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12.②
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「揚げ出し豆腐と牛すじ煮込み、あと肉じゃがかな。とりあえずそれでお願いします」
お通しの小鉢をつつきながら、すぐに運ばれてきた生ビールで乾杯すると、意識しなくても話題は山口のことになる。
「山ちゃん、夜の分の薬飲めたかな」
「どうだろうね。ぐっすり眠れてれば良いけど。一応要りそうなものを買って置いてきたし、でも氷枕だけは、本人が起きないと使えないよね」
「後でまた見に行くべきか」
「でも鍵はポストに放り込んじゃったよ」
「そうは言うけど一人暮らしだろ。気になるんだよね」
「そこまで言うなら様子見に行こうか」
「うん。メッセージ送っとくわ」
それから頼んだ料理が次々と運ばれてくると、年末年始に俺の実家に顔を出す話になる。
「そういえば、リフレッシュ休暇って使う予定?」
「そっか。今年の分使ってなかったわ」
「だろ。ちょっと多めに休みたいよな」
「それより本当に圭吾の実家に俺も一緒に行くの」
「母ちゃん張り切ってるよ。イケメンだって宣伝しといた」
「宣伝って」
「だってお前実家に帰らないなら、年末年始一人になっちゃうじゃん。そんなの寂しいだろ」
「別に。毎年のことだよ」
「今年は俺が居るんだから、違うだろ」
俺がそう答えると、貴臣は一瞬目を見開いて驚きつつも、次の瞬間にはパッと花が咲くみたいに笑顔になった。
付き合ってる恋人が一人きりで年越しだなて、そんなのは放って置けない。
二人で温泉とかに行ってしっぽり過ごしても良かったかも知れないけど、もう帰省すると連絡してしまった。
今年も正月しか帰省してないので、実家に帰らないという選択肢が俺にはなく、貴臣を巻き込んだ形なのは認めざるを得ない。
「気ぃ遣うなら、大晦日だけ泊まって初詣済ませたら帰ってくれば良いし」
「それはご実家もバタバタするでしょ」
「大丈夫だろ。兄ちゃんと姉ちゃんたちの家族も来るし、連泊する方が大変だろうから」
そう言ってから、甥っ子や姪っ子たちへのお年玉を用意しなくてはと、お正月の思い出についてに話題が変わる。
「お年玉といえば、貴臣はちゃんと使わずに貯めてたタイプっぽいよな」
「圭吾は一月中に使い切ってそう」
「なぜ分かる」
「事実かよ」
たわいない話をして料理を食べ切ると、店を出た足で山口の家に向かい、電話とインターホンでなんとかドアを開けさせて部屋に入った。
案の定、身動き取れずに寝込んでいた山口に、昼間買っておいたお粥を食べさせて薬を飲ませ、額の冷却シートを取り替えて、氷枕を敷いて寝かせてやった。
熱が下がるまで様子が気になるが、俺たちまでインフルエンザになってしまっては元も子もないので、しばらく部屋の換気をしてから帰ることにした。
山口の枕元にスポーツドリンクを置き、一言声を掛けると、起き上がって礼を言おうとするのを止めて寝かしつける。
そして昼間と同様に戸締りしてから、鍵をポストに放り込んでようやく帰路に着く。
「治ったらご飯奢らせよう」
「お前は優しいのか鬼畜なのかどっちなんだよ」
「はは。これで万が一、うつってたらヤバいよな」
「笑い事じゃないけどね」
「帰ってうがいしとけば、なんとかなるだろ」
終電ギリギリの電車に乗り込み、そんな話をしながら貴臣の家に向かう。
飲み足りないからと、駅前のコンビニでビールやツマミ、翌日の朝用にパンやおにぎりを買い込んで大荷物を持って帰宅した。
お通しの小鉢をつつきながら、すぐに運ばれてきた生ビールで乾杯すると、意識しなくても話題は山口のことになる。
「山ちゃん、夜の分の薬飲めたかな」
「どうだろうね。ぐっすり眠れてれば良いけど。一応要りそうなものを買って置いてきたし、でも氷枕だけは、本人が起きないと使えないよね」
「後でまた見に行くべきか」
「でも鍵はポストに放り込んじゃったよ」
「そうは言うけど一人暮らしだろ。気になるんだよね」
「そこまで言うなら様子見に行こうか」
「うん。メッセージ送っとくわ」
それから頼んだ料理が次々と運ばれてくると、年末年始に俺の実家に顔を出す話になる。
「そういえば、リフレッシュ休暇って使う予定?」
「そっか。今年の分使ってなかったわ」
「だろ。ちょっと多めに休みたいよな」
「それより本当に圭吾の実家に俺も一緒に行くの」
「母ちゃん張り切ってるよ。イケメンだって宣伝しといた」
「宣伝って」
「だってお前実家に帰らないなら、年末年始一人になっちゃうじゃん。そんなの寂しいだろ」
「別に。毎年のことだよ」
「今年は俺が居るんだから、違うだろ」
俺がそう答えると、貴臣は一瞬目を見開いて驚きつつも、次の瞬間にはパッと花が咲くみたいに笑顔になった。
付き合ってる恋人が一人きりで年越しだなて、そんなのは放って置けない。
二人で温泉とかに行ってしっぽり過ごしても良かったかも知れないけど、もう帰省すると連絡してしまった。
今年も正月しか帰省してないので、実家に帰らないという選択肢が俺にはなく、貴臣を巻き込んだ形なのは認めざるを得ない。
「気ぃ遣うなら、大晦日だけ泊まって初詣済ませたら帰ってくれば良いし」
「それはご実家もバタバタするでしょ」
「大丈夫だろ。兄ちゃんと姉ちゃんたちの家族も来るし、連泊する方が大変だろうから」
そう言ってから、甥っ子や姪っ子たちへのお年玉を用意しなくてはと、お正月の思い出についてに話題が変わる。
「お年玉といえば、貴臣はちゃんと使わずに貯めてたタイプっぽいよな」
「圭吾は一月中に使い切ってそう」
「なぜ分かる」
「事実かよ」
たわいない話をして料理を食べ切ると、店を出た足で山口の家に向かい、電話とインターホンでなんとかドアを開けさせて部屋に入った。
案の定、身動き取れずに寝込んでいた山口に、昼間買っておいたお粥を食べさせて薬を飲ませ、額の冷却シートを取り替えて、氷枕を敷いて寝かせてやった。
熱が下がるまで様子が気になるが、俺たちまでインフルエンザになってしまっては元も子もないので、しばらく部屋の換気をしてから帰ることにした。
山口の枕元にスポーツドリンクを置き、一言声を掛けると、起き上がって礼を言おうとするのを止めて寝かしつける。
そして昼間と同様に戸締りしてから、鍵をポストに放り込んでようやく帰路に着く。
「治ったらご飯奢らせよう」
「お前は優しいのか鬼畜なのかどっちなんだよ」
「はは。これで万が一、うつってたらヤバいよな」
「笑い事じゃないけどね」
「帰ってうがいしとけば、なんとかなるだろ」
終電ギリギリの電車に乗り込み、そんな話をしながら貴臣の家に向かう。
飲み足りないからと、駅前のコンビニでビールやツマミ、翌日の朝用にパンやおにぎりを買い込んで大荷物を持って帰宅した。
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