彼女に浮気された俺がミステリアスな美貌の同期と××したら溺愛沼から逃げられなくなりました

藜-LAI-

文字の大きさ
上 下
2 / 66

1.②

しおりを挟む
「じゃあ乳のデカさの話はもういいよ。それより今までだって、色んな子に告白されてたの知ってるぞ。お前が今更惚れるとかどんな子なんだよ」
 こんな話を聞くことは滅多にないので、興味津々でツマミのプレッツェルをかじりながら貴臣の顔を覗き込む。
「別に今更じゃないよ」
「ふうん」
 貴臣の明るめの茶色の髪は、いつも丁寧にセットされて後ろに撫で付けてある。
 綺麗な額のすぐ下には、嫌味なく整えられた眉とくっきりとした二重の眼に長い睫毛、スッと通った鼻梁に程よく肉付きのある唇。
 男同士だからそんなに意識して見たことなかったけど、どこからどう見ても完璧なイケメンなんだ、そりゃモテるのも頷ける。
「なに? なんでそんなまじまじ見てんの」
「いや、この顔じゃ、そりゃモテるよなと」
「お前の方がモテるだろ。彼女取っ替え引っ替えして嫌味かよ」
 貴臣はビールを飲むと、俺が咥えたままのプレッツェルを口元から奪うように噛んで折った。
 ふわりと香水の匂いがする。
 突飛な行動に呆気に取られている俺とは対照的に、貴臣はさして気にした様子もなく、思ったより塩気が強くて美味いなとプレッツェルを噛み砕いている。
「おい。変なことすんな。人の食いもんをかじって略奪すんなよ」
「掴んだらお前の唾液で指先が汚れるだろ」
「そんなばっちいもんみたいに。つかそもそも、俺の食い途中のを口から直で取るな」
「いいじゃん。減るもんじゃないし」
「いや減るだろうが」
「減るっていうのはこういうことだろ」
「なっ……」
 なにが起こっているのか、一瞬理解が出来なかった。
 唇が滑り、少し薄くて硬い舌が口の中で蠢いている。
 女の子とするのとは全然違う、力強くて生々しい舌遣いのディープキスだ。
 厭らしく蠢く舌は唾液すら勿体ないと惜しむように、俺の口の中のなにもかもを搦め取っていく。
「んっ、ん、っおい! お前酔ってんのかよっ」
 我に返るとすぐに体を突き放して唇を拭う。
 口の中に苦いビールとプレッツェルの香りが充満して、艶かしい感触が残っている。
「な? 減ったろ。メンタルが」
 貴臣は見たこともない妖艶な笑顔を浮かべると、なにもなかったようにビールを飲んだ。
「減ったわ、削られたわ! つか、なんなんだよ。よだれ啜りまくりじゃねえか」
「啜ったね。したかったからしただけだけど」
「は? じゃあなんなの、お前の好きな子ってまさか俺なのかな、ん?」
 ロング缶の缶ビール三本程度で酔わないことは知っているが、貴臣の突然のイタズラに困惑しつつ揶揄うように呟いてビールを飲む。
「だったらダメ?」
「ブッ」
 今度こそ俺は盛大にビールを噴き出した。
 慌てふためく俺をよそに、貴臣はティッシュを差し出して汚すなよと楽しげに笑っている。
「ダメ? じゃねえよ。可愛らしく聞いてくんな」
「じゃあなんだよ。抱かせてって言えばよかったのか」
「俺が抱かれる方かよ!」
 言ってからなにかが違うと悟ったが、案の定、貴臣は驚いた風に眉を上げて目を丸くしている。
「あ、抱かれるの嫌か。だったら俺のこと抱く? 俺はお前が相手してくれるならどっちでもいいよ」
「ちょ、違う違う、待て待て待て。なんで俺よ。お前普通に女の子にモテるっしょ」
「普通ってなに。俺はお前が彼女にフラれる度に、俺にしとけば良いのにって思ってたよ。お前、女見る目ないし、すぐ浮気されるし」
「否定できないのが痛い」
 汚れたティッシュをゴミ箱に投げ捨てると、ビールを片手に掴んだまま、でもさと切り出して疑問に思ったことをぶつけてみる。
「お前はそもそも勃つの? 俺男だぜ」
 よく考えてみろよと眉を寄せ、ゆっくりとビールを飲む。
 さすがにここまで生々しい話をすれば、貴臣が大人しくなるだろうと思ったからだ。
「なんだよ。見たいのか」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

有能社長秘書のマンションでテレワークすることになった平社員の俺

高菜あやめ
BL
【マイペース美形社長秘書×平凡新人営業マン】会社の方針で社員全員リモートワークを義務付けられたが、中途入社二年目の営業・野宮は困っていた。なぜならアパートのインターネットは遅すぎて仕事にならないから。なんとか出社を許可して欲しいと上司に直談判したら、社長の呼び出しをくらってしまい、なりゆきで社長秘書・入江のマンションに居候することに。少し冷たそうでマイペースな入江と、ちょっとビビりな野宮はうまく同居できるだろうか? のんびりほのぼのテレワークしてるリーマンのラブコメディです

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

親衛隊は、推しから『選ばれる』までは推しに自分の気持ちを伝えてはいけないルール

雨宮里玖
BL
エリート高校の親衛隊プラスα×平凡無自覚総受け 《あらすじ》 4月。平凡な吉良は、楯山に告白している川上の姿を偶然目撃してしまった。遠目だが二人はイイ感じに見えて告白は成功したようだった。 そのことで、吉良は二年間ずっと学生寮の同室者だった楯山に自分が特別な感情を抱いていたのではないかと思い——。 平凡無自覚な受けの総愛され全寮制学園ライフの物語。

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

処理中です...