彼女に浮気された俺がミステリアスな美貌の同期と××したら溺愛沼から逃げられなくなりました

藜-LAI-

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19.①

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 昼過ぎまでたっぷり眠って、朝風呂ならぬ昼風呂を堪能すると、ようやく母屋に移動して遅めの昼食を取り、遊んでくれとせがむチビたち相手にゲームをして過ごした。
 そして夕方を過ぎるとまたどんちゃん騒ぎの宴会になって酒を飲み、それでも初詣に行きたいからと、飲む量はセーブする。
 チビたちが代わる代わる風呂に入ると、テレビの特番を見ながら早めの年越しそばを食べ、一緒に枕投げをしたりして腹ごなしも済ませた。
 日付が変わる頃に席を立つと、あれだけ一緒に行くと騒いでたチビたちもその時にはもう爆睡して夢の中なのが、なんとも子どもらしくて微笑ましかった。
「よし、じゃあそろそろ行くか」
「夜中に初詣行くの初めてだ」
「そうなの?」
「うん」
 話をしながら玄関に向かい、夜は一層冷え込むとか言いながらダウンジャケットを羽織ると、ブーツを履いて家を出る。
 一番近くの神社は、実家から歩いて十五分くらいだろうか。その道のりで白い息を吐きながら、また雪が降って来そうだと貴臣が楽しそうに言う。
「そういえば、もっと積もるって諒太さんが言ってた」
「この辺はまだマシだけど、それでも1メートルとかザラにあるからな」
「想像つかないな……」
「今度雪の時に来る? 実家じゃなくても温泉とか」
「雪景色を見て入る温泉か。良いね」
 しばらく歩くと、チラホラと同じように初詣に向かう人影が増えてきて、それまでさりげなく繋いでいた手をそっと離す。
 だけど貴臣は怒った様子もなく、ニコッと笑って厄介ごとを自ら背負わなくて良いと呟いて俺の肩を叩いた。
 男同士で付き合うことが、そんなに悪いことなのか俺には判断がつかないけど、でも実際、貴臣に好きだと言われてなければ、こいつを好きにならなければ偏見の方が強かったかも知れない。
 漠然といつかは誰かと結婚して子どもが出来て親になるって思ってたし、それが当たり前の幸せだと信じて疑うこともなかった。
「結構人が多いね」
「な。夜中に来る人意外と多いんだな」
 参道を抜けて階段を登り、他の参拝客に紛れて列を進むと、小銭入れから賽銭を取り出して、財布を忘れたらしい貴臣にも賽銭を渡す。
「なにをお願いするの」
「健康とか仕事のことかな」
「意外と普通だね」
「そういう貴臣はなにを願うんだよ」
「健康とか?」
「捻れよ」
「あはは」
 順番が来て賽銭箱に小銭を投げ入れると、手を合わせて短く願う。出来ることなら、貴臣とずっとこんな風に過ごせますようにって。
 目を開けてチラッと隣を見ると、貴臣が真剣にお祈りしてる姿が見える。それがとても凛として見えて、貴臣と付き合えて良かったなと不意に思った。
 そして参拝を終えて列を外れると、甘酒が振舞われているのでありがたく頂戴し、境内の生垣に腰を下ろしてゆっくりと味わう。
「甘酒って初めて飲んだよ」
「今日は初体験満載だな」
「本当に。初めて尽くしだよ」
「おみくじ引くか?」
「良いね」
 飲み終わった紙コップを用意されたゴミ箱に捨てると、社務所でおみくじを買い、それぞれの番号のくじを受け取ってタイミングを合わせて同時に開く。
「やった。大吉だ」
「おお、俺も大吉だった」
 お互いのおみくじを見せ合って、同じ大吉でも買いてあることが全然違うことに驚きつつ、ついでに破魔矢と熊手、お守りを買って初詣を終えることにした。
「それにしても、なんか気が抜けたのか頭がクラクラしてきた」
「今日も飲んだからね」
「俺も酒は弱くないはずなんだけど、うちの家族は底なしなんだよな」
「あはは。でも確かに、顔が赤くなったりもしないもんね」
「だろ? あいつらバケモンだよ」
 くだらない話をして来た道を引き返し、実家までの道のりをのんびり歩くと、随分冷え込んできたのか、強烈な寒気に襲われて身震いが止まらなくなる。
「やべえ、めちゃくちゃ寒い」
「え、大丈夫?」
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