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2.②
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「分かってるよ」
領収書をまとめてあったファイルを取り出し、フォーマットにデータを打ち込んでから、プリントアウトしたそれに請求書を貼り付けていく。
「俺ちょっと経理に書類出してくるわ」
「おう」
貴臣に見送られて経理部に向かうと、案の定良い顔はされなかったが、提出書類に不備がなかったのでその場で引き取ってもらうことが出来た。
厳し目のお小言を喰らって少し凹みながらデスクに戻ると、珍しく貴臣がデザイン部の丸山さんと会話を弾ませていた。
「そんなに気になるならお店教えるよ」
「東条さん。そこは一緒に行きませんかって、誘ってくださいよ」
「ああ、無理。俺の恋人ヤキモチ焼きなんで」
「もー。彼女さん愛され過ぎ」
盛り上がってるその状況を見ているだけだと、やっぱり貴臣には彼女が居るんじゃないかと疑ってしまうほど、切り返しが冷静で淡々としている。
(こいつ、やっぱり酔っておかしくなっただけじゃないかな)
そもそもこんなイケメンが男を好きってことにも納得いかないし、しかも俺に欲情するなんてありえない。
そもそも俺だって、可愛い女の子が好きだし、なによりおっぱいが大好きだ。
雰囲気に流されて厭らしいことをしてしまったのは事実だが、貴臣を見てると何が現実なのか分からなくなる。
「じゃあ本多さんに連れて行ってもらおうかな」
「ん? いま俺呼ばれた?」
「東条さんが美味しいイタリアン教えてくれたんですよ」
「へえ、じゃあ今日行く?」
「良いんですか」
パッと色めき立つ丸山さんの態度が可愛くてキュンとしていると、横から貴臣がやめとけよと口を開く。
「良いのか? 圭吾。そんなことしたら、お前の恋人がキレるぞ」
「やっぱり本多さんも、ちゃんと本命が居ますよね」
「いや、俺は……」
水を差された丸山さんが残念そうな顔をする。
(俺の恋人ってなんの話だよ)
そう思って貴臣を睨むと、しれっとした顔をして知らんぷりを決め込み、丸山さんと適当に会話を切り上げている。
「おい貴臣」
「なに?」
「なに、じゃないだろ」
「なに怒ってんだよ。それより俺腹減った。飯食いに行こうぜ」
「あのなあ……」
軽く眩暈がして頭を抱えると、先に帰る支度を済ませた貴臣が早くしろと俺を急かす。
「早く行こうぜ」
「もー。お前なんなんだよ」
文句を言いつつ帰り支度を整えると、周りに挨拶を済ませてフロアを出る。
エレベーターを待ちながら、隣で何食わぬ顔をしている貴臣を睨むと、どういうつもりなのかと声を掛ける。
「お前、さっきのアレなに」
「なにってなにが」
「お前ねえ。せっかく丸山さんとご飯行けるチャンスだったのに」
「ああ、そんなことか」
「そんなことってね、お前」
「良いじゃん。俺が一緒なんだから」
「良いワケあるか。むさ苦しい」
咄嗟に絡めるように掴まれた腕を振り払うと、エレベーターに乗り込んで会社を出る。
貴臣はもしかして本気で俺のことが好きで、丸山さんに対してガチで嫉妬したんだろうか。そう思ってチラッと顔を盗み見るけど、やっぱり何食わぬ顔をしている。
(やっぱり、俺のこと揶揄って面白がってるだけだろ)
果たして揶揄うためだけに俺のチンコをしゃぶったり、男相手に勃起するかは知らないが、こんなイケメンが俺を好きだなんてありえない。
「そんな見つめんなよ。勃つだろ」
「は、お前バカなの。こんな場所でなに言ってんの」
会社を出て駅に向かうまでの道のりで、人通りもそれなりにある。それなのにところ構わず、とんでもないことを言ってしまえる神経が分からない。
「場所がダメなのか」
「はあ?」
「なら移動しよう」
「あ……ちょっ、おい」
貴臣に腕を掴まれたかと思うと、あっという間にタクシーに乗せられてしまった。
領収書をまとめてあったファイルを取り出し、フォーマットにデータを打ち込んでから、プリントアウトしたそれに請求書を貼り付けていく。
「俺ちょっと経理に書類出してくるわ」
「おう」
貴臣に見送られて経理部に向かうと、案の定良い顔はされなかったが、提出書類に不備がなかったのでその場で引き取ってもらうことが出来た。
厳し目のお小言を喰らって少し凹みながらデスクに戻ると、珍しく貴臣がデザイン部の丸山さんと会話を弾ませていた。
「そんなに気になるならお店教えるよ」
「東条さん。そこは一緒に行きませんかって、誘ってくださいよ」
「ああ、無理。俺の恋人ヤキモチ焼きなんで」
「もー。彼女さん愛され過ぎ」
盛り上がってるその状況を見ているだけだと、やっぱり貴臣には彼女が居るんじゃないかと疑ってしまうほど、切り返しが冷静で淡々としている。
(こいつ、やっぱり酔っておかしくなっただけじゃないかな)
そもそもこんなイケメンが男を好きってことにも納得いかないし、しかも俺に欲情するなんてありえない。
そもそも俺だって、可愛い女の子が好きだし、なによりおっぱいが大好きだ。
雰囲気に流されて厭らしいことをしてしまったのは事実だが、貴臣を見てると何が現実なのか分からなくなる。
「じゃあ本多さんに連れて行ってもらおうかな」
「ん? いま俺呼ばれた?」
「東条さんが美味しいイタリアン教えてくれたんですよ」
「へえ、じゃあ今日行く?」
「良いんですか」
パッと色めき立つ丸山さんの態度が可愛くてキュンとしていると、横から貴臣がやめとけよと口を開く。
「良いのか? 圭吾。そんなことしたら、お前の恋人がキレるぞ」
「やっぱり本多さんも、ちゃんと本命が居ますよね」
「いや、俺は……」
水を差された丸山さんが残念そうな顔をする。
(俺の恋人ってなんの話だよ)
そう思って貴臣を睨むと、しれっとした顔をして知らんぷりを決め込み、丸山さんと適当に会話を切り上げている。
「おい貴臣」
「なに?」
「なに、じゃないだろ」
「なに怒ってんだよ。それより俺腹減った。飯食いに行こうぜ」
「あのなあ……」
軽く眩暈がして頭を抱えると、先に帰る支度を済ませた貴臣が早くしろと俺を急かす。
「早く行こうぜ」
「もー。お前なんなんだよ」
文句を言いつつ帰り支度を整えると、周りに挨拶を済ませてフロアを出る。
エレベーターを待ちながら、隣で何食わぬ顔をしている貴臣を睨むと、どういうつもりなのかと声を掛ける。
「お前、さっきのアレなに」
「なにってなにが」
「お前ねえ。せっかく丸山さんとご飯行けるチャンスだったのに」
「ああ、そんなことか」
「そんなことってね、お前」
「良いじゃん。俺が一緒なんだから」
「良いワケあるか。むさ苦しい」
咄嗟に絡めるように掴まれた腕を振り払うと、エレベーターに乗り込んで会社を出る。
貴臣はもしかして本気で俺のことが好きで、丸山さんに対してガチで嫉妬したんだろうか。そう思ってチラッと顔を盗み見るけど、やっぱり何食わぬ顔をしている。
(やっぱり、俺のこと揶揄って面白がってるだけだろ)
果たして揶揄うためだけに俺のチンコをしゃぶったり、男相手に勃起するかは知らないが、こんなイケメンが俺を好きだなんてありえない。
「そんな見つめんなよ。勃つだろ」
「は、お前バカなの。こんな場所でなに言ってんの」
会社を出て駅に向かうまでの道のりで、人通りもそれなりにある。それなのにところ構わず、とんでもないことを言ってしまえる神経が分からない。
「場所がダメなのか」
「はあ?」
「なら移動しよう」
「あ……ちょっ、おい」
貴臣に腕を掴まれたかと思うと、あっという間にタクシーに乗せられてしまった。
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