114 / 428
1
113
しおりを挟む
彩香の手伝いを終えて部屋にもどった玲は、ずっと絵を描いているしのに、なんとなく話しかけた。
「しのさん。彩香さんって、すごいんですね」
「そ、そうですね」手を止めないしの。
「今描いてるの彩香さんですか?」
気になった玲がスケッチブックを覗き込むと、彩香らしきメイド服の女性を書いているようだった。
「はい、彩香さんの、彩奈?彩奈の、彩香さん?」
「彩奈?」
「あ、わたしのキャラなんです。遠山、彩奈・・・」
「キャラ?マンガとかの?」
「はい。し、知らないですよね。『にゃんパラ』って言うマンガなんですけど」
「え⁉︎あれって、しのさんが描いてるの?」
「は、はい・・・」
「めちゃくちゃ面白いじゃないあれ!」
玲は前のめりでしのに近寄った。
「あ、ありがとう、ごごご、ございます、です」
美人の玲が急接近してきたことに、しのはかなり慌てていた。
「彩香、さんは、彩奈の、モデル、なんです」
「彩香さんが⁉︎」
「ゆ、ゆず、さんは、夏みかん、ミカにゃん、です」
「ああ、たしかにチビ巨乳」
キャラにさえ羨ましそうな顔の玲。
「は、はい」
「でも、ミカにゃん性格は全然ね。彩奈も彩香さんの方がもっと明るい感じっていうか」
「は、はい。いろいろデフォルメ、しています」
「そ、そうよね。じゃないとマンガ面白くないし。でも驚き。たしかにこうやってみると彩香さんもゆずさんもそっくりね・・・そっか!それで明日のイベント!」
「は、はい。わ、私も和泉さんに、出会わなかったら、彩香さんや、ゆずさんとこんなに、お近づきには、なれませんでした」
「へえー。そうなんだ。じゃあどうやって?二人を知ったの?」
「は、はい。彩香さん、は、中学の、後輩で、ゆずさんは、パン屋さんに・・・」
「パン屋さん?」
「聖和学園駅に、ふんわりベーカリー、っていうパン屋さんがあって」
「そこの娘さんなんだ」
「い、いえ。ゆずさんの友達、がそこの娘さん、みたいで」
「そ、そうなのね・・・」
なんとも要領を得ない会話だった。
「あ、あの、ありがとうございます。『にゃんパラ』読んで、くださってたんですね」
「ええ。全巻持ってるわよ、ほら」
と玲は、ダウンロードのページをしのに見せた。
「こここ、光栄、です」
「ねえ・・・さ、サインもらってもいい?」
玲は恥ずかしそうにしのを見た。
「は、はい、もちろん、です」
適当なものが見当たらなかったしのは、今まで書いていた彩奈の絵に、ひらがなで「ひんしの」と書いていつもの瀕死の女の子ロゴも書き入れ、それを玲に渡した。
「え?これ、もらっちゃっていいの?」
「は、はい。よかったら、受け取って、ください」
「ありがとう!額に入れて飾るわね」
とても嬉しそうな顔の玲だった。
「玲さん、い、今、何時ですか?」
とふと思い出したようにしのが尋ねた。
「うーん。5時半?」
「えっ、えええ!」
「どうしたの?」
「あ、アニメ、見逃しました・・・」
ゆずが見ていた再放送は、しのもお気に入りのようだった。
「しのさん。彩香さんって、すごいんですね」
「そ、そうですね」手を止めないしの。
「今描いてるの彩香さんですか?」
気になった玲がスケッチブックを覗き込むと、彩香らしきメイド服の女性を書いているようだった。
「はい、彩香さんの、彩奈?彩奈の、彩香さん?」
「彩奈?」
「あ、わたしのキャラなんです。遠山、彩奈・・・」
「キャラ?マンガとかの?」
「はい。し、知らないですよね。『にゃんパラ』って言うマンガなんですけど」
「え⁉︎あれって、しのさんが描いてるの?」
「は、はい・・・」
「めちゃくちゃ面白いじゃないあれ!」
玲は前のめりでしのに近寄った。
「あ、ありがとう、ごごご、ございます、です」
美人の玲が急接近してきたことに、しのはかなり慌てていた。
「彩香、さんは、彩奈の、モデル、なんです」
「彩香さんが⁉︎」
「ゆ、ゆず、さんは、夏みかん、ミカにゃん、です」
「ああ、たしかにチビ巨乳」
キャラにさえ羨ましそうな顔の玲。
「は、はい」
「でも、ミカにゃん性格は全然ね。彩奈も彩香さんの方がもっと明るい感じっていうか」
「は、はい。いろいろデフォルメ、しています」
「そ、そうよね。じゃないとマンガ面白くないし。でも驚き。たしかにこうやってみると彩香さんもゆずさんもそっくりね・・・そっか!それで明日のイベント!」
「は、はい。わ、私も和泉さんに、出会わなかったら、彩香さんや、ゆずさんとこんなに、お近づきには、なれませんでした」
「へえー。そうなんだ。じゃあどうやって?二人を知ったの?」
「は、はい。彩香さん、は、中学の、後輩で、ゆずさんは、パン屋さんに・・・」
「パン屋さん?」
「聖和学園駅に、ふんわりベーカリー、っていうパン屋さんがあって」
「そこの娘さんなんだ」
「い、いえ。ゆずさんの友達、がそこの娘さん、みたいで」
「そ、そうなのね・・・」
なんとも要領を得ない会話だった。
「あ、あの、ありがとうございます。『にゃんパラ』読んで、くださってたんですね」
「ええ。全巻持ってるわよ、ほら」
と玲は、ダウンロードのページをしのに見せた。
「こここ、光栄、です」
「ねえ・・・さ、サインもらってもいい?」
玲は恥ずかしそうにしのを見た。
「は、はい、もちろん、です」
適当なものが見当たらなかったしのは、今まで書いていた彩奈の絵に、ひらがなで「ひんしの」と書いていつもの瀕死の女の子ロゴも書き入れ、それを玲に渡した。
「え?これ、もらっちゃっていいの?」
「は、はい。よかったら、受け取って、ください」
「ありがとう!額に入れて飾るわね」
とても嬉しそうな顔の玲だった。
「玲さん、い、今、何時ですか?」
とふと思い出したようにしのが尋ねた。
「うーん。5時半?」
「えっ、えええ!」
「どうしたの?」
「あ、アニメ、見逃しました・・・」
ゆずが見ていた再放送は、しのもお気に入りのようだった。
0
お気に入りに追加
248
あなたにおすすめの小説
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる