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試験の話の後、最初とは違う気まずい雰囲気のまま、二人はスーパーまでやってきた。
いつものように、鷹文がカートを押しながら野菜売り場を歩いていた。
あれから、少しムッとしてしまった彩香はほぼ無言だった。
さすがにこのままでも良くないと思った鷹文は、当たり障りのなさそうな話題を切り出した。
「きょ、今日の夕飯は何にするんだ?」
「今日はお鍋の予定よ」
やはり彩香の機嫌は良くないようだ。
「な、鍋か!何入れるんだ?」
鷹文はわざとらしくその話題を続けた。
「うーん・・・鱈と白菜とシメジ、それに鶏団子も美味しいわよね」
料理の話を振ったのは正解だったようで、彩香の口調がだんだんいつもの調子になってきた。
「うちではね、いつものお出汁使って炊き込むのよ。白菜とかの葉物野菜にもしっかり出汁が染み込んで、とっても美味しいんだから!」
いつのまにかノリノリになっていた。
「長ネギも青いところ美味しいわよねぇ。あ、うちも今晩おなべにしよ!」
彩香は彩乃にリクエストを送った。
「よし!うちのは彩乃に任せて。鷹文くん?何か入れたいものある?和泉さんはね、鱈と白菜を一味の効いたポン酢につけて、日本酒でくいっといくのがいいんだって」
彩香は、和泉の真似をしてお酒を飲むポーズをした。
「そ、そうだな・・・俺はエビ、かな」
彩香の勢いに押され気味の鷹文は、昔好きだったものを伝えた。
「それもあったわね!うわー美味しくなりそう!」
彩香が楽しそうに野菜を物色し始めた。
そういえば自分の母親も鍋の時は自家製の出汁を使っていたなと考えていた。
「彩香ちゃん、大丈夫そうね」
帰ってきた彩香を見て、和泉はホッと胸を撫で下ろした。
「はい、料理の話振ったら、勝手に元気になりました」
「さすが彩香ちゃん!彩香ちゃんって由美先輩みたいよね。料理の話大好きなところとか。先輩もいつも一人で料理の話して盛り上がってたでしょ」
「そうですね・・・」
すっかり慣れてしまって忘れていたが、鷹文は由美と彩香の料理が似ているということを思い出した。
いつものように、鷹文がカートを押しながら野菜売り場を歩いていた。
あれから、少しムッとしてしまった彩香はほぼ無言だった。
さすがにこのままでも良くないと思った鷹文は、当たり障りのなさそうな話題を切り出した。
「きょ、今日の夕飯は何にするんだ?」
「今日はお鍋の予定よ」
やはり彩香の機嫌は良くないようだ。
「な、鍋か!何入れるんだ?」
鷹文はわざとらしくその話題を続けた。
「うーん・・・鱈と白菜とシメジ、それに鶏団子も美味しいわよね」
料理の話を振ったのは正解だったようで、彩香の口調がだんだんいつもの調子になってきた。
「うちではね、いつものお出汁使って炊き込むのよ。白菜とかの葉物野菜にもしっかり出汁が染み込んで、とっても美味しいんだから!」
いつのまにかノリノリになっていた。
「長ネギも青いところ美味しいわよねぇ。あ、うちも今晩おなべにしよ!」
彩香は彩乃にリクエストを送った。
「よし!うちのは彩乃に任せて。鷹文くん?何か入れたいものある?和泉さんはね、鱈と白菜を一味の効いたポン酢につけて、日本酒でくいっといくのがいいんだって」
彩香は、和泉の真似をしてお酒を飲むポーズをした。
「そ、そうだな・・・俺はエビ、かな」
彩香の勢いに押され気味の鷹文は、昔好きだったものを伝えた。
「それもあったわね!うわー美味しくなりそう!」
彩香が楽しそうに野菜を物色し始めた。
そういえば自分の母親も鍋の時は自家製の出汁を使っていたなと考えていた。
「彩香ちゃん、大丈夫そうね」
帰ってきた彩香を見て、和泉はホッと胸を撫で下ろした。
「はい、料理の話振ったら、勝手に元気になりました」
「さすが彩香ちゃん!彩香ちゃんって由美先輩みたいよね。料理の話大好きなところとか。先輩もいつも一人で料理の話して盛り上がってたでしょ」
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