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「・・・ねえお母さん。うちは女の子いないのに、どうして毎年お雛さま飾ってるの?」
リビングで雛人形の飾り付けをしている由美に、鷹文がずっと気になっていたことを尋ねた。
「あら、鷹文。お母さんだって女の子よ」
小さな鷹文の疑問に、由美が笑顔で応じた。
「それはそうだけど・・・」
鷹文は不満そうだ。
「ほら、綺麗でしょ?」
そんな鷹文を気にする様子もなく、由美はリビングのサイドボードに飾り付けた男雛と女雛を愛おしそうに見つめた。
「・・・うん」
納得していなそうな鷹文に、由美は笑顔で続けた。
「お雛さま、ずっとしまっておくだけなんてかわいそうでしょ。1年のこの時期しか外に出られないんだから」
今度は鷹文を優しく見つめる由美。
「そう、だね」
「ほら、もうすぐ・・・」
と由美が玄関の方を見た時、鷹文の目が覚めた。
「・・・雛人形、か・・・」
うたた寝していた机から起き上がり、鷹文は3月の少し暖かくなった午後の空を見上げた。
そのまま少しぼうっとしていると、廊下を歩く足音が聞こえてきた。
「鷹文くん、今いい?」
ドアをノックする音と彩香の声。
その声にパッと目を見開いた鷹文は、首を振って意識をはっきりさせた。
「・・・どうぞ」
鷹文の返事に彩香はドアを開けた。
「これからお買い物、付き合ってもらっていいかな?」
「ああ。でも、少しだけ待ってもらっていいか?」
「うん。じゃあ下で待ってるね。ありがとう」
にっこりと微笑むと、彩香は軽い足音で階段を降りていった。
急いで先ほどの夢を書き留めると、鷹文はノートを閉じて立ち上がった。
リビングで雛人形の飾り付けをしている由美に、鷹文がずっと気になっていたことを尋ねた。
「あら、鷹文。お母さんだって女の子よ」
小さな鷹文の疑問に、由美が笑顔で応じた。
「それはそうだけど・・・」
鷹文は不満そうだ。
「ほら、綺麗でしょ?」
そんな鷹文を気にする様子もなく、由美はリビングのサイドボードに飾り付けた男雛と女雛を愛おしそうに見つめた。
「・・・うん」
納得していなそうな鷹文に、由美は笑顔で続けた。
「お雛さま、ずっとしまっておくだけなんてかわいそうでしょ。1年のこの時期しか外に出られないんだから」
今度は鷹文を優しく見つめる由美。
「そう、だね」
「ほら、もうすぐ・・・」
と由美が玄関の方を見た時、鷹文の目が覚めた。
「・・・雛人形、か・・・」
うたた寝していた机から起き上がり、鷹文は3月の少し暖かくなった午後の空を見上げた。
そのまま少しぼうっとしていると、廊下を歩く足音が聞こえてきた。
「鷹文くん、今いい?」
ドアをノックする音と彩香の声。
その声にパッと目を見開いた鷹文は、首を振って意識をはっきりさせた。
「・・・どうぞ」
鷹文の返事に彩香はドアを開けた。
「これからお買い物、付き合ってもらっていいかな?」
「ああ。でも、少しだけ待ってもらっていいか?」
「うん。じゃあ下で待ってるね。ありがとう」
にっこりと微笑むと、彩香は軽い足音で階段を降りていった。
急いで先ほどの夢を書き留めると、鷹文はノートを閉じて立ち上がった。
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