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「じゃあ最後に、鷹文くんから一言お願いできる?」
「はい」
和泉に言われた鷹文が立ち上がった。
「皆さん、今日は俺のためにありがとうございました」
一礼する鷹文。
「それから、俺のことでずっと迷惑かけていたみたいで、すいませんでした」
ともう一度、鷹文はお辞儀した。
「俺、母さんを亡くしてからずっと落ち込んでて、大和と明衣がいなかったらあのまま学校に行けなかったと思う。大和、明衣、ありがとう」
「ほんとだよね、大和。私たち、鷹文のために結構頑張ったよね」
「ああ、俺なんて自分ちから行くよりもかなり早起きしてたし」
言いながらも二人は笑顔だった。
「明衣ちゃん、大和くん、本当にありがとう」
盛雄もお礼を言った。
「ゆず、初日からあんな目に合わせてごめんな。なのに今じゃ俺の家まで来てくれるようになって、あんなうまいケーキまで作ってくれて、本当にありがとう」
「そそそ、そんにゃこと・・・」
ゆずは恥ずかしそうにはにかんだ。
「それから、愛さんと結衣。せっかく料理作ってくれたのに、残してばっかりですいませんでした。それでも作りにきてくれて、ありがとう」
「うふふ。いいのよ。わがまま息子みたいで楽しかったわ。ね、結衣?」
「うん。甘えん坊、とか思ってなかったよ、ふみにい」と笑顔の結衣。
「す、すまん」
鷹文が素直に謝った。みんなに笑いが起きた。
「和泉さん。いつも俺のそばでバカやってくれてありがとう」
みんなからさらに笑いが起こる。
「母さんがいなくなって、和泉さんだって辛かったはずなのに、俺や親父のためにいつも元気でいてくれて本当にありがとうございました」
「それに私、由美先輩譲りの超美人だし!そばにいてくれて嬉しかったでしょ?鷹文くん」
と相変わらずおどける和泉。
「そ、そうっすね・・・」
口ごもる鷹文にみんながクスクス笑った。
「親父。親父が俺のためにあの童話書いてくれなかったら、俺、まだ大和たちのことに気づかずにずっと部屋に閉じこもっていたかもしれない。親父の童話があったから俺、一人じゃないってわかったんだ。本当にありがとう」
「本当はね、鷹文。あの時お前が読んでくれるか、私も不安だったんだ。あの時読んでくれて、少しでも元気になってくれて本当に良かった。ありがとう」
盛雄は優しい笑顔で鷹文を見た。
「彩香。まだ1年も経ってないけど、お前がいなかったら、その・・・今、俺はこんな風にはなれてなかったと思う」
「こんな風にってどんなだよ!」
と大和がツッコんだ。
「いいだろ!ま、まあ少しは素直、になったってとこかな」
鷹文が頬を赤くした。
「だな、お前かなりひねくれてたもんな」「うんうん。ひねくれてた」
大和と明衣の掛け合いに、みんな笑った。
「彩香のおかげで、こんなにたくさんの人が集まってくれるようになって・・・その・・・か、感謝してるんだ。彩香、ありがとう」
彩香は何も言わずに、笑顔で鷹文を見つめた。
彩香の優しい視線に少し戸惑いながらも、鷹文は続けた。
「さ、最後にもう一度。今日は本当にありがとうございました」
みんなの拍手でパーティーはお開きとなった。
「はい」
和泉に言われた鷹文が立ち上がった。
「皆さん、今日は俺のためにありがとうございました」
一礼する鷹文。
「それから、俺のことでずっと迷惑かけていたみたいで、すいませんでした」
ともう一度、鷹文はお辞儀した。
「俺、母さんを亡くしてからずっと落ち込んでて、大和と明衣がいなかったらあのまま学校に行けなかったと思う。大和、明衣、ありがとう」
「ほんとだよね、大和。私たち、鷹文のために結構頑張ったよね」
「ああ、俺なんて自分ちから行くよりもかなり早起きしてたし」
言いながらも二人は笑顔だった。
「明衣ちゃん、大和くん、本当にありがとう」
盛雄もお礼を言った。
「ゆず、初日からあんな目に合わせてごめんな。なのに今じゃ俺の家まで来てくれるようになって、あんなうまいケーキまで作ってくれて、本当にありがとう」
「そそそ、そんにゃこと・・・」
ゆずは恥ずかしそうにはにかんだ。
「それから、愛さんと結衣。せっかく料理作ってくれたのに、残してばっかりですいませんでした。それでも作りにきてくれて、ありがとう」
「うふふ。いいのよ。わがまま息子みたいで楽しかったわ。ね、結衣?」
「うん。甘えん坊、とか思ってなかったよ、ふみにい」と笑顔の結衣。
「す、すまん」
鷹文が素直に謝った。みんなに笑いが起きた。
「和泉さん。いつも俺のそばでバカやってくれてありがとう」
みんなからさらに笑いが起こる。
「母さんがいなくなって、和泉さんだって辛かったはずなのに、俺や親父のためにいつも元気でいてくれて本当にありがとうございました」
「それに私、由美先輩譲りの超美人だし!そばにいてくれて嬉しかったでしょ?鷹文くん」
と相変わらずおどける和泉。
「そ、そうっすね・・・」
口ごもる鷹文にみんながクスクス笑った。
「親父。親父が俺のためにあの童話書いてくれなかったら、俺、まだ大和たちのことに気づかずにずっと部屋に閉じこもっていたかもしれない。親父の童話があったから俺、一人じゃないってわかったんだ。本当にありがとう」
「本当はね、鷹文。あの時お前が読んでくれるか、私も不安だったんだ。あの時読んでくれて、少しでも元気になってくれて本当に良かった。ありがとう」
盛雄は優しい笑顔で鷹文を見た。
「彩香。まだ1年も経ってないけど、お前がいなかったら、その・・・今、俺はこんな風にはなれてなかったと思う」
「こんな風にってどんなだよ!」
と大和がツッコんだ。
「いいだろ!ま、まあ少しは素直、になったってとこかな」
鷹文が頬を赤くした。
「だな、お前かなりひねくれてたもんな」「うんうん。ひねくれてた」
大和と明衣の掛け合いに、みんな笑った。
「彩香のおかげで、こんなにたくさんの人が集まってくれるようになって・・・その・・・か、感謝してるんだ。彩香、ありがとう」
彩香は何も言わずに、笑顔で鷹文を見つめた。
彩香の優しい視線に少し戸惑いながらも、鷹文は続けた。
「さ、最後にもう一度。今日は本当にありがとうございました」
みんなの拍手でパーティーはお開きとなった。
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