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解呪①
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ビャクと共にヴィネージュ入りして早くも五日。
シグレは王城内の外務局が保有する一室で、ビャクと共に寝起きする日々が続いている。
「回生師も判断が難しい禁呪が、複雑に何重にも施されてるそうだ。だから王の解呪には、想定よりも時間が掛かる」
今朝方、部屋に仮眠しに戻ってきたビャクは、食事もまともに取る時間はないのか、少し青白い顔をして王の回復に全力を注いでいると言っていた。
そしてビャクがそんな中でもシグレの側に居ようとするには理由がある。
二日前、外務局員を名乗る男がシグレたちの元を訪ねてきたのだが、その際に秘術、おそらく蛇蝎呪術が使われた。
そしてシグレはその場で意識を失い、部屋で倒れているのを戻ったビャクが発見して、回生師が解呪の対処を行なったらしい。
あの時はビャクが不在だったため、シグレはドア越しに対応してその男の姿は確認出来なかったが、あれがビャクが泳がせている実行犯ということなのだろう。
ビャク曰く、実行犯だけを捕らえたところで、それを裏から操っている真犯人と確証がない限りは、迂闊に動けないのだと歯痒さを滲ませていた。
「俺まで狙われるなんて、これ以上探りを入れるなっていうビャクへの警告か?」
シグレは静かな寝息を立てるビャクの頬を撫でると、ひと時も気の休まらない状態にあるビャクの体調が気になった。
そもそも回生師を見つけ出したというが、ビャクの体に刻まれた禁呪もまた、複雑な術式が幾重にも重ね掛けされているらしく、解呪には時間が掛かるらしかった。
不自由には慣れているとビャクは言うが、禁呪を扱う術師が野放しにされている現状を考えると、シグレは己の身よりもビャクの方が心配でならない。
「ビャク」
「…………」
ビャクは僅かに眉を寄せるものの、変わらず規則的な寝息を立てて安心し切った様子で眠っている。そんなビャクの青白い顔をそっと撫で、シグレはビャクを抱き締める腕に力を込めた。
ビャクの話では、今日からシグレもビャクに同行して王の処置に立ち会うことになっている。
当然のことながら、いくらビャクの知り合いだとはいえ、余所者であるシグレが病に伏せった王の寝所に近付くのは簡単な話ではないが、ビャクの行動さえ緘口令が敷かれている。
つまり王が禁呪によって衰弱していることを含め、その解呪のためにビャクたちが暗躍していることは一部のごく限られた者たちしか知り得ないことだ。
だからこそ一昨日のシグレの件に関しては、ビャクの帰国とその行動を把握してる者の中に、ビャクが探している真犯人がいることを裏付けたのだ。
「そんな状況、お前の方こそ危ないじゃねえか」
シグレはビャクの柔らかい金髪を指で漉き、露わになった額にキスをすると、ここまで不安になって心配してる自分が、いかにビャクに影響されているのか自覚する。
流されて一緒に暮らすようになって、絆されて毎晩のように身体を許し、必死に自分の気持ちまでは揺らいでないと言い訳してきたが、ビャクに対して心が伴ってないなんて嘘だ。
「俺、お前を失うなんてやだからな、ビャク」
呟いて寝息を立てるビャクの唇にキスをすると、ビャクからキスに応える反応があって、一気に羞恥がシグレを襲う。
「お前、起きてたのかよ」
「なんだシグレ。あんなに情熱的な告白をしておいて、こんなキスで終わりか」
「そういうところが本当にさあ、お前はよお」
戯れるビャクを突き放して頭を抱えると、そんなシグレに対してビャクは楽しそうに口角を上げ、甘えたように首元に顔を寄せて首筋にキスをする。
シグレは王城内の外務局が保有する一室で、ビャクと共に寝起きする日々が続いている。
「回生師も判断が難しい禁呪が、複雑に何重にも施されてるそうだ。だから王の解呪には、想定よりも時間が掛かる」
今朝方、部屋に仮眠しに戻ってきたビャクは、食事もまともに取る時間はないのか、少し青白い顔をして王の回復に全力を注いでいると言っていた。
そしてビャクがそんな中でもシグレの側に居ようとするには理由がある。
二日前、外務局員を名乗る男がシグレたちの元を訪ねてきたのだが、その際に秘術、おそらく蛇蝎呪術が使われた。
そしてシグレはその場で意識を失い、部屋で倒れているのを戻ったビャクが発見して、回生師が解呪の対処を行なったらしい。
あの時はビャクが不在だったため、シグレはドア越しに対応してその男の姿は確認出来なかったが、あれがビャクが泳がせている実行犯ということなのだろう。
ビャク曰く、実行犯だけを捕らえたところで、それを裏から操っている真犯人と確証がない限りは、迂闊に動けないのだと歯痒さを滲ませていた。
「俺まで狙われるなんて、これ以上探りを入れるなっていうビャクへの警告か?」
シグレは静かな寝息を立てるビャクの頬を撫でると、ひと時も気の休まらない状態にあるビャクの体調が気になった。
そもそも回生師を見つけ出したというが、ビャクの体に刻まれた禁呪もまた、複雑な術式が幾重にも重ね掛けされているらしく、解呪には時間が掛かるらしかった。
不自由には慣れているとビャクは言うが、禁呪を扱う術師が野放しにされている現状を考えると、シグレは己の身よりもビャクの方が心配でならない。
「ビャク」
「…………」
ビャクは僅かに眉を寄せるものの、変わらず規則的な寝息を立てて安心し切った様子で眠っている。そんなビャクの青白い顔をそっと撫で、シグレはビャクを抱き締める腕に力を込めた。
ビャクの話では、今日からシグレもビャクに同行して王の処置に立ち会うことになっている。
当然のことながら、いくらビャクの知り合いだとはいえ、余所者であるシグレが病に伏せった王の寝所に近付くのは簡単な話ではないが、ビャクの行動さえ緘口令が敷かれている。
つまり王が禁呪によって衰弱していることを含め、その解呪のためにビャクたちが暗躍していることは一部のごく限られた者たちしか知り得ないことだ。
だからこそ一昨日のシグレの件に関しては、ビャクの帰国とその行動を把握してる者の中に、ビャクが探している真犯人がいることを裏付けたのだ。
「そんな状況、お前の方こそ危ないじゃねえか」
シグレはビャクの柔らかい金髪を指で漉き、露わになった額にキスをすると、ここまで不安になって心配してる自分が、いかにビャクに影響されているのか自覚する。
流されて一緒に暮らすようになって、絆されて毎晩のように身体を許し、必死に自分の気持ちまでは揺らいでないと言い訳してきたが、ビャクに対して心が伴ってないなんて嘘だ。
「俺、お前を失うなんてやだからな、ビャク」
呟いて寝息を立てるビャクの唇にキスをすると、ビャクからキスに応える反応があって、一気に羞恥がシグレを襲う。
「お前、起きてたのかよ」
「なんだシグレ。あんなに情熱的な告白をしておいて、こんなキスで終わりか」
「そういうところが本当にさあ、お前はよお」
戯れるビャクを突き放して頭を抱えると、そんなシグレに対してビャクは楽しそうに口角を上げ、甘えたように首元に顔を寄せて首筋にキスをする。
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