家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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「こんにちは!」
彩香は授業が終わっるとすぐ、今日は初日だからと、明衣、ゆずを待たずに一人で先に下校した。斉藤の家についた彩香は、渡されていた鍵でドアを開け、家の中に入った。
彩香は、盛雄がいるだろう書斎のドアをノックした。するとすぐ「はい、どうぞ」と返事があったので書斎のドアを開けた。
「こんにちは、今日からよろしくお願いします」
彩香は元気よく挨拶した。
「はい、こちらこそお願いしますね。何かわからないことありましたら、遠慮なく聞きに来てください」
「ありがとうございます」そう言って、彩香は書斎から出た。 
「あ、彩香ちゃん待ってたわよ!」
リビングから出てきた和泉が、彩香に声をかけた。
「こんにちは、和泉さん。今日もお仕事ですか?」
「あー、お仕事っていうか、趣味っていうか・・・彩香ちゃん、制服のままお仕事じゃ汚れちゃわない?」
「そうなんですよね。着替え持ってこようか少し迷いましたけど、今日は試しにこのままやってみようかなって」
「そうなの!なら丁度よかった。彩香ちゃんのために、お仕事用の服持ってきたんだ」
「え?ほんとですか?」
思ってもいなかったことに彩香は驚いた。
「ええ。と言っても私が使ってたのを少し手直しして持ってきただけなんだけどね。制服よりもう動きやすいと思うから、使ってみてよ」
と和泉は彩香の前に紙袋を差し出した。
「ありがとうございます」と彩香は笑顔で紙袋を受け取り「じゃあ、せっかくなので使わせてもらいますね。どこで着替えようかな?」
「2階の奥の部屋、鍵がかかるから、そこ着替えに使うといいわよ」
和泉に案内されて、鍵付きの部屋へむかった。
「よくご存知ですね。鍵かかる部屋があるなんて」
「私も時々使わせてもらってるのよ」
何に使っているんだろうと思いつつ、彩香は、渡された紙袋を持ってその部屋に入った。
「廊下で待ってるから、着替えたら出てきてね」
「はい」
待ってもらうほどのものだろうかと思いつつも、彩香は言われるまま部屋に入り鍵をかけた。

しばらくして・・・
ドア越しに彩香の声がした。
「あ、あの・・・和泉さん。私、これで働くんですか?」
「どう、サイズ大丈夫でしょ?」
「は、はい。それは大丈夫なんですけど・・・」
「じゃあ、開けてよ。ちゃんと着られたか確認しなきゃだし」
「は、はあ・・・」
彩香は、鍵を開け、そおっとドアを開けた。
「私の思った通り、彩香ちゃんバッチリ似合ってるわよ!」
「あ、あの・・・これ・・・かなり恥ずかしいんですけど・・」
「いいじゃない。とってもかわいいわよ!」
出てきた彩香は、白いフリルのついた黒のメイド服を着ていた。
「あの・・・このカチューシャも・・・」
「私、つけるわね」
和泉は彩香の手からカチューシャを受け取り、彩香の髪の毛につけた。
「うん、バッチリね。サイズも・・・ぴったりでしょ!髪も長かったから、カチューシャあったほうがまとまっていいかなって思ったんだけど、やっぱり正解ね」
和泉は少し後ろに下がって、彩香のメイド姿を見ながら、嬉しそうに頷いた。
「はい。サイズ、ぴったりです・・・どうして私のサイズ、わかったんですか?」
どう見ても手作りのメイド服が、自分にぴったり合っていることを不思議に思った彩香は、和泉に尋ねた。
「昨日、一回りしてもらったでしょ」
「はい。たしかに・・・」
「私ね、女の子サイズ、見ただけでわかっちゃうんだ!」
「え?ほんとですか?」
「うん。彩香ちゃんはぁ・・・上から84-58―85Cカップ。どう?大体あってるでしょ?」
「大体どころか・・・ぴったり合ってます」彩香はびっくりしながらも、恥ずかしそうに自分の体を抱きしめた。
「うふふ。その顔見るの好き!」
和泉は、彩香の驚いた顔を満足げに見つめていた。
「ねえ彩香ちゃん、『にゃんパラ』って知ってる?」
「いえ・・」
「そっか・・・あのね、猫耳の女の子とメイドさんがメインの4コマ漫画なんだけど、そのメイドさん、彩香ちゃんに似てるのよ。性格は違うっぽいけど。それでね、私の持ってたメイド服を彩香ちゃんのサイズに調整してみたんだ。思った通り、彩香ちゃん、彩奈そっくり」
「そ、そうなんですか?」
和泉は持っていたスマホを操作して、にゃんパラの彩奈の画像を表示させた。
「ほら!髪の長さとか、全体の雰囲気とか、彩香ちゃんそっくりでしょ?」
彩香は、姿見に映った自分と画像を見比べてみた。
「言われてみると似てますね。・・・なんか不思議」
「ほんとよね。作者『ヒンシノ』っていう人なんだけど、彩香ちゃんのこと見たことあるのかしら?」
「漫画家さんの知り合いなんて、私、いませんよ」
「だよねぇ。でもさ、これで彩香ちゃんがメイド服似合うってことわかっでしょ!さあ、がんばってお仕事しよう‼︎」
どんなこじつけ、と思いながらも彩香は言われるまま、今日の仕事を始めた。
 
最初は気になってチラチラと鏡に映る自分を見ていた彩香だったが、しばらくすると仕事に夢中になり、着心地が良かったのもあって、メイド服のことはすっかり忘れてしまっていた。
「彩香くん、お茶、お願いできませんか?」
「はい!すぐお持ちします!」
盛雄の呼びかけに、彩香は掃除を中断して、お茶を用意した。
「失礼します」
ノックして書斎に入った彩香は、壁一面の本棚に圧倒された。
「先生、お待たせしました。すごい量の本ですね」
「そうですか。自分で読んだものや資料として集めたものを並べていったらいつのまにかこんなになっていました・・・彩香くん、今日は随分と可愛らしい服を着ているんですね」
原稿用紙から顔を上げた盛雄は、彩香の様子に気づいて言った。
彩香は真っ赤になって「和泉さんに渡されて、その・・・」
「いや、これはいいものを見せてもらいました!これからもその服装で家事して下さるんですか?」
「・・・その方がいいですか?」
彩香は少し恥ずかしそうに尋ねた。
「はい、ぜひ!彩香くんにとっても似合っていますし。男二人のむさ苦しい家に可憐な花が咲いたようです」
盛雄は彩香を見てニコニコしていると、和泉が書斎に入ってきた。
「あー、先生!彩香ちゃんにセクハラですか?ダメですよ!」
「・・・コホン。綺麗なものを綺麗というのがセクハラなら、世の中セクハラだらけになってしまいますな」
盛雄は自分は悪くないとでも言うように、指でメガネを押さえた。
「あはは。まあ、先生もああ言ってることだし、ね、彩香ちゃん。これからもこのメイド服で働いてね!」
「は、はい・・・」もうどうにでもなれという感じで諦めた彩香だった。
 
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