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ゆずたちが買い物から戻ると、結衣が夕食の準備を始めていた。
「結衣ちゃん、遅くなっちゃって、ごめんね」
「私も今始めたところですから。いっぱい買ってきましたね」
「うん。7人もいるとすごいよね」
「ですね」
「なあ、これってこっちに入れればいいのか?」
と冷蔵庫の前で人参を持っている大和が聞いてきた。
「あ、大和くん!人参はそっちの棚でいいよ」
「了解!」
と、ガサガサと買ってきたものを片付けていった。
「よし、終わった!」
「終わりじゃないよ。大和くん」
結衣が冷たい宣告を下した。
「バレたか・・・」
「手を洗って準備する!」
と結衣に背中を叩かれた大和は、仕方なく手を洗い始めた。
「二人って仲いいんだね」
二人を見ていたゆずが呟いた。
「え?ああ、まあ大和くんもふみにいも私にとってはお兄ちゃんみたいなもんですから」
「お兄ちゃん・・・」
「二人とも出来は悪いですけどね」
結衣が笑った。
「年上に向かって出来が悪いだと!よおし。この大和様の包丁さばきを見せてやろう!」
と、手を洗い終えた大和が、まな板の上に乗っていキャベツの千切りを始めた。
「大和くん、包丁、上手だね」
ゆずが感心しながら大和を見た。
「ほんとだ!去年より上手くなってる!」
「去年?」
「はい、私たちは夏休みは毎年ここで過ごしてるんですよ。で、料理できる人少ないから、私が作ることが多かったんですけど、大和くんも手伝ってくれてたんです。大和くん、練習でもしたの?」
「いや、最近、母ちゃんの仕事が忙しくなってな。ほら、ピアノのレッスンやてんだろ。そのせいで俺が飯作ることが増えたんだ。それでかな」
「にしても、去年とは全然違うね」
「まあ、最近毎日作ってるからな。慣れたのかも」
そう言いながら今度は器用に卵をかき混ぜている。
「結衣、小麦粉とパン粉出しといてくれ」
「うん」
結衣はバットふたつに小麦粉とパン粉を入れた。
「ゆずちゃん、肉は冷蔵庫から出してあるよな」
「う、うん。出てるよ」
大和がかき混ぜていた卵もバットに開け、厚切りの豚肉に塩胡椒をした。
「手際、いいね」
「そうか?まあ、トンカツ、俺大好きだしな!」
と言いながら、大和は手慣れた様子でどんどん進めていく。
「ゆずさん。大和くん、なんかかっこいいですね」
「そ、そうだね・・・カッコいい、かも」
ゆずは大和をじっと見つめていた。
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