家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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放課後の音楽室。
大和が作ったデモを、玲、鷹文とバンドのメンバーが聞いていた。
今回のデモは大和が歌も歌っている。
「大和、お前すげえな」
ドラムの男子は大和に尊敬の眼差しを向けた。
「この歌詞もいい」
ベースの女子が、スコアを見ながら抑揚のない声でボソッと答えた。
「だろ!俺たちの渾身の作品だ!一応ツインギターとベードラっていう構成にしてあるけど、玲!
歌いながらギター大丈夫か?」
「もちろんよ!あんたんところでどんだけ練習したと思ってんの!」
と竹原ミュージックスクールギターコースに通う玲は、自信たっぷりに答えた。
「でも、キーボードも欲しいね」とベース女子。
「ああ。最悪シーケンサーでシンセ鳴らそうかと思ってんだけど」
「俺、あのクリック音苦手なんだよなぁ」とドラム。
「まあな。でもお前、知ってるってことはやったことあるんだろ?」
「一回だけな。俺、走り気味になること多いからめっちゃ辛かった」
「ってか走るなよ!周りも合わせきれなくなるだろ!」
「そこがライブのいいとこじゃん」
となぜか自信ありげなドラマー。
そんな会話を無視するように、玲が隣に座っている鷹文に尋ねた。
「ねえ鷹文。この主人公どんな人なの。主人公はどんな気持ちなの?」
「一応お前が主人公ってことになってる。だからこの女子は俺が見たお前だ」
鷹文にしては珍しく、しっかりとした目で玲を見つめた。
「そ、そうなの。じゃあ、私が捉えたまま歌えばいいってわけ?」
ほのかに頰を赤らめて玲が続けた。
「そうなるな」
「で、この前のはちゃんとできてた?作詞家から見て』
玲は上目遣いに鷹文をのぞき込んで、別荘での初披露のことを尋ねた。
「まあ、良かったんじゃないか?」
「そう⁉︎」
目をキラキラさせながら、鷹文にぐっと近づく玲。
「あ、ああ。ちゃんと感情入ってたっぽいし」
間近に迫った玲から鷹文は目をそらした。
「ふ、ふうん。あんた、私のことちゃんとわかってんじゃない」
目をそらした鷹文を見て、自分が近づきすぎていることに気づいた玲は、急に恥ずかしくなって元の位置に戻った。
「あ、あれだけうるさくされればな」
鷹文はほっとしながら答えた。
「うるさくなんかしてないでしょ!普通にお話ししただけじゃない!」
玲がまた鷹文に急接近した。
「あ、あれが普通・・・なのか?まあ、お前がそういうならそうなんだろうな」
「そ、そうよ・・・」
なぜか少ししょげてしまった玲は、座り直してからもう一度デモを再生して、一度歌っているはずの曲を真剣に聞き始めた。
「オリジナルだし、これ最後の曲でいいよな?」
大和がメンバーに尋ねた。
「いいよ」「だね」
肯定の返事に気を良くした大和は、あらかじめ作っておいたメモをメンバーに見せた。
「じゃあセトリはこんな感じで」
「うわー、4曲もやるんだ。体力持つかなぁ」ひ弱なドラム
「私の指ももつかしら・・・」貧弱ベース
「おいおい。お前らこれが初めてってわけじゃねえだろ!」
「でもよお。れ、玲のバックって・・・」「結構目立つし」恥ずかしがり屋さんたち
「いいじゃない。ライブなんて目立ってなんぼでしょ!それにみんな私しか見ないから大丈夫よ!」
自信満々の玲。
「それもそうだな。じゃあ俺たちモブってことで」「気楽にやる」
簡単に懐柔された。
「た、鷹文もちゃんと見に来なさいよ」
今度はくっつきすぎないように注意して、玲は鷹文の方を向いた。
「ああ、一応自分が作ったもんだしな」
鷹文も自分の作品は気になるようだった。
「そ、そうよ!あんたが作ったんだから!ちゃんと見に来なきゃダメ、なんだからね!」
玲はそれだけ言うと、真っ赤な顔をしてプイと横を向いた。
「・・・にしてもキーボードなぁ」
プロデューサー大和は頭を抱えた。
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