彼女に浮気された俺がミステリアスな美貌の同期と××したら溺愛沼から逃げられなくなりました

藜-LAI-

文字の大きさ
上 下
31 / 66

14.①

しおりを挟む
 仕事納め当日。あと数日で新しい年を迎えるかと思うと、一年経つのはあっという間だ。
 今日は午前中に仕事を終わらせて、午後は大掃除に取り掛かり、それが終わったら全社の忘年会がある。
 だけど忘年会は別に強制参加ではないので、毎年参加するメンバーはだいたい決まっている気がするし、俺はこう見えても参加しない派だ。
 開発企画部でも店舗開発を主に担当する俺と貴臣は、二手に分かれて関東圏の店舗のオーナーに挨拶回りを済ませると、合流して昼飯を食べてから会社に戻った。
「いま戻りました」
 管理部門の社員たちは、早くも大掃除を始めているらしく、俺たちのデスク周りでも脚立を使い、キャビネットの天井を拭いたりしてくれている。
「山ちゃん、掃除分担どうなってるか分かる?」
「今年は自分たちのデスク周りと、大会議室だけみたいです」
 せっせと掃除する手を動かす山口から説明を受け、誰も行ってないはずだからと言われるまま、掃除道具を持って大会議室に向かう。
「よし。じゃあ俺は前のブロックから掃除していくから、お前は後方頼むわ」
「了解」
 貴臣と手分けして掃除を始めると、壁やブラインドといった、普段は簡単に済ませているであろう場所を重点的に掃除していく。
「おう、お前たち帰ってきてたのか」
「お疲れ様です」
 後から合流した坂牧さんたちにブラインドなどの掃除を任せると、俺たちは会議テーブルと椅子の足元の埃取りを始める。
 そうして十五時を過ぎた頃、だいたい社内のみんなが掃除を終わらせてデスクに戻っていき、俺たちも大会議室の掃除を終わらせて自分のデスクに戻る。
 しばらくすると所長から労いの言葉があり、みんなで挨拶をして今年の仕事納めとなった。
「圭吾、お前どうするの」
「飲み会? 行かないけど」
「じゃあ一緒に出よっか」
「おう」
 忘年会の話題で周りが賑やかな中、挨拶を済ませて会社を出ると、冷たい風が吹いて思わず身を震わせる。
「寒っ」
「今日ヤバいよね。夜から雨が降るらしいけど、雪になるかもって」
「マジかよ」
 首元に巻いたマフラーをしっかりと巻き直すと、貴臣も同じように俺がプレゼントした厚手のストールをしっかりと巻き直している。
「これ、めちゃくちゃあったかい。ありがとね」
「おう。気に入ったんなら良かったよ」
 ラッシュよりも早い時間帯の電車に乗り込むと、今日はどうするのかと言われ、帰宅するか迷ってるうちに貴臣の最寄駅に着いたので一緒に降りる。
「年末年始お世話になるし、手土産買わないとね」
「そんなの適当でいいよ。いつから行く? 大晦日って言ったら、もっと早めに来れないのかって母ちゃんには言われてるんだけど」
「そんなに長居して良いの」
「全然。昨日調べてたら新幹線まだ空きあるし、明日以降なら駅までは兄ちゃんが迎えに来れそうだってさ」
「なんか、至れり尽くせりだね」
 楽しげに笑う貴臣だが、自分の実家の話は一切しない。
 少し気になって尋ねてみたら、別に仲違いしたりしてる訳じゃないらしいけど、ゲイだってことを隠してるので居心地が悪いらしい。
 うちの家族じゃ考えられないと思ったけど、実際に俺が貴臣と一緒に居たいと告げたら、どんな反応をされるか分からない。
 きっとそんな単純な話じゃないんだろう。
「圭吾? スーパー寄って帰ろうと思うんだけど」
 声を掛けられて我に返ると、いつもは遅くて閉まってることが多いスーパーが営業している。
 軒先には沢山の野菜が並び、正月に向けたおせち用の食材なんかもセールしているらしい。
「なに。今日は家で作るの」
「大したものは作れないから、鍋になると思うけど」
「良いね。魚にする? それとも肉か」
「それも迷うよね」
「ていうか、お前んち土鍋とかあるの」
「だから鍋も買います」
「なるほどね」
 白菜などの野菜をカゴに放り込み鮮魚コーナーに移動すると、鮭と鱈の鍋にしようと決めて、つみれ団子も買うことにする。
 ちくわや厚揚げ豆腐もカゴに入れると、かなり具沢山な鍋になりそうだ。
「これなら味噌ベースの鍋が良いかな」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

有能社長秘書のマンションでテレワークすることになった平社員の俺

高菜あやめ
BL
【マイペース美形社長秘書×平凡新人営業マン】会社の方針で社員全員リモートワークを義務付けられたが、中途入社二年目の営業・野宮は困っていた。なぜならアパートのインターネットは遅すぎて仕事にならないから。なんとか出社を許可して欲しいと上司に直談判したら、社長の呼び出しをくらってしまい、なりゆきで社長秘書・入江のマンションに居候することに。少し冷たそうでマイペースな入江と、ちょっとビビりな野宮はうまく同居できるだろうか? のんびりほのぼのテレワークしてるリーマンのラブコメディです

親衛隊は、推しから『選ばれる』までは推しに自分の気持ちを伝えてはいけないルール

雨宮里玖
BL
エリート高校の親衛隊プラスα×平凡無自覚総受け 《あらすじ》 4月。平凡な吉良は、楯山に告白している川上の姿を偶然目撃してしまった。遠目だが二人はイイ感じに見えて告白は成功したようだった。 そのことで、吉良は二年間ずっと学生寮の同室者だった楯山に自分が特別な感情を抱いていたのではないかと思い——。 平凡無自覚な受けの総愛され全寮制学園ライフの物語。

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

処理中です...