家政婦さんは同級生のメイド女子高生

coche

文字の大きさ
上 下
304 / 428
1

303

しおりを挟む
「ねえママ、お姉ちゃんっていつ頃帰ってくるの?」
キッチンにやってきた麻希は、母親に姉の帰郷を尋ねた。
麻希の姉、麻美は現在大学1年生で、地方の大学に通っているため一人暮らしをしている。
「あら、言ってなかったかしら。今どこかに旅行に行ってるとかで、もう少し後になるみたいよ」
「そうなんだ・・・じゃあ大丈夫かな?」
後の方は小さな声で呟いた麻希は、静かに姉の部屋へと向かった。

「あった、やっぱり高校の制服いいなぁ」
麻希は姉のクローゼットから、去年まで使われていた港川高校の制服を取り出した。
「意外と綺麗だし、私の予備にもらっちゃおうかな?」
港川高校への入学が決まった麻希は、早速新しい制服を作りに行ったのだが、出来上がるまであと数日待たなければいけなくて、自分の制服ができるのを心待ちにしていた。
「今日は帰って来なそうだし、ちゃんと戻しとけばバレないよね」
麻希はそう心に決めると、姉の制服を持って自分の部屋に戻った。

「うふふ。やっぱりいいなぁ」
麻希は、姿見の前でくるくる回りながら制服姿の自分をずっと見ていた。
当然スマホで自撮りも済ませてある。
「ちょっと外、出てみようかな」
まだ中学生の麻希は、少しドキドキしながら部屋を出て、母親に気づかれないように静かに階段を降りて靴を履き、玄関を出た。
「・・・外に、出ちゃった」
普通にしているつもりなのにどうしてもにやけてくるのを必死に抑えながら、麻希は付近に誰もいないことを確かめてから、通りに出た。
「だ、誰も見てないよね」
ドキドキと高揚感。それが麻希の心の大部分を占めていた。
「もう少し、歩いちゃおっかな」
どうしてもドキドキしてにやけてしまうが、なんとか平静を装って、麻希はあてもなく歩き始めた。
「私、高校の制服を着て外、歩いてる」
頭の中は制服姿の自分でいっぱいになっていて、他のことはまるで考えられない。
わけのわからない高揚感と一緒に道を歩いていると、その気持ちを一気に冷めさせる光景に出会ってしまった。
いや、一瞬だけはもっと高揚したのだが・・・
「あ、斉藤先輩!・・・と、あの人・・・」
あの人こと彩香の存在が鷹文の隣にあることに気づいた瞬間、麻希の高揚感は一気にどこかに消えてしまった。
「買い物、帰り?」
鷹文と彩香は、大きなエコバッグをそれぞれ両手に下げて並んで歩いていた。
それもただ歩いているだけではなく、二人とも楽しそうな笑顔で。
「・・・先輩。なんであんな笑顔なの?」
先ほどまでの高揚感は完全に消え去り、失意のどん底といった顔つきになってしまった麻希は、高校の制服を着ているということも忘れ、二人の後を付かず離れずで追い始めた。

「先輩って、あんなに笑うんだ」
麻希にとって鷹文はいつもクールな存在だった。
その鷹文が、中学の頃ははほとんど見せることのなかった笑顔を彩香に向けていることが、なぜかとても悔しかった。
しばらく後をつけていてだんだんイライラが募ってきた麻希は、数分前の自分でさえも思っていなかった行動に出ていた。
「さ、斉藤先輩!」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おねしょ合宿の秘密

カルラ アンジェリ
大衆娯楽
おねしょが治らない10人の中高生の少女10人の治療合宿を通じての友情を描く

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

俺の家には学校一の美少女がいる!

ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。 今年、入学したばかりの4月。 両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。 そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。 その美少女は学校一のモテる女の子。 この先、どうなってしまうのか!?

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

処理中です...