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初夜①※
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風呂上がりの濡れ髪を絞って雫を落とすと、シグレは体を拭いた布で乱暴にその髪を拭き上げ、ビャクの居ない寝台に腰を下ろす。
一人で過ごすには確かに充分な広さだと思っていたが、シグレと同じくらい図体の大きいビャクが居ると、寝るのにも困りそうだと頭を抱えてしまう。
そんなビャクはと言うと、シグレが風呂に入ってる間に幾度となく邪魔をしに来ては風呂場から追い出され、ようやく今一人で風呂に入っている。
「はあ、あいつマジなのかな」
シグレとしては、自然な欲求と意趣返しにビャクを組み伏せてやりたいが、あの肌に触れた昨夜のことを思い出すと、なぜだか分からないがビャクの腕の中が恋しい気持ちが湧き起こる。
「俺は綺麗な女のおっぱいが好きなんだけどなあ」
ビャクを身請けすることになって、〈マグノリア〉のアザミから餞別代わりに軟膏や潤滑油を託されたので、ことに及ぼうと思えば無理なく出来る準備が整ってしまっている。
流されるまま全てを受け入れてしまっているが、それを嫌だと思う暇もなく、時間はあっという間に過ぎているのが現状だ。
「なんだ、大胆だな」
風呂上がりに着替えもせずに、ほぼ全裸で寝台に腰掛けていたからだろう。
予想より早風呂で部屋にやってきたビャクは、一晩で見慣れたはずだったのに、髪を切って雰囲気が大きく変わってしまったからか、シグレは改めてその逞しくも美しい姿に息を呑む。
目の前の不遜なこいつに好き放題されたのだと、頭では憤慨してるはずなのに、身体は無常にも性的な興奮で下半身に熱を溜めていく。
「お前、髪くらいちゃんと拭けよ。ぼたぼた垂れてんじゃねえか」
「ああそうか。しばらく長かったからな、ちゃんと拭いて乾かせるんだったな」
「洗った時に気付くだろう普通」
「面倒なんだよ。どうせ暇だろう? 拭いてやってくれ」
「いつまでお姫様気分なんだお前は」
シグレは文句を言いながらもビャクの手を引いて寝台の手前に座らせると、洗いざらしの髪を丁寧に拭いてやる。
そしてその柔らかい髪を指で漉くと、思わず心の声が口から漏れた。
「勿体無いな」
「ん?」
「いや、綺麗な髪だからさ」
「放っておけばまた伸びるだろ。なんだ、長い方が良かったか」
ビャクは振り返って髪を触るシグレの手を掴む。
「馬鹿言え。あんなんじゃ目立ってしょうがねえだろ」
「貴様が好きだと言うならまた伸ばそうか」
「そんなこと一言も言ってないだろ。都合の良い耳しやがって」
「そうか? ならどうして目を合わせない、シグレ」
「うるせ」
「シグレ、こっちを見ないか。見ないと言うなら見させるまでだぞ」
言うなりビャクはシグレの顎を掴んで、愛しさを込めたようなキスで唇を塞ぐ。
「んっ」
シグレの鼻から甘ったるい息遣いが漏れるのも束の間、すぐに抗うようにビャクの肩を押し退けると、湿った唇を手で拭う。
「ビャクてめえ、そうやってすぐキスすんのやめろって」
「ほう。ようやく俺を見たな」
「なんだよ。お前を見たからってなんなんだよ」
「どんな顔で見てるか気付いてないのか」
「はあ?」
不快そうに顔を歪めるシグレをそっと抱き寄せると、ビャクはそのまま手を股座に滑り込ませて、硬くなり始めたシグレの淫刀を握り締め、埋めた首筋で唆る顔だと静かに囁く。
その艶やかな声に、シグレは堪らず身体を震わせた。
「湯上がりの俺を見て興奮したのか」
「んなワケあるかよ」
「ならどうしてこうなってる?」
ビャクの熱を持った掌がシグレの昂りを握り込むと、みるみるうちに淫刀は硬さを増して、早くも艶やかな雫を溢す。
「アッ、やめっ」
「一人だけは嫌か? なら俺のも可愛がってくれ」
「なに言って……」
ビャクは器用に寝台に上がり込むと、シグレを抱き寄せて場所を作り、向かい合うように座ってから自身の反り返った屹立をシグレに握らせた。
張り詰めたそれは、血管が浮き出て微細な凹凸を作り、シグレが手に力を込めると、それに応えるようにビクンと大きく脈打つ。
「貴様の手はよく馴染む」
「ただ握ってるだけだろうが、ンンッ」
一人で過ごすには確かに充分な広さだと思っていたが、シグレと同じくらい図体の大きいビャクが居ると、寝るのにも困りそうだと頭を抱えてしまう。
そんなビャクはと言うと、シグレが風呂に入ってる間に幾度となく邪魔をしに来ては風呂場から追い出され、ようやく今一人で風呂に入っている。
「はあ、あいつマジなのかな」
シグレとしては、自然な欲求と意趣返しにビャクを組み伏せてやりたいが、あの肌に触れた昨夜のことを思い出すと、なぜだか分からないがビャクの腕の中が恋しい気持ちが湧き起こる。
「俺は綺麗な女のおっぱいが好きなんだけどなあ」
ビャクを身請けすることになって、〈マグノリア〉のアザミから餞別代わりに軟膏や潤滑油を託されたので、ことに及ぼうと思えば無理なく出来る準備が整ってしまっている。
流されるまま全てを受け入れてしまっているが、それを嫌だと思う暇もなく、時間はあっという間に過ぎているのが現状だ。
「なんだ、大胆だな」
風呂上がりに着替えもせずに、ほぼ全裸で寝台に腰掛けていたからだろう。
予想より早風呂で部屋にやってきたビャクは、一晩で見慣れたはずだったのに、髪を切って雰囲気が大きく変わってしまったからか、シグレは改めてその逞しくも美しい姿に息を呑む。
目の前の不遜なこいつに好き放題されたのだと、頭では憤慨してるはずなのに、身体は無常にも性的な興奮で下半身に熱を溜めていく。
「お前、髪くらいちゃんと拭けよ。ぼたぼた垂れてんじゃねえか」
「ああそうか。しばらく長かったからな、ちゃんと拭いて乾かせるんだったな」
「洗った時に気付くだろう普通」
「面倒なんだよ。どうせ暇だろう? 拭いてやってくれ」
「いつまでお姫様気分なんだお前は」
シグレは文句を言いながらもビャクの手を引いて寝台の手前に座らせると、洗いざらしの髪を丁寧に拭いてやる。
そしてその柔らかい髪を指で漉くと、思わず心の声が口から漏れた。
「勿体無いな」
「ん?」
「いや、綺麗な髪だからさ」
「放っておけばまた伸びるだろ。なんだ、長い方が良かったか」
ビャクは振り返って髪を触るシグレの手を掴む。
「馬鹿言え。あんなんじゃ目立ってしょうがねえだろ」
「貴様が好きだと言うならまた伸ばそうか」
「そんなこと一言も言ってないだろ。都合の良い耳しやがって」
「そうか? ならどうして目を合わせない、シグレ」
「うるせ」
「シグレ、こっちを見ないか。見ないと言うなら見させるまでだぞ」
言うなりビャクはシグレの顎を掴んで、愛しさを込めたようなキスで唇を塞ぐ。
「んっ」
シグレの鼻から甘ったるい息遣いが漏れるのも束の間、すぐに抗うようにビャクの肩を押し退けると、湿った唇を手で拭う。
「ビャクてめえ、そうやってすぐキスすんのやめろって」
「ほう。ようやく俺を見たな」
「なんだよ。お前を見たからってなんなんだよ」
「どんな顔で見てるか気付いてないのか」
「はあ?」
不快そうに顔を歪めるシグレをそっと抱き寄せると、ビャクはそのまま手を股座に滑り込ませて、硬くなり始めたシグレの淫刀を握り締め、埋めた首筋で唆る顔だと静かに囁く。
その艶やかな声に、シグレは堪らず身体を震わせた。
「湯上がりの俺を見て興奮したのか」
「んなワケあるかよ」
「ならどうしてこうなってる?」
ビャクの熱を持った掌がシグレの昂りを握り込むと、みるみるうちに淫刀は硬さを増して、早くも艶やかな雫を溢す。
「アッ、やめっ」
「一人だけは嫌か? なら俺のも可愛がってくれ」
「なに言って……」
ビャクは器用に寝台に上がり込むと、シグレを抱き寄せて場所を作り、向かい合うように座ってから自身の反り返った屹立をシグレに握らせた。
張り詰めたそれは、血管が浮き出て微細な凹凸を作り、シグレが手に力を込めると、それに応えるようにビクンと大きく脈打つ。
「貴様の手はよく馴染む」
「ただ握ってるだけだろうが、ンンッ」
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