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彩香がいつものようにメイド服で 夕食の支度をしていた。
明衣も自分の家のようにソファに寝転がって漫画を読んでいる。
「ねえ彩香、夏は別荘行く?」
思い出したように明衣が尋ねた。
「別荘ってなに?」
「あれ?聞いてないの?おじさんたち毎年夏は海辺の別荘に行くんだよ。1ヶ月くらい」
「1ヶ月も⁉︎」
「うん。7月入ったらすぐかな?それにね、私たち、わたしと妹の結衣も毎年行ってるんだ。まあ、私たちは宿題とかもあるから3週間くらいだけど」
「3週間・・・すごいね」
「まだ聞いてなかったんだ。ならさ、今からおじさんに聞いてみようよ」
言うなり明衣は勢いよく立ち上がって、彩香を連れて盛雄の書斎へと向かった。
明衣は一応ノックをしつつ、すぐにドアを開けて、
「おじさん、今年も別荘行くんだよね?」
とニコニコしながら尋ねた。
「ああ、そうですね。行きますよ、もちろん」
万年筆を走らせていた盛雄は、執筆を止められながらも、怒る様子もなく、むしろニコニコしながら明衣の突然の質問に答えた。
「彩香は連れてくの?」
「ああ、そうでしたな。彩香くん、私たちは毎年、7月の終わりくらいから8月いっぱいを別荘で過ごしています。よかったら一緒に来ませんか?」
「ほら、彩香も連れてってくれるでしょ?ねえ、行こうよ彩香」
明衣は彩香の腕をゆすりながらおねだりした。
「わたしも行っていいんですか?」
「ああ、もちろんです。彩香くんさへ都合が良ければ、ぜひお願いします。もちろんアルバイト代もお支払いしますよ」
「おじさん、ゆずも連れてっていい?」
「ああ、もちろんです。かわいいお嬢さんたちなら大歓迎です」
盛雄は嬉しそうな顔で返事した。
「あのね彩香、おじさんの別荘とおっても大きくって、何十人でも泊まれちゃうんだよ」
「ははは、何十人と言うのはさすがに厳しいですが、十何人、くらいでしたら」
「ね、ゆずも行けるしさ、和泉さんとかも来るんだよ。別荘の目の前おじさんちのプライベートビーチだし、楽しいよ」
明衣の目はすでに夏の眩しいビーチをみつめていた。
「あの・・・母と相談してからでもいいですか?」
「はい、もちろんです。しっかりご相談なさってください」
相変わらず丁寧な物腰の盛雄だった。
帰宅した彩香は母親にの奈緒に別荘のことを聞いた。
「ねえお母さん。夏休みなんだけど、バイト先の先生の別荘で夏もアルバイトしようと思うんだけど、いいかな?」
「別荘?・・・どれくらい行くの?」
「多分3週間くらいだと思う。先生は1ヶ月以上いるみたいだけど」
「・・・彩香の他にはだれか行くの?」
「うん。明衣とゆずが一緒。あと編集さんと息子の鷹文くんかな。あとは聞いてないけど」
「そうなの・・・彩乃、寂しがらないかしら」
奈緒は少し心配そうに、テーブルで宿題をしている彩乃を見た。
「そうよねえ。でも彩乃もいなかったらお母さんも寂しいんじゃない」
「そうね。ねえ彩乃!お姉ちゃん、夏休み別荘にアルバイト行くんだけどいい?」
「えー、お姉ちゃんとお出かけしたかったのにぃ」
不満そうな顔の彩乃。
「夏休み全部ってわけじゃないから、帰ってきたら行けるわよ」
「そうなの?いいなぁ別荘、わたしも行きたいなあ」
彩乃は母親の顔を見た。
「あ、でもママひとりにしちゃったらかわいそうね。わたしはママとお留守番してるわ」
「ごめんね彩乃。お土産買ってくるから」
「うん!楽しみにしてるね」
素直に喜ぶ彩乃だった。
明衣も自分の家のようにソファに寝転がって漫画を読んでいる。
「ねえ彩香、夏は別荘行く?」
思い出したように明衣が尋ねた。
「別荘ってなに?」
「あれ?聞いてないの?おじさんたち毎年夏は海辺の別荘に行くんだよ。1ヶ月くらい」
「1ヶ月も⁉︎」
「うん。7月入ったらすぐかな?それにね、私たち、わたしと妹の結衣も毎年行ってるんだ。まあ、私たちは宿題とかもあるから3週間くらいだけど」
「3週間・・・すごいね」
「まだ聞いてなかったんだ。ならさ、今からおじさんに聞いてみようよ」
言うなり明衣は勢いよく立ち上がって、彩香を連れて盛雄の書斎へと向かった。
明衣は一応ノックをしつつ、すぐにドアを開けて、
「おじさん、今年も別荘行くんだよね?」
とニコニコしながら尋ねた。
「ああ、そうですね。行きますよ、もちろん」
万年筆を走らせていた盛雄は、執筆を止められながらも、怒る様子もなく、むしろニコニコしながら明衣の突然の質問に答えた。
「彩香は連れてくの?」
「ああ、そうでしたな。彩香くん、私たちは毎年、7月の終わりくらいから8月いっぱいを別荘で過ごしています。よかったら一緒に来ませんか?」
「ほら、彩香も連れてってくれるでしょ?ねえ、行こうよ彩香」
明衣は彩香の腕をゆすりながらおねだりした。
「わたしも行っていいんですか?」
「ああ、もちろんです。彩香くんさへ都合が良ければ、ぜひお願いします。もちろんアルバイト代もお支払いしますよ」
「おじさん、ゆずも連れてっていい?」
「ああ、もちろんです。かわいいお嬢さんたちなら大歓迎です」
盛雄は嬉しそうな顔で返事した。
「あのね彩香、おじさんの別荘とおっても大きくって、何十人でも泊まれちゃうんだよ」
「ははは、何十人と言うのはさすがに厳しいですが、十何人、くらいでしたら」
「ね、ゆずも行けるしさ、和泉さんとかも来るんだよ。別荘の目の前おじさんちのプライベートビーチだし、楽しいよ」
明衣の目はすでに夏の眩しいビーチをみつめていた。
「あの・・・母と相談してからでもいいですか?」
「はい、もちろんです。しっかりご相談なさってください」
相変わらず丁寧な物腰の盛雄だった。
帰宅した彩香は母親にの奈緒に別荘のことを聞いた。
「ねえお母さん。夏休みなんだけど、バイト先の先生の別荘で夏もアルバイトしようと思うんだけど、いいかな?」
「別荘?・・・どれくらい行くの?」
「多分3週間くらいだと思う。先生は1ヶ月以上いるみたいだけど」
「・・・彩香の他にはだれか行くの?」
「うん。明衣とゆずが一緒。あと編集さんと息子の鷹文くんかな。あとは聞いてないけど」
「そうなの・・・彩乃、寂しがらないかしら」
奈緒は少し心配そうに、テーブルで宿題をしている彩乃を見た。
「そうよねえ。でも彩乃もいなかったらお母さんも寂しいんじゃない」
「そうね。ねえ彩乃!お姉ちゃん、夏休み別荘にアルバイト行くんだけどいい?」
「えー、お姉ちゃんとお出かけしたかったのにぃ」
不満そうな顔の彩乃。
「夏休み全部ってわけじゃないから、帰ってきたら行けるわよ」
「そうなの?いいなぁ別荘、わたしも行きたいなあ」
彩乃は母親の顔を見た。
「あ、でもママひとりにしちゃったらかわいそうね。わたしはママとお留守番してるわ」
「ごめんね彩乃。お土産買ってくるから」
「うん!楽しみにしてるね」
素直に喜ぶ彩乃だった。
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