家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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土曜日の午後
鷹文は彩香に選んでもらった服を着て、駅前で玲を待っていた。
「ごめんなさい。待った?」
そう言った割には落ち着いた歩みで鷹文の前に現れた玲は、白をベースにした春らしい華やかな柄のワンピースで、華奢な体によく似合っていた。
「あら、少しはまともなカッコできるのね」
玲は鷹文を値踏みするように見回したあと、いきなりの上から目線で。
「で、今日はどうするの?」
「ああ。少し散歩でもするか」
「わかったわ」
玲の返事を聞いた鷹文は、スタスタと歩き出した。
「ちょ、ちょっと!歩くの早い!」
歩き出した鷹文に、早速のダメ出し。
「あのさぁ、女の子と歩くのにそんなに早く歩いてどうすんのよ!少しは気を使いなさいよ」
「す、すまん。こういうの慣れてなくってな」
鷹文は申し訳なさそうな顔をした。
「あんた、デートって初めて?」
「あ、ああ。悪いか?」
「そうなの・・・、仕方ないわねぇ。私がレクチャーしてあげるわ!」
というわけで、デートレクチャーになってしまった。
「で、どこに行こうと思ってたの?」
「近くに公園あるからそこまで散歩して、そのあとカフェにとか」
「そう。一応考えてはあるのね。まあ、あんたが誘ったんだから当然か」
と言って玲は鷹文の腕に絡みついた。
「お、おい!」
「何よ。これくらい普通じゃない」
玲は特に恥ずかしがる様子もなく、鷹文と腕を組んで歩いた。
鷹文の方はいきなりの展開に心臓をバクバクさせて、真っ赤な顔をしていた。
ほのかに女の子の甘いかおりが漂ってくる。
「で、今日は作詞のためなんでしょ。何聞きたいの?」
それどころではない鷹文は、心臓のバクバクを止めるのに必死になっていた。
「もう、だらしないわね」
さすがに可哀想だと思ったのか、玲はからめた腕を離した。
ふうっとため息をついた鷹文が、あらためて玲を見ると、同じように頰をそめているのがわかった。
「な、なんだ、お前も恥ずかしかったんじゃ・・・」
「なによ!いいでしょ。別に・・・歌詞作るのに協力してあげてるだけなんだから」
ちょっとムッとした玲だったが、小さな顔が表情を変えるのがなんとも可愛らしかった。
「おまえ、意外とかわいいんだな」
鷹文はそのままのことっをぼそっとつぶやいた。
「な、なに言い出すのよ!」
顔を真っ赤にした玲が、スタスタと歩いていってしまった。
「おい、待てって、謝るから」
鷹文は慌てて玲の後を追いかけた。
鷹文がすぐに追いついて玲に並ぶと、玲は恥ずかしそうな顔をしながらもゆっくりと歩き始めた。
「ねえ、私の歌詞って・・・そんなにダメだった?」
玲はムッとした顔で聞いた。
「テーマとしてはいいと思うけど・・・なんていうか、語数を合わせるとか。そういうところちゃんとしてないと曲作れないし、歌いにくいだろ」
本当は、「全然ダメ」と言いたいところだった鷹文だが、怒らせるのも得策ではないと考え、かなりオブラートに包んだ発言をした。
「そう・・・よね。あれ、前の晩なんとなくいいなって思ってそのまま書き出して大和に渡しちゃったの。見せた時、大和の顔見てやっちゃったって思ったわ」
さすがに自分の書いたもののことは覚えていたのか、玲は少し悔しそうな顔をしていた。
「でも、なんか認めたくなくって・・・」
「・・・そういう時ってあるよな」
「そ、そうよね」玲の顔がぱっと明るくなった。
「ねえ、私の歌・・・ちゃんと作れそう?」
先ほどまでの強気さはすっかりなりを潜め、玲が恥ずかしそうに鷹文の顔を見た。
「一応、今日はそのつもりで来たんだ。だからいろいろ話し、聞かせろよ」
「・・・うん。わかったわ。ねえ、あんたのこと、さ、鷹文って呼んでいい?」
「ああ、いいけど」
「そう!ならさ、私も玲って呼んで!鷹文!」
「あ、ああ」
「ねえねえ、呼んでみてよ」
「れ、れい」
「うー、なんかむずむずするぅ」
「な、なんだよ!俺だって恥ずかしいんだからな」
「あははぁ、なんか楽しいね」
そう言いながら玲は、また鷹文の腕にからみついた。
「お、おい、それはやめろって・・・」
「いいじゃない、デートなんだから。それに私たち、もう友達でしょ!」
ニコニコしながら玲は鷹文の顔を覗き込んだ。
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