家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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それから彩香は、ゆずを日陰に座らせてキッチンから飲み物を取ってきた。
「ゆず、これ飲んで」
「う、うん・・・」
ゆずは力なく返事をすると、やっとの事で彩香からグラスを受け取った。
「飲んだほうが落ち着くわよ」
グラスを持ったまま身動き一つしないゆずを見て、彩香がもう一度声をかけると、ゆずは抜け殻のような顔のままグラスに口をつけた。
彩香はゆずのことを心配しながらも、今度は大和の方へ向かった。
「大和くんも、これどうぞ」
「あ、ああ、ありがとう、彩香ちゃん」
気が動転していた大和だったが、少し落ち着いたらしく、すぐにグラスを受け取って、麦茶を一気に飲み干した。
「ぷはー。彩香ちゃん、ゆず、ちゃんは、その・・・・大丈夫、そう?」
大和もゆずが心配だったのか、彩香に尋ねた。
「うん。しばらくはそっとしておいたほうがよさそうね」
と、彩香は心配そうにゆずの後ろ姿を見つめた。

それからしばらくは無言のまま時だけが流れていった。
どれくらい時間が立ったのだろう、門の方に声がして、すごいスピードで走って来る自転車が見えた。
そして2台の自転車が急ブレーキで止まった。
「うっしゃあ!私の勝ち!ジュースは鷹文のおごりね!」
「おまえ・・・ゴールしてから決めんなよ」
ゴールしてから賭けレースだと知らされたのか、鷹文は納得のいかない顔をしていた。
そんなことはまるで気にしない明衣は、自転車を停めると、袋を持ってゆずの方へ向かった。
「おまたせ!はいこれ」
「明衣ちゃん・・・お帰り」
相変わらず、ゆずは動けないままだった。
「ゆず、なんかぐったりしてるね」
「だ、だって・・・」
ゆずがあまりにぐったりしていたので、明衣は大和に尋ねた。
「ねえ、大和。あんたどんな練習させたの?ゆず、ぐったりしてるよ」
「い、いや・・・」
大和も妙に言葉足らずった。
「ねえ彩香、二人ともどうしちゃったの?」
どうしても気になる明衣は、彩香に尋ねた。
「あ、あのね、ゆずが自転車から落ちそうになって、それを大和くんがね、助けてくれたの」
なぜか彩香までがたどたどしく喋るのだった。
「そうなんだ。ゆず、怪我とかしなかった?」
「う、うん。それは大丈夫なんだけどね・・・」
彩香が何かを言いよどんでいるようだった。
「そっか。ゆず、よかったね」
「う、うん・・・」
何かを隠しているような気がしてならなかった明衣は、結衣の顔を見て
「結衣、ちょっと!」っとみんなから離れたところに結衣を引っ張っていった。
「ねえ、結衣。一体何があったの?」
「あのね、大和くんが倒れそうになったゆずさんを抱きとめたの。そしたら二人が、その・・・き、キスしそうなくらいに近づいちゃって」
「マジで⁉︎」
「うん・・大和くんも悪気あったわけじゃないんだよ。ゆずさんが突然倒れそうになったから慌てちゃって・・・」
「そっか。それであんなに気まずくなってるんだ」
「うん・・」
「でもあのまんまじゃ後が大変だよね。これからもずっと一緒にいるんだし」
「そうだよ、ね」
「よし!わかった!」
「え?お姉ちゃん?」
「こう言うことは、お姉ちゃんに任せなさい!」
と明衣が元気にゆずたちの方に引き返していった。
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