ありがとうございます。あの、お魚って・・・」
ゆずはスマホを受け取りながら尋ねた。
「あっちの方にいるわよ。行ってごらんなさい」
「はい!」
ゆずは一人でいることもすっかり忘れて、大きな魚の方へと歩いていった。
「お魚、お魚ぁ」
と一輪挿しの花を持って楽しそうにアーケードーを歩いていた。
「うわぁ、いろんなところにポスター飾ってある・・・」
「おもちゃ屋さんもおんなじだ!」
とあちこちでスマホで写真を撮りまくっていった。
「お魚・・・」
アーケードの天井からぶら下がった大きな魚を見つけたゆずは、あまりの感動に上を見上げて立ち尽くした。
「・・・写真、撮らなきゃ」
しばらくぼうっとしていたゆずは、この感動を忘れないようにしようと、色々な角度から写真を撮り始めた。
「ふふ・・・ふふふふふ・・・」
思わず笑みが溢れていく。
「こんなにおっきかったんだぁ・・・」
感動しながらしばらく写真を撮り続けていった。
「あっ、電池が・・・」
嬉しさのあまりパチパチと撮っていると、無情にもスマホの電池が切れてしまった。
「・・・もっと撮りたかったなぁ。
ねえ、明衣ちゃん、スマホ貸し・・・あっ!」
振り向いたが、そこには誰もいなかった・・・
なみ「下鴨神社、おっきかったねぇ」
めい「誰よ、最初の鳥居から行こうって言ったの。めっちゃ遠かったじゃん!」
ゆず「駅からだと1kmくらいあるみたいだよ」
そんな女子3人の会話の中、大和は素知らぬ顔で歩みを早めた。
「こら、逃げるな大和!」
目敏く見つけた明衣が大和を追った。
「まったくあの2人、仲良いよね」
「そう、だね・・・」
ゆずは、寂しそうに離れていく二人を見つめていた。
「あれ、どうしたのゆず?」
「な、なんでもないよ!」
「・・・ははぁん」
なみもりはニンマリとゆずの横顔を見つめた。
「な、なに、なみもりちゃん?」
「べっつにぃ。あーあいつらあんなに先までいっちゃった。ゆず、行くよ!
ねえ、明衣!次も遠いんだし、4人なんだからタクシー乗っちゃおうよぉ・・・」
となみもりも2人を追いかけて行ってしまった。
「なみもりちゃん!」
走り出したなみもりを追うように、ゆずも駆け足になった。
1人遅れて河原を曲がったゆずは、息を切らして立ち止まった。
「はあ・・・はあ・・・あっ、あれって⁉︎」
道の先に、ゆずが大好きなアニメの舞台となったアーケードーの入り口があった。
「ほ、ほんものだ・・・」
引き寄せられるように1人そのアーケードーに入っていった。
ゆずは、アニメで見たままの街並みに口をぽかんと開けたままゆっくりと進んでいった。
「うわぁ、ポスターも飾ってある!
あっ、このお店!1話のお花やさん!」
「あら、いらっしゃい。あなたもファンの方?」
感動のあまり立ち止まったゆずに、女性店員が声をかけてきた。
「ひゃっ!はい・・・
写真・・・撮っても、いいです、か?」
ゆずは消え入るような声で尋ねた。
「ええもちろんよ。よかったら撮ってあげましょうか?」
女性店員はにっこりと笑った。
「い、いいんですか!」
「はい、一輪花。これであの子と同じよね」
「・・・ありがとう、ごじゃいます」
ゆずは、震える手で綺麗にラッピングされた一輪花を受け取った。
「あらら、大丈夫?はい、これ」
「ううっ・・・」
あまりの感動に涙してしまったゆずは、店員さんから受け取ったティッシュで涙を拭いた。
「じゃあ撮るわよ。ハイチーズ」
涙を拭いたあと、ゆずは花屋の店先で写真を撮ってもらった。
「これ、ありがとうございました」
ゆず花を返そうと手を伸ばしたが、女性店員は
「かわいいから特別にプレゼントしちゃう!でも、他の人には内緒ね」
とウインクした。
「あ、ありがとうございます。あの、お魚って・・・」
ゆずはスマホを受け取りながら尋ねた。
「あっちの方にいるわよ。行ってごらんなさい」
「はい!」
ゆずは一人でいることもすっかり忘れて、大きな魚の方へと歩いていった。
「お魚、お魚ぁ」
と一輪挿しの花を持って楽しそうにアーケードーを歩いていた。
「うわぁ、いろんなところにポスター飾ってある・・・」
「おもちゃ屋さんもおんなじだ!」
とあちこちでスマホで写真を撮りまくっていった。
「お魚・・・」
アーケードの天井からぶら下がった大きな魚を見つけたゆずは、あまりの感動に上を見上げて立ち尽くした。
「・・・写真、撮らなきゃ」
しばらくぼうっとしていたゆずは、この感動を忘れないようにしようと、色々な角度から写真を撮り始めた。
「ふふ・・・ふふふふふ・・・」
思わず笑みが溢れていく。
「こんなにおっきかったんだぁ・・・」
感動しながらしばらく写真を撮り続けていった。
「あっ、電池が・・・」
嬉しさのあまりパチパチと撮っていると、無情にもスマホの電池が切れてしまった。
「・・・もっと撮りたかったなぁ。
ねえ、明衣ちゃん、スマホ貸し・・・あっ!」
振り向いたが、そこには誰もいなかった・・・
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