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18.② 貴臣視点
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「それはないんじゃないかな」
「なんで言い切れるんだよ」
「諒太さんのこと、今まで一度だって疑ったことないだろ」
「ああ、そう言われればそうだな」
「……普通はあり得ないことだから、そんなこと考えもしないと思うよ」
言うつもりはなかったのに、ちょっと卑屈な言い方になってしまう。だけど『普通』なら、そんな考えには及ばない。それが世間の当たり前だ。
「あり得ないことじゃないよ。俺たちはちゃんと好き同士だし、普通の恋人だろ。誰かに隠さなきゃいけない関係なんかじゃないぞ」
「いや、それは建前だろ」
「そうか? 俺は家族になら報告して良いんじゃないかって思ってるよ」
圭吾はやっぱり、なんでもないことみたいに言ってのける。それに強烈な憧れと劣等感を刺激されてしまう。
「報告? バカなことはやめなよ。二度と実家の敷居を跨げなくなったらどうするの」
「そうはならないだろ。諒太にいがどうして家族に打ち明けられないのか、自分のことを隠してるのか知らないけど、俺は貴臣のことを好きなことが恥ずかしいなんて思ってない」
「だからそれは詭弁だよ」
「詭弁だろうが屁理屈だろうが、俺はお前と別れる気もないし、来年だって再来年だって、いつだって一緒にここに来てワイワイ騒ぎたいの」
「圭吾……」
みんながそう出来れば、世の中はもっと住みやすいだろう。
俺の家族だって、俺を取り巻いていた環境だってもっと違うものだったかも知れない。だけど現実はそうじゃない。もっとシビアで怖いものだ。
「まあ、お前が言いたくないのも分からなくない。俺も家族相手だからって、ちょっと想像力が欠如してたかも」
「そうだよ。軽々しく言って良いことじゃない」
「……難しいんだな」
「そうだね」
そのまま二人で布団に横になると、どちらからと言わずにキスをして抱き締め合う。
「好きってだけなのに、複雑だな」
「俺がどうして、今まで誰にもなにも言えずに来たか、少しは理解してくれる?」
「なんとなくだけどな。俺だって、お前が会社で冗談みたいに絡んできたの、全力で止めさせたし」
「ふふ。思い出した?」
「いざ付き合ったら、大したことじゃない気がしてたけど、俺にも偏見があったんだな」
「ない方が珍しいんじゃないかな」
寝転ぶ圭吾に馬乗りになって覆い被さると、するりと伸びてきた手がシャツを捲って緩やかに肌を撫でる。
「でも俺はお前が好きだし、愛してるよ」
「圭吾……」
「だから今夜もめちゃくちゃ抱く」
「なんだよそれ」
可笑しくなって肩を揺らすと、グッと抱き寄せられて優しい腕の中に閉じ込められる。
「お前がどんな苦労をして来たのか、俺にはやっぱり想像も出来ないけど、これから先が幸せ過ぎて腹一杯ってなるようにしていくから」
「本当に?」
「俺は別に流された訳でも、生半可な気持ちでお前を選んだ訳でもないから」
「そっか。ありがとう」
呟くように答えて唇を重ねると、啄むように繰り返されるキスは、いつの間にか深く甘くなっていく。
舌を絡めてお互いを貪るようなキスを繰り返し、混ざり合った唾液を呼吸の間に嚥下する。
緩やかに離れる唇が銀糸を引いて、淫靡な空気が立ち込めると、圭吾は明かりを消した部屋の中で激しく俺を抱いた。
「なんで言い切れるんだよ」
「諒太さんのこと、今まで一度だって疑ったことないだろ」
「ああ、そう言われればそうだな」
「……普通はあり得ないことだから、そんなこと考えもしないと思うよ」
言うつもりはなかったのに、ちょっと卑屈な言い方になってしまう。だけど『普通』なら、そんな考えには及ばない。それが世間の当たり前だ。
「あり得ないことじゃないよ。俺たちはちゃんと好き同士だし、普通の恋人だろ。誰かに隠さなきゃいけない関係なんかじゃないぞ」
「いや、それは建前だろ」
「そうか? 俺は家族になら報告して良いんじゃないかって思ってるよ」
圭吾はやっぱり、なんでもないことみたいに言ってのける。それに強烈な憧れと劣等感を刺激されてしまう。
「報告? バカなことはやめなよ。二度と実家の敷居を跨げなくなったらどうするの」
「そうはならないだろ。諒太にいがどうして家族に打ち明けられないのか、自分のことを隠してるのか知らないけど、俺は貴臣のことを好きなことが恥ずかしいなんて思ってない」
「だからそれは詭弁だよ」
「詭弁だろうが屁理屈だろうが、俺はお前と別れる気もないし、来年だって再来年だって、いつだって一緒にここに来てワイワイ騒ぎたいの」
「圭吾……」
みんながそう出来れば、世の中はもっと住みやすいだろう。
俺の家族だって、俺を取り巻いていた環境だってもっと違うものだったかも知れない。だけど現実はそうじゃない。もっとシビアで怖いものだ。
「まあ、お前が言いたくないのも分からなくない。俺も家族相手だからって、ちょっと想像力が欠如してたかも」
「そうだよ。軽々しく言って良いことじゃない」
「……難しいんだな」
「そうだね」
そのまま二人で布団に横になると、どちらからと言わずにキスをして抱き締め合う。
「好きってだけなのに、複雑だな」
「俺がどうして、今まで誰にもなにも言えずに来たか、少しは理解してくれる?」
「なんとなくだけどな。俺だって、お前が会社で冗談みたいに絡んできたの、全力で止めさせたし」
「ふふ。思い出した?」
「いざ付き合ったら、大したことじゃない気がしてたけど、俺にも偏見があったんだな」
「ない方が珍しいんじゃないかな」
寝転ぶ圭吾に馬乗りになって覆い被さると、するりと伸びてきた手がシャツを捲って緩やかに肌を撫でる。
「でも俺はお前が好きだし、愛してるよ」
「圭吾……」
「だから今夜もめちゃくちゃ抱く」
「なんだよそれ」
可笑しくなって肩を揺らすと、グッと抱き寄せられて優しい腕の中に閉じ込められる。
「お前がどんな苦労をして来たのか、俺にはやっぱり想像も出来ないけど、これから先が幸せ過ぎて腹一杯ってなるようにしていくから」
「本当に?」
「俺は別に流された訳でも、生半可な気持ちでお前を選んだ訳でもないから」
「そっか。ありがとう」
呟くように答えて唇を重ねると、啄むように繰り返されるキスは、いつの間にか深く甘くなっていく。
舌を絡めてお互いを貪るようなキスを繰り返し、混ざり合った唾液を呼吸の間に嚥下する。
緩やかに離れる唇が銀糸を引いて、淫靡な空気が立ち込めると、圭吾は明かりを消した部屋の中で激しく俺を抱いた。
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