家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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いつものスーパーについた二人は、いつものように鷹文がカートを押し、彩香が売り場を眺めながら歩いていた。
今日の彩香は、ベージュのスプリングコートにライトブルーのマフラーを付けている。
「鷹文くん、今日は何がいい?」
「・・・なんでもいい」
「あー、それ一番言っちゃダメなやつ」
「は?」
どういうこと?という顔の鷹文。
「あのね、お料理毎日考えるのって、結構大変なんだからね」
と腕組みする彩香。
「私が食べるわけじゃないんだし。それに、せっかく作るんだから、少しでも美味しいって思ってもらいたいじゃない」
「す、すまん。別にそういうわけじゃ・・・」
彩香の勢いに鷹文がたじろいだ。
「じゃあどういうわけなの?」
なおも不満げに見つめる彩香。
「・・・彩香の作るのだったら、なんでも美味いから・・・」
「えっ・・・」
あまりにも予想外の言葉に、彩香は頰を真っ赤に染めて言葉を失った。
言った鷹文も照れたのか、明後日の方向を向いている。
動きを止めてしまった二人の間には、なんとも言えない気まずい雰囲気が流れた。
「・・・あ、あのさ。春、だし・・・菜の花とか、いいかも、な」
そんな雰囲気を変えるべく、鷹文はなんとか言葉を見つけ出した。
「・・・な、菜の花?おひたし、とか?」
なんともぎこちない。
「それもいいけど、あの・・・貝、入ってるやつ」
「・・・ハマグリのお吸い物?」
「それ、かな?」
「な、なんだ、ちゃんと食べたいものあるじゃない」
彩香が真っ赤な顔のまま膨れた。
「い、今思い出したんだよ!そういえばこの時期に食べてたかなって」
「そうなの?ウチもそうだよ。でも、ひなまつりとか、鷹文くんはしなかったでしょ?」
「いや、毎年、母さんが小さいの飾ってた」
「じゃあ、お雛さまあるの⁉︎」
またも意外な展開に、しかし今度は期待に満ちた目を向ける彩香。
「・・・多分」
そんな彩香の視線に戸惑いながら、鷹文が答えた。
「そうなんだ・・・ねえ、せっかくだからお雛さま飾らない?」
「・・・いいんじゃないか?」
やっといつものペースに戻ったことに、鷹文はホッと胸をなでおろした。
「じゃあ!今日はちらし寿司とお吸い物と茶碗蒸しなんてどう?」
「ああ、いいな」
「帰ったら鷹文くんはお雛さま出してね。私飾るから。なんか楽しみになってきたね!」
彩香はウキウキした気分で、必要な食材を探し始めた。
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