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10.①
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カーテンの隙間から指し込む光で目が覚めると、俺の腕枕で爆睡する貴臣が目に入り、なんだか奇妙な気分になる。
そもそも貴臣は俺よりデカいし、こんな風に腕の中に居るのは不思議な感じだ。
「やべえ、腕の痺れが半端ねえ」
指に力を入れてにぎにぎしてみるものの、腕枕してる方の手は感覚がほとんどない。
そんな風に遊んでいたからか、小さく呻くような声が聞こえて、貴臣を起こしたかとハッとすると、案の定目を覚ましてしまったらしい貴臣と目が合う。
「ん、圭吾ぉ?」
「おはよ。もっと寝てて良いぞ」
「んぅー、そだね……」
「ちょっと腕枕外すぞ」
一言断って感覚が薄い腕を引き抜くと、ようやく血が通う感覚が戻ってきてジリジリと痺れが走り始める。
まだまだ眠たそうな貴臣にキスをしてベッドから出ると、床に散らばった服を回収して着込み、洗面所に向かって手や顔を洗い、寝癖で跳ねまくる髪の毛を整えた。
そしてキッチンに向かうと、なにか食べられるものがないか冷蔵庫やストッカーを勝手に漁る。
すぐに食べられそうなものはシリアルくらいしかなく、朝ごはんをしっかり食べる俺にとっては少々心許ない。
仕方がないので寝室に戻ってスマホを手に取ると、デリバリーのアプリを開いて届け先を現在地に更新し、何を頼もうかと画面を操作する。
「つか、もうこんな時間なのかよ」
十二時前になっていることにようやく気が付いて、そりゃ腹も減るはずだとお腹をさする。
適当にファストフードのメニューを選んで多めに頼み、到着するまでテレビをつけてゲームをしながら時間を潰すことにした。
しばらくしてインターホンが鳴ると、商品を受け取ってから寝室に向かう。
「貴臣、飯食わね?」
「んうー」
「どっちだよ」
「食べる。なに? なんか良い匂いするね」
「デリバリー頼んだ。早く起きないと冷めるぞ」
「分かった……起きる。起きるよ」
放っておいてもそろそろ起きてくるだろうし、リビングに戻り、ソファーに座って紙袋を開けてハンバーガーやポテトを取り出す。
「いただきます」
一人で手を合わせて先に食べ始めると、一つ目のハンバーガーを食べ終える頃になってようやく貴臣が起きてきた。
「おはよぉ、圭吾」
「体大丈夫か」
「んー平気。顔洗ってくるわ」
まだ色気がダダ漏れな気がするけど、寝惚けているようなので仕方ない。
洗面所から寒いとか冷たいと騒ぐ声が聞こえてくるが、ようやく目がしっかり覚めたんだろう。
ポテトを口に放り込んでサイダーを飲むと、二つ目のハンバーガーの包みを開けてかぶりつく。
「もう十三時前なんだね」
「ごめんな。もっと寝かせといた方が良かったんだろうけど、一人で食うのもアレかなと思って」
「いいよ、ありがとう」
貴臣はさりげなく俺の頬にキスをすると、紙袋に手を突っ込んでハンバーガーやポテトを取り出す。
「俺の好きなヤツじゃん」
「いつもそれ食ってるもんな」
「いただきます」
満足そうに頷いて手を合わせると、少し冷めてしまったハンバーガーをかじってポテトを口に放り込む。
「今日どうする」
「え、どこか出掛ける?」
「出掛けるなら一回着替えに帰るけど」
「俺は別に、このまま家でダラダラしてても良いよ」
「ならダラダラ過ごすか」
二つ目のハンバーガーを食べ終えて、残りのポテトを食べ切ってしまうと、フライドチキンを取り出してお腹を満たす。
「圭吾って本当に細い割にめちゃくちゃ食べるよね」
「それな。この前、野島さんにも言われたわ」
「なに。野島さんとご飯行ったの」
「お前が予定あるって先に帰った時だよ。会社の近くにめちゃくちゃ美味い中華屋があってさ。そこに連れてってもらった」
「マジか。俺も行きたかった」
貴臣はそう答えながらストローでコーラを啜り、ズズッと音を立てる。
「試飲会手伝えって言われてるし、手伝ったらまた奢ってくれるんじゃないかな」
「ああ、試飲会ね。俺はトラウマだよ」
「そっか。マダムに絡まれたことあったな」
「俺はワインの知識が弱いからね。あの時は大変だった」
そもそも貴臣は俺よりデカいし、こんな風に腕の中に居るのは不思議な感じだ。
「やべえ、腕の痺れが半端ねえ」
指に力を入れてにぎにぎしてみるものの、腕枕してる方の手は感覚がほとんどない。
そんな風に遊んでいたからか、小さく呻くような声が聞こえて、貴臣を起こしたかとハッとすると、案の定目を覚ましてしまったらしい貴臣と目が合う。
「ん、圭吾ぉ?」
「おはよ。もっと寝てて良いぞ」
「んぅー、そだね……」
「ちょっと腕枕外すぞ」
一言断って感覚が薄い腕を引き抜くと、ようやく血が通う感覚が戻ってきてジリジリと痺れが走り始める。
まだまだ眠たそうな貴臣にキスをしてベッドから出ると、床に散らばった服を回収して着込み、洗面所に向かって手や顔を洗い、寝癖で跳ねまくる髪の毛を整えた。
そしてキッチンに向かうと、なにか食べられるものがないか冷蔵庫やストッカーを勝手に漁る。
すぐに食べられそうなものはシリアルくらいしかなく、朝ごはんをしっかり食べる俺にとっては少々心許ない。
仕方がないので寝室に戻ってスマホを手に取ると、デリバリーのアプリを開いて届け先を現在地に更新し、何を頼もうかと画面を操作する。
「つか、もうこんな時間なのかよ」
十二時前になっていることにようやく気が付いて、そりゃ腹も減るはずだとお腹をさする。
適当にファストフードのメニューを選んで多めに頼み、到着するまでテレビをつけてゲームをしながら時間を潰すことにした。
しばらくしてインターホンが鳴ると、商品を受け取ってから寝室に向かう。
「貴臣、飯食わね?」
「んうー」
「どっちだよ」
「食べる。なに? なんか良い匂いするね」
「デリバリー頼んだ。早く起きないと冷めるぞ」
「分かった……起きる。起きるよ」
放っておいてもそろそろ起きてくるだろうし、リビングに戻り、ソファーに座って紙袋を開けてハンバーガーやポテトを取り出す。
「いただきます」
一人で手を合わせて先に食べ始めると、一つ目のハンバーガーを食べ終える頃になってようやく貴臣が起きてきた。
「おはよぉ、圭吾」
「体大丈夫か」
「んー平気。顔洗ってくるわ」
まだ色気がダダ漏れな気がするけど、寝惚けているようなので仕方ない。
洗面所から寒いとか冷たいと騒ぐ声が聞こえてくるが、ようやく目がしっかり覚めたんだろう。
ポテトを口に放り込んでサイダーを飲むと、二つ目のハンバーガーの包みを開けてかぶりつく。
「もう十三時前なんだね」
「ごめんな。もっと寝かせといた方が良かったんだろうけど、一人で食うのもアレかなと思って」
「いいよ、ありがとう」
貴臣はさりげなく俺の頬にキスをすると、紙袋に手を突っ込んでハンバーガーやポテトを取り出す。
「俺の好きなヤツじゃん」
「いつもそれ食ってるもんな」
「いただきます」
満足そうに頷いて手を合わせると、少し冷めてしまったハンバーガーをかじってポテトを口に放り込む。
「今日どうする」
「え、どこか出掛ける?」
「出掛けるなら一回着替えに帰るけど」
「俺は別に、このまま家でダラダラしてても良いよ」
「ならダラダラ過ごすか」
二つ目のハンバーガーを食べ終えて、残りのポテトを食べ切ってしまうと、フライドチキンを取り出してお腹を満たす。
「圭吾って本当に細い割にめちゃくちゃ食べるよね」
「それな。この前、野島さんにも言われたわ」
「なに。野島さんとご飯行ったの」
「お前が予定あるって先に帰った時だよ。会社の近くにめちゃくちゃ美味い中華屋があってさ。そこに連れてってもらった」
「マジか。俺も行きたかった」
貴臣はそう答えながらストローでコーラを啜り、ズズッと音を立てる。
「試飲会手伝えって言われてるし、手伝ったらまた奢ってくれるんじゃないかな」
「ああ、試飲会ね。俺はトラウマだよ」
「そっか。マダムに絡まれたことあったな」
「俺はワインの知識が弱いからね。あの時は大変だった」
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