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しおりを挟む彩香が、また一人で食事の準備をしていた。
見るに見かねた玲が、たどたどしくも彩香を手伝っていた。
「ごめんね、玲さん、お客様にこんなことさせちゃって」
「別にいいわよ。みんなだってやってるのに、わたしだけって何もしないなんて、なんか気まずいじゃない」
「それもそうね。ありがと」
意外と律儀な人なんだなと思いながら、彩香は料理を続けた。
しばらくは二人とも無言のまま準備をしていたが、自分にできることがなくなってしまった玲は、なんとなく彩香の横にやってきた。
「ねえ、何か他にない?」
「うーん、今のところ、ないかな?」
玲の動きを見て、料理は不得意そうだなと感じ取っていた彩香は、明らかに無理そうなことは頼まなかった。
自分にできそうなこともなく手持ち無沙汰の玲は、なんとか間を持たせようと必死に共通の話題を探していた。
「ところでさ・・・た、鷹文のこと、なんだけど」
言ってからしまった!と思った。
やっと見つけられた共通の話題である鷹文のことを、玲はよく考えもせず口にしてしまったのだ。
しかし、言ってしまったものは仕方ないと諦めた玲は、後を続けた。
「さ、彩香さんって、鷹文のこと・・・その・・・す、好きなの?」
「えっ・・・どうして?」
「あ、あの、ね。彩香さんと、鷹文って、その・・・仲、いいじゃない?」
昨日の晩のことを思い出して、どきっとする彩香。
「そ、そうかなぁ」
「そ、そうよ!だ、だって、服、選んだの、彩香さんなんでしょ?」
「ああ、それね。うん・・・」
服のことだったんだ、と彩香は少し安心した。
「鷹文のことちゃんとわかってなきゃ、あんなぴったりなの選べないわよ。どっちの服も、鷹文、とっても気に入ってたわよ!」
「そう。ならよかった」
「ほら!あなただって嬉しそうじゃない」
「え?それは・・・気に入ってもらえた方が嬉しいじゃない」
頰を赤らめる彩香。
「そうだけど!・・・お食事の時だって、鷹文の好きなもの、たくさん作ってるみたいだし。や、大和が言ってたわよ!彩香さんが食事作るようになってから、鷹文がちゃんと食べるようになったって」
「そうなの?まあ、鷹文くん、焼いてもいない食パンとかしか食べてなかったみたいだけどね」
彩香は盛雄や明衣との話を思い出していた。
「なんか、お母さんの作ったものしか食べなかったんですって。鷹文。それが、彩香さんが来たら、小さい頃みたいに、たくさん食べるようになったって・・・」
「そうなんだ。知らなかったわ。でもよかった。先生もだけど、あの二人、ほっとくと食事無
茶苦茶になるから、ちゃんと食べてもらえるようになったのなら、嬉しいかな」
彩香は嬉しそうな顔をしていた。
「・・・彩香さんって、お母さん見たいね」
「それ、明衣にも言われたわ」彩香は不満そうだった。
「そ、そういうところに男は惚れちゃうのかしら?」
「ほ、惚れるって・・・」
また彩香が赤くなった。
「鷹文、彩香さんのこと好きよ、絶対」
「・・・」
「まちがいないわよ!だって・・・まあ、私は芸能界目指してるから、あんなやつ踏み台でしかないけど・・・」と少し寂しそうに言う玲。
「た、鷹文、昨日だって、ずっと彩香さんのこと、見てた、し・・・」
「え?そうなの?」
「気づいてないの⁈うわー」玲はしらじらとした目を向けた。
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