上 下
138 / 428
1

137

しおりを挟む
「お姉ちゃん、こっちこっち」
夏休み最後の日。彩香は彩乃とお出かけ。
別荘から帰ってきたあと、彩乃は今まで以上に彩香にべったりになっていた。
夏休み中ずっと彩香に会えなくて寂しかったお姉ちゃん大好きな彩乃は、夏休み分全部取り返すつもりらしかった。彩香も彩乃を一人にしてしまったことを気にしているのか、今日は彩乃に新しい服プレゼントするつもりで一緒にお買い物に来ていた。
「今日はお姉ちゃん独り占め!」
と彩乃が彩香の腕に絡みついた。
「暑いよ彩乃」
言葉とは裏腹に優しい笑顔の彩香。
「いいでしょ。お姉ちゃんずっといなかったんだもん」
彩乃は甘えるような拗ねた顔で下から彩香を見つめた。
「ごめんね。寂しかった?」
「うん。毎日泣いてた」
彩乃は涙を拭く真似をした。
「嘘でしょ」
コツンと軽く頭を叩く彩香。
「えへっ♡ばれた?でも、お姉ちゃん成分たりなぁい!」
彩乃は彩香にくっついたまま離れようとしなかった。
「ねえ、せめてどこか涼しいところに入ろうよ」
と彩香は彩乃を連れて近くのファッションビルに入った。

「これ彩乃に似合うんじゃない?」
「ん?ちょっとかわいすぎない?」
彩香はピンクのチェック柄のワンピースを持っていた。大きなリボンがアクセントになっている。
「そう?私はいいと思うけど」
「お姉ちゃん、私、もう中2だよ!もうすこし大人っぽいのがいいよ」
「ごめん。なんか彩乃はいつまでも可愛いのが似合うなって思っちゃうの」
「もう。おばあちゃんみたい」
「ふふふ。そういえばそうだったわね」
と彩香は祖母のことを思い出して微笑んだ。
「じゃあこっちは」
「あ、いいかも」
「うーん。でもちょっと彩乃には早いかなぁ」
「えー、そんなことないよ。でも・・・お姉ちゃんは似合いそうだね」
「そう?私、こういうのちょっと苦手かな」
「かわいいと思うけど」
さっきのよりはだいぶ大人っぽいがやっぱり少し可愛い系の服を持っていた彩香は、自分が着るなら・・・と周りを見回した。
「うん。そうなんだけどね・・・私はどっちかっていうとこの感じかな、ほら」
と彩香が別の服を手に取り、自分の体にあてて彩乃に見せた。
「そうだね。そっちの方がお姉ちゃんっぽい。ステキ」
どちらかというとあっさりとしたその服は、彩香の持つ透明感をより引き立てたようで、近くで服を選んでいた女性客たちの目を惹きつけていた。
「あ、ごめん、今日は彩乃の服選びにきたんだよね」
「ううん。2年後の私想像できるし。お姉ちゃんとお買い物するのって楽しい」
「そういえばこの前、明衣が『ミニ彩香』とかいってたね」
「うん。やっぱり似てるんだね」
「まあ、姉妹だし」
「うふふ」
「彩乃の、どうしたの?」
「お姉ちゃんの妹でよかったなって思って」
また彩香の腕に絡みつく彩乃。
「そう。ありがと」
彩香もにっこりと微笑んだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

男子高校生の休み時間

こへへい
青春
休み時間は10分。僅かな時間であっても、授業という試練の間隙に繰り広げられる会話は、他愛もなければ生産性もない。ただの無価値な会話である。小耳に挟む程度がちょうどいい、どうでもいいお話です。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

俺の家には学校一の美少女がいる!

ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。 今年、入学したばかりの4月。 両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。 そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。 その美少女は学校一のモテる女の子。 この先、どうなってしまうのか!?

処理中です...