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次の日学校で
「明衣、ゆずちゃんいるか?」
「大和!ゆず?まだみたいだけど」
「そっかぁ。早くこないかな」
「なになに。ゆずに告白でもするの?」
明衣がニヤニヤしながら大和の顔をのぞき込んだ。
「な、何いってんだ明衣!違うよ!ゆずちゃんさ、ピアノ弾けるんだ」
「え?ほんとに?」
「ああ、しかもうちの母ちゃんも認めるくらい上手くてさ」
「へー、知らなかった。でも大和のお母さんが認めるなんてすごいね」
「ああ、昨日鷹文んちでピアノ弾いてるの聴いてさ。俺もびっくりしたんだ。でな、学園祭の俺たちのバンドでキーボード弾いてもらおうと思って」
「ゆずに?無理でしょ」
「そうか?」
「だって、あのゆずだよ。あの子がステージに立つって、失神して倒れちゃうよ」
「だってよぉ。この前は大丈夫だったじゃん。夏のコスプレ」
「あの時はただ立ってるだけだったし、でもそのあの後寝込んでたじゃん」
「そ、そうだっだな」
明衣の言葉に、大和はがっくりと肩を落とした。
「だから無理だって。絶対」
「な、なんとかならねえかな。ゆずちゃんが弾いてくれれば、バンドだって絶対良くなるんだよ」
そこにゆずがやってきた。
「おはよう、明衣ちゃん・・・や、やまとくんも」
いつになく大和に怯えるゆず。
「ゆず、大和の話聞いたけど、どうするの?」
「う、うん・・・」
ゆずの声が小さくなった。
「みんな、おはよう」
「彩香、おはよう。ねえ、聞いてよ、大和がさぁ」
「学園祭のこと?」
「って、そっか。彩香もいたよね、昨日」
「うん。ゆずにケーキ教えてもらってたら、こんなことになっちゃって」
彩香が申し訳なさそうな顔をした。
「で、ゆず。ライブだよ、ステージだよ。めっちゃ目立つよ。できそう?」と明衣。
「昨日ね・・・ずっと考えてたの。大和くんのお母さんにも言われて・・・音楽、クラシックだけじゃないって・・・」
「うん」大和が頷いた。
「でね・・・私、ピアノ、大好きだし・・・その・・・音楽、もうちょっと、やってみたいかなって・・・」
「じゃ、じゃあいいのか⁉︎」
「あ、あの・・・わたしだけ、見えないように、できない・・・よね?」
ゆずが恐る恐る尋ねた。
「ステージで?」
「う、うん。たくさんの人に見られたら、わたし、緊張して弾けなくなっちゃうかも、だから・・・」
「でもよぉ。せっかく舞台に立つんだからみんなに見せてやりたいじゃん」
大和は不満そうにゆずを見た。
「そ、そうなんだ、けど・・・き、緊張しちゃったら、演奏もできなくなっちゃいそうで・・・」
「・・・わかった。でも隠れてやるのはもったいないからさ、照明暗くして見えにくくする、くらいでもいいか?」
「・・・う、うん。それなら・・・なんとか・・・」
かなり迷いはしたが、ゆずが頷いた。
「よし!じゃあよろしくなゆずちゃん!」
大和は嬉しさのあまりゆずに握手を求めた。
「う、うん・・・よろ、しく、ね」
ゆずが大和の手をそっと握った。
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