家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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別荘は海に面した高台に位置していて、海からの心地よい風が庭を吹き抜けていく。今は、リビングの大きな窓も全部開けてあって、家の中でも海の爽やかな風を感じることができた。
今朝は少し曇っていて、夜には雨の予報になっていた。そんな天気のせいか誰も海に行こうとは言い出さず、明衣たち女子グループは庭にある大きなパラソルのついたテーブルで、トロピカルなフレーバーティーを飲みながらのんびりしているのだった。
「自転車に乗れない⁉︎」
「う、うん・・・」
明衣の叫びにゆずが縮こまった。
「ゆず、ずっと女子校だし。ほら女の子だけじゃ自転車なんてあまり使わないじゃない。だかよ、きっと・・・」
となぜか彩香が必死に弁解した。
「・・・それじゃ買い物行けないな」
少し離れたところで、涼しげな籐製のロッキングチェアに座りながらのんびりと本を読んでいた鷹文が、冷めた声で言った。
「だね。大きなCSが山の方にあるんだけど、結構眺めいいんだ。でも歩いてだとちょっときつい距離かなぁ」
明衣その眺めを思い出したようだった。
「そ、そうなの・・・ちょっと残念」
残念そうな顔のゆずを見た明衣が、何かを思いついたのか、突然立ち上がった。
「そうだ、ゆず!この際だからここで練習しようよ、自転車!」
「ええー、自転車なんて無理だよぉ」明衣の提案にぐずるゆず。
「そんなのやってみなきゃわからないじゃん」
「だ、だって・・・前にあんなに無理やり乗せられて・・・ころんじゃったんだもん・・・」
思い出したのか、ゆずは痛そうに自分の膝をさすった。
「そっか・・・ねえ鷹文!プロテクターとかある?」
「さすがにないな」
「そっかあ。ねえ、おじさん?」
「ああ、必要なものなら買っていらっしゃい」
と、今日は珍しく休みにしたのか、のんびりとソファに座って新聞を読んでいる盛雄が、ニコニコしながら答えた。そんな盛雄を見ていた彩香は、ちゃんと聞いてるのかしらと首をかしげた。
「サンキューおじさん大好き!」
そんなことなど微塵も気にしない明衣は、許可をもらえたらすぐ実行とばかりに動き出した。
「じゃあさ、ゆず、私と鷹文でこれから練習セット買ってくるから、その間に大和に乗り降りの方法教わってて」
「や、大和くん、に?」
「うん。あいつ、私たちの中で一番早く乗れるようになったんだよ。私も鷹文も大和に教えてもらったし、あいつ意外と教えるのうまいんだ。大和、頼んだわよ!」
「ああ、任せとけ!こっちはもう少しだから終わったらな!」
今日は結衣に押さえてもらって壁の修理を急いでいた大和が、はしごの上から答えた。
「む、むりだよぉ・・・それに、や、やまとくんと・・・」
大和と二人っきりになると思ったゆずは、恥ずかしそうに顔を赤くして縮こまってしまった。
「彩香とゆいも一緒にいてあげてね。ゆず、大和と二人っきりじゃ心臓止まっちゃうから」
「うん。わかったわ。いってらっしゃい。気をつけてね」
彩香たちも練習に付き合ってくれるとわかって、ゆずは少しホッとしたようだった。
「うん。じゃあ鷹文、行くよ!」
俺も行くのかよ、と言いたそうな顔の鷹文を連れて、明衣は元気よく買い物に出かけた。
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