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「ただいま」
「彩香、お帰り、今日は遅かったのね」
「うん。先の分まで下ごしらえしてきちゃった」
「そうなの。ご飯できてるわよ。手、洗ってらっしゃい」
「はーい」
彩香がマフラーをとると、マフラーにひっかかって何かががキラリと首元に光った。
「彩香・・・そのネックレス」
奈緒に言われてネックレスのことを思い出した彩香は、頰を染めた。
「た、鷹文くんが、お母さんから私にって・・・」
「そうなの・・・」
懐かしそうに彩香のネックレスを見つめる奈緒。
「それね、私が由美にプレゼントしたものなのよ」
「えっ、そうなの?」
彩香は驚いて奈緒を見つめた。
「ええ。二人の初めてのお給料でおばあちゃんにプレゼント買いに行った時にね、お互いにプレゼントしあったの」
と奈緒も、自分がつけているネックレスを彩香に見せた。
「あ、同じの・・・」
「ええ。お揃いにしたのよ。ずっと友達でいようねって」
奈緒が少し寂しそうに微笑んだ。
「そうだったんだ・・・」
「あー、お姉ちゃんネックレスしてる!あれ?ママのと同じだ!私も欲しい!」
目ざとく気づいた彩乃が奈緒のそばにやってきた。
「もう少し大きくなったらママのあげるわよ」
「高校入ったらもらえる?」
おねだりするように奈緒を見上げる彩乃。
「そうね・・・再来年の今頃、彩香と同じ年になったら、ね」
「うん。ありがとう!楽しみ」
彩乃が奈緒に抱きついた。
「お母さん、いいの?」
「ええ。私たちも姉妹みたいなものだったから、彩香と彩乃に持っててもらえれば嬉しいわ」
「そうなんだ・・・大切にするね」
彩香は自分のネックレスを手に取った。
「お願いね」
「そういえばお姉ちゃん。さっきお姉ちゃん宛に大きな荷物届いたよ」
「えっ、誰からだろう?」
と3人は居間に移動した。
「あら、荒田先生からじゃない」
「彩乃。どうしてもっと早く教えてくれなかったの?」
「ごめん。お姉ちゃんなかなか帰ってこないから忘れちゃった」
テヘ♡という顔をする彩乃。
「とりあえず開けてみましょうよ」
奈緒の言葉に、彩香は大きな段ボールを開いた。
「これ・・・カメラ」
段ボールを開けると、彩香宛ての手紙があり、その下には最近発売されたばかりのミラーレス一眼レフカメラと付属品一式が入っていた。別のリボンのついた小さな袋には「saika」と入ったネコ型(ライム色)のキーホルダーと同じ形で色違い(ピンク)の「ayano」と書かれたキーホルダーも入っていた。
彩香はまず手紙を開いた。
「彩香ちゃん、バレンタインのチョコありがとう。
そのお礼を兼ねて、おじいちゃんと知子さんからホワイトデーのプレゼントじゃ。
最新のカメラに慣れておくのもいいかと思ってな。使ってみてください。
元気な彩香ちゃんに再開できてじいちゃん達は本当に嬉しかったんじゃぞ。
ぜひ、また遊びに来てください。
荒田 義経、知子」
「お姉ちゃん、彩乃のキーホルダーも入ってるよ。もらっていい?」
「うん。お揃いだね」
「えへへ。お姉ちゃんとお揃いだぁ」
彩乃は嬉しそうにキーホルダーを眺めていた。
「彩香、先生にお礼の電話しなくちゃ」
「そうだね」
数コールのあと荒田が電話に出た。
「先生、ご無沙汰しています」
「おお、彩香ちゃん。カメラは届いたかね?」
「はい、びっくりしました。素敵なプレゼントありがとうございます」
「彩香ちゃんも写真科に行くんだったら、今のじゃ少し物足りないだろうと思ってな」
「ありがとうございます。嬉しいです!貯金できたら買おうかなってずっと考えてたんです」
「ならちょうどよかった」
「彩香ちゃん?知子よ。キーホルダーは私が選んだの」
待ちきれなかったのか、知子が割り込んできた。
「ありがとうございます。彩乃も喜んでます」
「よかったわ。素敵な写真たくさん撮ってね」
「はい」
それからしばらく話をした後。彩香は電話を終えた。
電話を終えた彩香は、部屋に戻って早速カメラを起動した。
「ねえふみくん。荒田先生から新しいカメラもらっちゃった」
彩香は、ベッドに座らせたふみくんを色々な角度から撮っていった。
「すごい!感度もこんな上まであるんだ。夜でもストロボ使わなくていいのね。Fv?どんなモードだろう?」
色々なモードに切り替えながら、次々とふみくんを撮っていく彩香。
「次のお休みは、どこ行こっかなぁ?」
と楽しそうに写真を撮り続ける彩香だった。
「彩香、お帰り、今日は遅かったのね」
「うん。先の分まで下ごしらえしてきちゃった」
「そうなの。ご飯できてるわよ。手、洗ってらっしゃい」
「はーい」
彩香がマフラーをとると、マフラーにひっかかって何かががキラリと首元に光った。
「彩香・・・そのネックレス」
奈緒に言われてネックレスのことを思い出した彩香は、頰を染めた。
「た、鷹文くんが、お母さんから私にって・・・」
「そうなの・・・」
懐かしそうに彩香のネックレスを見つめる奈緒。
「それね、私が由美にプレゼントしたものなのよ」
「えっ、そうなの?」
彩香は驚いて奈緒を見つめた。
「ええ。二人の初めてのお給料でおばあちゃんにプレゼント買いに行った時にね、お互いにプレゼントしあったの」
と奈緒も、自分がつけているネックレスを彩香に見せた。
「あ、同じの・・・」
「ええ。お揃いにしたのよ。ずっと友達でいようねって」
奈緒が少し寂しそうに微笑んだ。
「そうだったんだ・・・」
「あー、お姉ちゃんネックレスしてる!あれ?ママのと同じだ!私も欲しい!」
目ざとく気づいた彩乃が奈緒のそばにやってきた。
「もう少し大きくなったらママのあげるわよ」
「高校入ったらもらえる?」
おねだりするように奈緒を見上げる彩乃。
「そうね・・・再来年の今頃、彩香と同じ年になったら、ね」
「うん。ありがとう!楽しみ」
彩乃が奈緒に抱きついた。
「お母さん、いいの?」
「ええ。私たちも姉妹みたいなものだったから、彩香と彩乃に持っててもらえれば嬉しいわ」
「そうなんだ・・・大切にするね」
彩香は自分のネックレスを手に取った。
「お願いね」
「そういえばお姉ちゃん。さっきお姉ちゃん宛に大きな荷物届いたよ」
「えっ、誰からだろう?」
と3人は居間に移動した。
「あら、荒田先生からじゃない」
「彩乃。どうしてもっと早く教えてくれなかったの?」
「ごめん。お姉ちゃんなかなか帰ってこないから忘れちゃった」
テヘ♡という顔をする彩乃。
「とりあえず開けてみましょうよ」
奈緒の言葉に、彩香は大きな段ボールを開いた。
「これ・・・カメラ」
段ボールを開けると、彩香宛ての手紙があり、その下には最近発売されたばかりのミラーレス一眼レフカメラと付属品一式が入っていた。別のリボンのついた小さな袋には「saika」と入ったネコ型(ライム色)のキーホルダーと同じ形で色違い(ピンク)の「ayano」と書かれたキーホルダーも入っていた。
彩香はまず手紙を開いた。
「彩香ちゃん、バレンタインのチョコありがとう。
そのお礼を兼ねて、おじいちゃんと知子さんからホワイトデーのプレゼントじゃ。
最新のカメラに慣れておくのもいいかと思ってな。使ってみてください。
元気な彩香ちゃんに再開できてじいちゃん達は本当に嬉しかったんじゃぞ。
ぜひ、また遊びに来てください。
荒田 義経、知子」
「お姉ちゃん、彩乃のキーホルダーも入ってるよ。もらっていい?」
「うん。お揃いだね」
「えへへ。お姉ちゃんとお揃いだぁ」
彩乃は嬉しそうにキーホルダーを眺めていた。
「彩香、先生にお礼の電話しなくちゃ」
「そうだね」
数コールのあと荒田が電話に出た。
「先生、ご無沙汰しています」
「おお、彩香ちゃん。カメラは届いたかね?」
「はい、びっくりしました。素敵なプレゼントありがとうございます」
「彩香ちゃんも写真科に行くんだったら、今のじゃ少し物足りないだろうと思ってな」
「ありがとうございます。嬉しいです!貯金できたら買おうかなってずっと考えてたんです」
「ならちょうどよかった」
「彩香ちゃん?知子よ。キーホルダーは私が選んだの」
待ちきれなかったのか、知子が割り込んできた。
「ありがとうございます。彩乃も喜んでます」
「よかったわ。素敵な写真たくさん撮ってね」
「はい」
それからしばらく話をした後。彩香は電話を終えた。
電話を終えた彩香は、部屋に戻って早速カメラを起動した。
「ねえふみくん。荒田先生から新しいカメラもらっちゃった」
彩香は、ベッドに座らせたふみくんを色々な角度から撮っていった。
「すごい!感度もこんな上まであるんだ。夜でもストロボ使わなくていいのね。Fv?どんなモードだろう?」
色々なモードに切り替えながら、次々とふみくんを撮っていく彩香。
「次のお休みは、どこ行こっかなぁ?」
と楽しそうに写真を撮り続ける彩香だった。
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