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14.①
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仕事納め当日。あと数日で新しい年を迎えるかと思うと、一年経つのはあっという間だ。
今日は午前中に仕事を終わらせて、午後は大掃除に取り掛かり、それが終わったら全社の忘年会がある。
だけど忘年会は別に強制参加ではないので、毎年参加するメンバーはだいたい決まっている気がするし、俺はこう見えても参加しない派だ。
開発企画部でも店舗開発を主に担当する俺と貴臣は、二手に分かれて関東圏の店舗のオーナーに挨拶回りを済ませると、合流して昼飯を食べてから会社に戻った。
「いま戻りました」
管理部門の社員たちは、早くも大掃除を始めているらしく、俺たちのデスク周りでも脚立を使い、キャビネットの天井を拭いたりしてくれている。
「山ちゃん、掃除分担どうなってるか分かる?」
「今年は自分たちのデスク周りと、大会議室だけみたいです」
せっせと掃除する手を動かす山口から説明を受け、誰も行ってないはずだからと言われるまま、掃除道具を持って大会議室に向かう。
「よし。じゃあ俺は前のブロックから掃除していくから、お前は後方頼むわ」
「了解」
貴臣と手分けして掃除を始めると、壁やブラインドといった、普段は簡単に済ませているであろう場所を重点的に掃除していく。
「おう、お前たち帰ってきてたのか」
「お疲れ様です」
後から合流した坂牧さんたちにブラインドなどの掃除を任せると、俺たちは会議テーブルと椅子の足元の埃取りを始める。
そうして十五時を過ぎた頃、だいたい社内のみんなが掃除を終わらせてデスクに戻っていき、俺たちも大会議室の掃除を終わらせて自分のデスクに戻る。
しばらくすると所長から労いの言葉があり、みんなで挨拶をして今年の仕事納めとなった。
「圭吾、お前どうするの」
「飲み会? 行かないけど」
「じゃあ一緒に出よっか」
「おう」
忘年会の話題で周りが賑やかな中、挨拶を済ませて会社を出ると、冷たい風が吹いて思わず身を震わせる。
「寒っ」
「今日ヤバいよね。夜から雨が降るらしいけど、雪になるかもって」
「マジかよ」
首元に巻いたマフラーをしっかりと巻き直すと、貴臣も同じように俺がプレゼントした厚手のストールをしっかりと巻き直している。
「これ、めちゃくちゃあったかい。ありがとね」
「おう。気に入ったんなら良かったよ」
ラッシュよりも早い時間帯の電車に乗り込むと、今日はどうするのかと言われ、帰宅するか迷ってるうちに貴臣の最寄駅に着いたので一緒に降りる。
「年末年始お世話になるし、手土産買わないとね」
「そんなの適当でいいよ。いつから行く? 大晦日って言ったら、もっと早めに来れないのかって母ちゃんには言われてるんだけど」
「そんなに長居して良いの」
「全然。昨日調べてたら新幹線まだ空きあるし、明日以降なら駅までは兄ちゃんが迎えに来れそうだってさ」
「なんか、至れり尽くせりだね」
楽しげに笑う貴臣だが、自分の実家の話は一切しない。
少し気になって尋ねてみたら、別に仲違いしたりしてる訳じゃないらしいけど、ゲイだってことを隠してるので居心地が悪いらしい。
うちの家族じゃ考えられないと思ったけど、実際に俺が貴臣と一緒に居たいと告げたら、どんな反応をされるか分からない。
きっとそんな単純な話じゃないんだろう。
「圭吾? スーパー寄って帰ろうと思うんだけど」
声を掛けられて我に返ると、いつもは遅くて閉まってることが多いスーパーが営業している。
軒先には沢山の野菜が並び、正月に向けたおせち用の食材なんかもセールしているらしい。
「なに。今日は家で作るの」
「大したものは作れないから、鍋になると思うけど」
「良いね。魚にする? それとも肉か」
「それも迷うよね」
「ていうか、お前んち土鍋とかあるの」
「だから鍋も買います」
「なるほどね」
白菜などの野菜をカゴに放り込み鮮魚コーナーに移動すると、鮭と鱈の鍋にしようと決めて、つみれ団子も買うことにする。
ちくわや厚揚げ豆腐もカゴに入れると、かなり具沢山な鍋になりそうだ。
「これなら味噌ベースの鍋が良いかな」
今日は午前中に仕事を終わらせて、午後は大掃除に取り掛かり、それが終わったら全社の忘年会がある。
だけど忘年会は別に強制参加ではないので、毎年参加するメンバーはだいたい決まっている気がするし、俺はこう見えても参加しない派だ。
開発企画部でも店舗開発を主に担当する俺と貴臣は、二手に分かれて関東圏の店舗のオーナーに挨拶回りを済ませると、合流して昼飯を食べてから会社に戻った。
「いま戻りました」
管理部門の社員たちは、早くも大掃除を始めているらしく、俺たちのデスク周りでも脚立を使い、キャビネットの天井を拭いたりしてくれている。
「山ちゃん、掃除分担どうなってるか分かる?」
「今年は自分たちのデスク周りと、大会議室だけみたいです」
せっせと掃除する手を動かす山口から説明を受け、誰も行ってないはずだからと言われるまま、掃除道具を持って大会議室に向かう。
「よし。じゃあ俺は前のブロックから掃除していくから、お前は後方頼むわ」
「了解」
貴臣と手分けして掃除を始めると、壁やブラインドといった、普段は簡単に済ませているであろう場所を重点的に掃除していく。
「おう、お前たち帰ってきてたのか」
「お疲れ様です」
後から合流した坂牧さんたちにブラインドなどの掃除を任せると、俺たちは会議テーブルと椅子の足元の埃取りを始める。
そうして十五時を過ぎた頃、だいたい社内のみんなが掃除を終わらせてデスクに戻っていき、俺たちも大会議室の掃除を終わらせて自分のデスクに戻る。
しばらくすると所長から労いの言葉があり、みんなで挨拶をして今年の仕事納めとなった。
「圭吾、お前どうするの」
「飲み会? 行かないけど」
「じゃあ一緒に出よっか」
「おう」
忘年会の話題で周りが賑やかな中、挨拶を済ませて会社を出ると、冷たい風が吹いて思わず身を震わせる。
「寒っ」
「今日ヤバいよね。夜から雨が降るらしいけど、雪になるかもって」
「マジかよ」
首元に巻いたマフラーをしっかりと巻き直すと、貴臣も同じように俺がプレゼントした厚手のストールをしっかりと巻き直している。
「これ、めちゃくちゃあったかい。ありがとね」
「おう。気に入ったんなら良かったよ」
ラッシュよりも早い時間帯の電車に乗り込むと、今日はどうするのかと言われ、帰宅するか迷ってるうちに貴臣の最寄駅に着いたので一緒に降りる。
「年末年始お世話になるし、手土産買わないとね」
「そんなの適当でいいよ。いつから行く? 大晦日って言ったら、もっと早めに来れないのかって母ちゃんには言われてるんだけど」
「そんなに長居して良いの」
「全然。昨日調べてたら新幹線まだ空きあるし、明日以降なら駅までは兄ちゃんが迎えに来れそうだってさ」
「なんか、至れり尽くせりだね」
楽しげに笑う貴臣だが、自分の実家の話は一切しない。
少し気になって尋ねてみたら、別に仲違いしたりしてる訳じゃないらしいけど、ゲイだってことを隠してるので居心地が悪いらしい。
うちの家族じゃ考えられないと思ったけど、実際に俺が貴臣と一緒に居たいと告げたら、どんな反応をされるか分からない。
きっとそんな単純な話じゃないんだろう。
「圭吾? スーパー寄って帰ろうと思うんだけど」
声を掛けられて我に返ると、いつもは遅くて閉まってることが多いスーパーが営業している。
軒先には沢山の野菜が並び、正月に向けたおせち用の食材なんかもセールしているらしい。
「なに。今日は家で作るの」
「大したものは作れないから、鍋になると思うけど」
「良いね。魚にする? それとも肉か」
「それも迷うよね」
「ていうか、お前んち土鍋とかあるの」
「だから鍋も買います」
「なるほどね」
白菜などの野菜をカゴに放り込み鮮魚コーナーに移動すると、鮭と鱈の鍋にしようと決めて、つみれ団子も買うことにする。
ちくわや厚揚げ豆腐もカゴに入れると、かなり具沢山な鍋になりそうだ。
「これなら味噌ベースの鍋が良いかな」
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