家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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時は流れ、今日は2月27日
麻希は緊張の面持ちで、港川高校の門を入って行った。
今日は合格発表の日だ。
持ってきた上履きに履き替え自分の受験番号の教室に向かうと、すでに多くの生徒が受験票を見せて通知を受け取っていた。
合否は本人にだけわかるようになっている。
麻希も少し青ざめた顔でその列に並び、自分の順番を待った。
「次の方、どうぞ」
「は、はい」
震える声で返事しながら係りの人に受験票を渡すと、しばらくして麻希の通知を持って戻ってきた。
「734番、間違いありませんね?」
「は、はい」
麻希は通知を受けとって廊下に出た。そして他の生徒たちと同じように深く深呼吸してから、ついに緊張の一瞬、通知を開いた。
目をつぶって封筒から紙を取り出したのだが、どうしても目を開くことができない。
「お、落ちてたら、どうしよう・・・」
そんなよくない想像を頭の中に巡らせると、さらに目を開けることができなくなってしまった。
「結衣ちゃん、どうしていないの⁉︎」
麻希は、実は今までもずっと結衣を頼りにいろいろと乗り越えてきた。
そして今まさに、手に持っている紙を結衣に見てもらいたかったのだ。
しかし、そんな先輩らしからぬ思いをいもしない後輩にぶつけたところで、結果が変わるわけでもない。
「い、いないんだから・・・自分で、見るしか、ない・・・よね。お、落ちてても、私立には行けるわけだし・・・」
なんとか自分がつらくならない言い訳を見つけつつ、やっと意を決した麻希は、それでも恐る恐る、手に持っている通知を見るために、目を開けた。でもどうしても怖くて、通知は胸に当てて隠してしまっていた。
ごくんと息を飲む麻希。
「み、見なきゃ・・・」
麻希は震える手を恐る恐る、胸から離していった。
「・・・格・・・合・・・。不・・・は・・・ない」
どうしても怖くて右端からゆっくり見て行った麻希は、合の字の前に「不」がついていないことにやっと気づき。それとともに、膝から力が抜けそうになる自分を必死にこらえた。
「う、うかったん、だ・・・」
周りに人がいるので、喜びを表立って表現はできはしないが、麻希は喜びというよりも、むしろ安心という表現がぴったりの顔をしていた。
「4月から・・・先輩と、一緒・・・」
麻希は、呆然となりながらも、残りの書類を受け取りに、廊下の指示に従って移動を始めた。

正門を出た麻希は、思い出したようにスマホを手にして電話した。
「ママ・・・受かった、よ」
ぼうっとした麻希の耳には、鼻をすすりながら喜んでいる母の声が、なぜかとても遠くに聞こえた。
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