家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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翌朝。彩香が自分の席に着くと、明衣がすぐ彩香に近づいて来た。
「おはよう彩香!」
「明衣、おはよう!」
「ところでさ、彩香、昨日のこと、内緒にしといた方がいいよね」
明衣は元気な挨拶のあと、突然ひそひそ声になった。
「バイトのこと?別に秘密ってわけじゃないよ。学校にもちゃんと届け出したし」
「そうじゃなくって」明衣が彩香の耳元によりさらに小声になって「メイド服のこと」
「あっ・・・」彩香は顔を真っ赤にして「そ、そうね。あれは内緒にしてくれると嬉しいかな・・・」
「だよねぇ!」明衣はいつもの元気な声に戻った「じゃあこれは2人だけの秘密ってことで」
「何が秘密なの?」
ゆずが2人の背後から声をかけた。
「うわぁ!」突然声をかけられた明衣は、驚いて椅子から転げ落ちそうになった。
「あ、あのね、ちょっとバイトのことで・・・あ、そういえば、バイト先の家、明衣のうちの隣だったんだよ!」彩香は強引に話を切り替えた。
「そうなんだ。知ってる人近くにいてよかったね、さいちゃん」
ゆずは嬉しそうな顔をした。
「うん。明衣が突然家に入ってきた時にはびっくりしたけど」
「私もびっくりしたよ。彩香がメイ・・・じゃなくって!鷹文んちにいたんだもん」
思わずメイド服のことを言ってしまいそうになった明衣だったが、なんとかごまかした。
「たかふみ?」
ゆずは不思議そうな顔で明衣を見た。
「あー、あのうちの息子、鷹文って言うんだけどね、あいつとは幼馴染でさ。昔っからよく遊んでたんだ。だからあの家、自分ちみたいなもんなんだ。私と鷹文とうちの妹の結衣の3人でいっつも遊んでたんだよ」
「なんか羨ましい。私、男の子のお友達いないから・・・」
ゆずは明衣の話を羨ましそうに聞いていた。
「そっか、ゆず、ずっと女子校だもんね。どう、3日目だけど、男子、まだ怖い?」
「う、うん・・・まだ、お話した人、いないし・・・」
ゆずは周りの男子を見て、今にも震えそうな顔をした。
「だよねぇ。手近にいいのいないかなぁ・・・」
と明衣が周りを見回していると、廊下を歩いている大和を見つけた。
「あ!大和やまと!ちょっと来てよ」
大声で呼び止めた明衣に気づいた大和は、教室に入って来た。
「お、明衣じゃん。あれ?スラックスじゃないの?」
「あたしは女だ!」と明衣は大和にどついた。
「あはは、そうだったっけ?」
これが二人の通常営業らしく、二人は笑いあった。
「あの、明衣?」彩香が困ったように明衣を見た。
「あ、ごめん。こいつ、いわゆる幼馴染?の大和」
「ただいまご紹介に預かりました、明衣の『幼馴染』の竹原大和です」
と、大和は彩香とゆずの方を向いて、丁寧にお辞儀した。
「私は・・・」
「知ってるよ、遠野彩香ちゃん、でしょ?」
「は、はい、そうですけど・・・」
彩香は初めて会った相手に自分の名前を言われて、不思議そうな顔をした。
「ほら言ったじゃん、彩香。あんた注目されてるって」
「え、だって、私・・・」
「彩香ちゃん、多分もう全クラスに知れ渡ってるよ。3組の超美少女って」
「そ、そうなんですか・・・」彩香はたじろいだ。
「そんな彩香ちゃんと直にお話できるなんて、めっちゃ嬉しいです!」
大和は本当に嬉しそうな顔をした。
「おい!あんたを呼んだのは彩香を紹介するためじゃない!ね、ゆず、おいで」
大和が来てから、いつの間にか彩香の後ろに隠れていたゆずを、明衣は引っ張りだした。
「ねえ、大和。この子、ゆず・・・藤野ゆずって言うんだけど、ずっと女子校で、男子怖いんだって。だからさ、ゆずが男子と話す練習台になってくんない?」
「お、俺が?」
大和は思ってもいなかった提案に驚いた。
ゆずは恐る恐る大和を見上げた。明衣より背が高い大和は、ゆずには怪獣のように見えていた。
「ねえ、あんたまた身長伸びた?」
「さあ、最近測ってないからな」
大和はどうだろ?というような顔をした。
「あ!そういえば今日だったけ、身体測定」
「ああ、去年は178だった」
「中3でそんなにあったんかい!でも、絶対伸びてるよね。80超えてそー」
「多分な。最近ドアの上んとこによくぶつかるし」
上を見ながら痛そうな顔をした。
「そこは避けろよ!」
「あ、あの・・・」
またも彩香が止めに入った。
「あはは、度々ごめん。じゃあ大和、ゆずに話しかけてあげて」
明衣に言われた大和はゆずに向き直って、姿勢を正した。
「こ、こんちは、俺、竹原大和。よろしく」
大和も初めての女子、しかも小柄で怯えまくっているゆずに、遠慮がちになりながら、とりあえず挨拶だけした。
「わ・・・わらひ・・・わ・・・ととと、藤野、ゆず・・・れしゅ・・・」
大和に見下ろしながら話しかけられたゆずは、思わず俯いてしまい、大和の顔を見ることもできず、震えながらなんとか自分の名前だけ、言うことができた。
この子になに話せばいいんだと考えていると、予鈴がなり、大和はホッと安心したような顔をした。
「じゃ、じゃあ俺、教室戻るから」
それだけ言うと、大和は急いで3組の教室から出て行った。
「ゆず・・・がんばったね」
「さ、さいちゃん・・・こわかったよぉ」
彩香に声をかけられたゆずは、大和がいなくなったことに安心したのか、大粒の涙を落とした。
「こりゃリハビリ、大変だね」明衣はゆずに聞こえないくらいの声で呟いた。
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