彼女に浮気された俺がミステリアスな美貌の同期と××したら溺愛沼から逃げられなくなりました

藜-LAI-

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7.①

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 なかなか気持ちが浮上しないまま、仕事に追われて時間だけは過ぎていき、あっという間に二週間が経った。
 仕事に関しては、ビブリオバーの有楽町での二度目の試験運用は上々で、その期間にわざわざ予約をして遠方から来店するお客様も居たらしく、良い反響を生んでいる。
 データをまとめて売上状況と合わせて分析しつつ、会議資料を作っていると、このところ別行動が増えた貴臣に不意に声を掛けられた。
「圭吾。昼飯どうする」
「あー、俺今日はコンビニにするわ」
「仕事詰まってんの」
「会議資料、出来ればもう今日仕上げたいんだよ」
「そっか。じゃあ俺は外で済ませてくるね」
「おう」
 貴臣を見送ってキリの良いところまで作業を進めると、俺も昼食を買いにコンビニに向かう。
 十一月ももうあと何日かで終わるのかと思うと、この二ヶ月は本当に時間の流れが早かったように感じる。
 実は先週末、貴臣にはいつものように家に来るのだろうと誘われたが、俺の方は気持ちがモヤモヤしてその誘いを断った。
 貴臣はさして気にした様子もなかったけど、それが以前聞かされたように、俺には相手が居て当たり前だという認識から来る距離感かと思うと、えもいわれぬ気持ちになった。
 今週に入ってからも状況は変わらず、俺が構わなければ貴臣から俺を誘うことはなく、今日になって珍しく声を掛けられて僅かに動揺したくらいだ。
 コンビニでパスタとサンドイッチ、フライドチキンを買うと、信号を渡って会社に戻りエレベーターで三階のフロアに移動する。
 休憩スペースで買ってきた商品を広げると、手作り弁当や、俺と同じようにコンビニの弁当を食べる女性社員と雑談しながら昼休憩を過ごす。
 今までなら、こうして女の子と話すことが楽しかったはずなのに、思考に隙間が出来るとすぐに貴臣のことを考えてしまう自分が嫌になる。
「本多さん。仕事終わりに飲み行きませんか」
「ああ、今日金曜だもんね」
「そうですよ。たまには私たちとも飲みに行きましょうよ」
「そうだねえ」
「だったら東条さんも誘ってくださいよ」
「おい、それって最初から貴臣狙いだな? 俺はついでかよ」
 苦笑して答えると、そんなことはないですよと周りがドッと笑い声を上げる。
「せっかくだけど、今日は仕事が詰まってて。貴臣だけでも誘ってみたら?」
「東条さんを誘うのはハードル高いんですよ」
「俺は低いんかい」
「それだけ親しみやすいんですよ」
「上手いこと言いくるめようとしてるな?」
「そんなことないですって」
 たわいない話をして昼食を済ませると、良い気分転換になった気がして、ゴミを片付けるとコーヒーを買ってデスクに戻った。
「圭吾、昼イチでミーティングだってさ」
「マジで? なんのミーティング」
 戻ってすぐに貴臣に声を掛けられ、開けようとした缶コーヒーのプルタブから指を外す。
「名古屋に良い物件があるらしくて、出店の検討だってさ」
「急だね」
坂牧さかまきさんが出張から戻ったからね」
「なるほど」
 それからすぐに会議室に移動してミーティングに入ると、貴臣から聞いた通り、名古屋で新規出店を検討する話が中心になる。
 そんな中、あくまでも新しいコンセプトとビブリオバーに注力すべきなのではないかという声も上がり、思った以上にミーティングは長引いた。
 売上状況だけ見ると、確かに右肩上がりの今は新規出店を強く望むところだろうけど、今までは割と立地も良くて口コミで集客を賄っている印象だ。
 中部地方は未開拓なのもあって、結論を急ぐべきじゃない意見が多かった。
 そもそもうちの会社の考えとしては、ワインバーやレストランを入り口として、山梨の本部に足を運んでワインを楽しんでもらうのが目的なのであって、飲食店の活路を切り開くのは二の次だ。
 自社生産だけでなく、海外の農家と提携して本当に美味しいワインを提供出来る環境を整えている現段階では、あまり風呂敷を広げない方が良いと個人的には思ってしまう。
「本多さん?」
 デスクに戻ると隣の席の山口が怪訝な顔をしているので、なにか独り言を口走ってしまっただろうかと眉を寄せる。
「なに、山ちゃん」
「いや。黙り込んで難しい顔をしてるので、大丈夫かなと思って」
「大丈夫だよ。それより報告書まとめてあるのかな」
「今やってます」
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